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LiSA、8つの“eN”に込めたメッセージ アジアツアー日本武道館公演から感じたこと

リアルサウンド

18/8/3(金) 14:00

 LiSAが初めて日本武道館でワンマンライブを開催したのは、2014年1月。1日限りの『LiVE is Smile Always ~今日もいい日だっ~』は、その年の夏に開催した富士急ハイランド・コニファーフォレスト公演に繋がる、ライブハウスからアリーナ会場へとステップアップしたLiSAにとっての大事な足跡だった。しかし、本人の体調が万全でなく満足のいく公演ができなかったことから、LiSAは翌年1月にリベンジ公演として日本武道館2DAYSに挑む。横浜アリーナ、さいたまスーパーアリーナと公演のキャパシティはどんどん大きくなり、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』や『SUMMER SONIC』などの大型フェスへの出演や主戦場を拡大し続けている。

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 デビュー7周年というタイミングでリリースした、キャリア初のベストアルバム『LiSA BEST -Day-』『LiSA BEST -Way-』(2018年5月)は、本人が自ら選曲し、新曲も収められたストーリー性を感じさせる作品だ。このベスト盤2枚を発売し、翌月から巡る『LiVE is Smile Always~ASiA TOUR 2018~[eN]』のスタートは、リベンジ公演を果たしたLiSAにとって、いまだ残る恐怖心を払拭する、過去を越えるための場所。それがツアー幕開けとなる地、日本武道館だった。

 ツアー名に冠された「eN」には、様々な意味が込められている。筆者が公演を観たのは、日本武道館2日目の6月15日。ステージから伸びる花道の先にあるセンターステージには、ぐるりとファンが周りを囲む“円”という意味が込められているのが分かる。セットリストは、2枚のベスト盤から選曲された楽曲を中心に、「炎」「援」「怨」「艶」「円」「宴」「演」「縁」、という8つの「eN」でライブが彩られていく。センターステージにゆっくりと姿を現したLiSA。四方にいるファンを見渡した後、アカペラで歌い出したのは「Believe in myself」。〈いつか/この曲聴いた/誰かが/今を/愛せたらいい〉というメッセージは、LiSAがシンガーとしてデビューすることを決意した始まりの証。そこから、キーボードによるイントロを合図に、LiSAが拳を前に突き出し、「Rising Hope」へ突入していく。スクリーンに浮かび上がるのは、「炎」の文字。「AxxxiS」「ASH」と序盤から畳み掛けるような選曲だ。

 「楽しんだ者勝ちの“武道館”なんだよ!」という歌詞アレンジも飛び出した「Rally Go Round」から始まるポップチューンの「援」から、「怨」の文字が浮かぶ「L.Miranic」では黒いフードを被り、アウトロでは虚ろな、気だるい表情を浮かべる。花魁をイメージさせる和傘と着物を身に纏った「DOCTOR」では、マイクスタンドをポールに見立て、色気溢れる「艶」を演出。純白のドレスで歌った渾身のバラード「シルシ」、自身もギター演奏で参加した「WiLL~無色透明~」と、ステージの上でめまぐるしく変化し魅せ続けるLiSAに、エンターテイナーとしての資質を感じずにはいられなかった。

 2017年にリリースした「Catch the Moment」は、この1年の間で急速にライブの中で成長していった曲だ。曲が成長するという表現は、ライブでの一体感によって見えてくる、何とも数値化できないもの。しかし、筆者が確実にその成長を「Catch the Moment」に感じたのは、ファンの歌声による一体感からだった。2枚のベストアルバムは『Day』が「Rising Hope」、『Way』が「Catch the Moment」から始まる。LiSAにとっての一つの代表曲「Catch the Moment」は、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)をはじめとした様々な音楽番組で歌われ、新たなファンを取り込む“入口”として機能したはずだ。

 「一緒に歌って!」というLiSAの合図からスタートしたアカペラでの「Catch the Moment」は、サビを歌いきり、ギターイントロから始まる。「今ここにあるもの全部、全部見逃さんといてよ!」というLiSAのメッセージ、ファンにマイクを預け、会場全員が歌う〈あと何回キミと笑えるの?〉という歌詞は、まぎれもなく「Catch the Moment」が“みんなの歌”になっていることを表していた。

 〈いつか/この曲聴いた/誰かが/今を/愛せたらいい〉という「Believe in myself」の一節で始まったLiSAのシンガー人生、そしてこの日の日本武道館のライブ。再びセンターステージに現れたLiSAが歌い出したのは、「Believe in ourselves」。LiSAがLiSAで在り続けるための、僕とキミの絆の歌。LiSAは、いつだって未来を見据えながら、“今”を歌ってきた。〈自分自身を信じて走って/一個だって譲らなかったから/最高の今日、明日があるんだ/だから行こう/キミと一緒に〉。そう歌いきったLiSAは感極まり、タオルを口元に当て泣き出す。

 日本武道館に初めて立ってから4年。岐阜県から自分の居場所を探して、夢を探していた頃から数えれば15年。目標にしていた日本武道館はいつしか、自身が作り出した夢の魔物が住む、広くて遠くて、不安がいっぱいの場所になってしまっていた。たくさんのライブを重ねて、再び立った日本武道館で掴んだのは、光。「Believe in ourselves」の〈光を目指すよ〉という歌詞を歌いながら、ファン一人ひとりの輝きが光に見えたとLiSAは話す。「私の光になってくれました。どうもありがとう」「LiSAを受け取って、繋いで来てくれたこの日本武道館が“縁”です」「1日、1日一生懸命に生きてきた“DAY”が、いつの間にかLiSAの“WAY”になって、今日ここに辿りついてると思います」。最後の曲は、初めて日本武道館に立った2014年にもセットリストのラストを飾った「best day, best way」。ベストアルバムのタイトルにもなっているように、LiSAの伝えるメッセージはいつだって最高の今日があって、最高の明日があるのだ。

 ツアー『eN』はアジア圏を巡り、10月からは国内のホールを回る『LiVE is Smile Always~ASiA TOUR 2018~[core]』がスタートする。筆者が、LiSAのライブを観る度に感じることがある。それは、力強い歌声と感情溢れるパフォーマンスの裏側に、ふと等身大の女性がいるということ。“LiSAという”と、もう一人の自分のように話す言葉の一片からは、自身を保つため、繋ぎ止めてきたものが垣間見える。ファンという光があって、LiSAがあるんだと、彼女が見せた涙を見てそう思った。ツアーを通してLiSAとファンとを繋ぐ縁は、大きな円となって、彼女をまた一つ強くしていく。(渡辺彰浩)

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