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高橋一生らが天保十二年の世界を駆ける!藤田俊太郎「新しい芝居の形が作れた」

ナタリー

20/2/8(土) 14:12

「絢爛豪華 祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』」より、高橋一生演じる佐渡の三世次。

「絢爛豪華 祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』」が本日2月8日に東京・日生劇場で開幕する。これに先駆け昨日、初日前会見とゲネプロが行われた。

「天保十二年のシェイクスピア」は、井上ひさしがウィリアム・シェイクスピアの作品群と江戸末期の人気講談「天保水滸伝」を題材に執筆した作品。1974年に初演されたのち、2002年にいのうえひでのりの演出で、2005年に蜷川幸雄の演出で上演された。今回の上演版を演出するのは、蜷川作品に演出助手として参加していた藤田俊太郎だ。

物語の舞台は、江戸末期の下総国清滝村。旅籠を取り仕切る鰤の十兵衛には3人の娘がいた。腹黒い長女・お文と次女・お里が旅籠を継ぐことが決まり、心優しい三女・お光は家を出ていくことに。月日は流れ、天保十二年。お文とお里が骨肉の争いを繰り広げる中、醜い顔と身体、歪んだ心を持つ佐渡の三世次が清滝村に現れ……。

木場勝己扮する農民の軽快な前口上で幕が開くと、旅籠をイメージした舞台美術が出現し、清滝村の民に扮したキャストたちが、宮川彬良作曲による“シェイクスピア讃歌”を華やかに歌い上げた。この歌のみならず、「ロミオとジュリエット」「リチャード三世」をはじめとするシェイクスピア全37作品のエッセンスが、登場人物のキャラクター設定やセリフ、歌詞など、随所にちりばめられている。

2016年の「レディエント・バーミン」以来、久々の舞台出演となる高橋一生は、恵まれない容姿ながら頭の切れる人物である三世次を、怪しくしたたかに演じる。お文の息子・きじるしの王次役の浦井健治は、爽やかな笑顔を振りまきながら、舞台上を縦横無尽に駆け回り、ダイナミックな立ち回りを披露。2人の娘を一人二役で演じる唯月ふうかは、威勢のいいお光、奥ゆかしいおさちを見事に演じ分ける。ゲネプロ終了後、舞台上に整列したキャストたちを、演出席の藤田は晴れやかな笑顔で見つめていた。

初日前会見には高橋、浦井、藤田の3人が出席。高橋は「極悪人を演じるのは楽しいですね(笑)。ウキウキしてます」と顔をほころばせながら、「三世次は自分が抱えているコンプレックスを逆手にとって、『こう生きていくしかない』と思い切りよく、突き抜けた生き方をしている人」と自身が演じる三世次のキャラクターを分析した。

浦井は「一生さん演じる三世次と、僕が演じる王次の共演シーンがほぼなくて寂しかったです……(笑)」と眉尻を下げつつも、「そのおかげで、一生さんの役へのアプローチを見学できるチャンスが稽古中にたくさんあって。井上ひさしさんの描く人間味を表現できるのが、一生さんの強みなのではないかと思いました」とコメント。浦井の発言を受け、藤田は「お二人は台本上では共演していないのですが、演出的には見事に共演しているのでお楽しみに!!」とアピールし、会場を笑いで包んだ。

さらに藤田は「お二人の演技によって新しい芝居の形を作ることができたと思います。演出家冥利に尽きる作品になりました」と自信を見せ、「一生さんをよく知っている方は、大いに裏切られてほしい。舞台に立つ一生さんを初めて観る方は、“演劇での高橋一生”を大いに楽しんでください」「王次はピュアで透き通っていて、誰よりも命をまっとうします。浦井さんが演じる王次を通して、演劇が持つ潔さを体感してください」と熱い思いを口にした。

会見終盤、浦井から「一生さんの楽屋に入り浸って、2人でタピオカを飲みながら仲よく過ごしたい」というコメントが飛び出し、高橋と浦井が「フフフ」と笑い合うひと幕も。最後に高橋が「俳優たちは舞台上で別の人の人生を生きています。その姿をぜひ目撃しに来てもらえたら」と観客に呼びかけ、会見を締めくくった。

上演時間は休憩ありの約3時間35分。公演は2月29日まで。

「絢爛豪華 祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』」

2020年2月8日(土)~29日(土)
東京都 日生劇場

2020年3月5日(木)~10日(火)
大阪府 梅田芸術劇場 メインホール

作:井上ひさし
音楽・音楽監督:宮川彬良
演出:藤田俊太郎

キャスト

佐渡の三世次:高橋一生
きじるしの王次:浦井健治
お光 / おさち:唯月ふうか
鰤の十兵衛 / 笹川の繁蔵:辻萬長
お文:樹里咲穂
お里:土井ケイト
よだれ牛の紋太 / 蝮の九郎治:阿部裕
小見川の花平 / 飯岡の助五郎:玉置孝匡
尾瀬の幕兵衛:章平
佐吉:木内健人
浮舟太夫 / お冬:熊谷彩春
清滝の老婆 / 飯炊きのおこま婆:梅沢昌代
隊長:木場勝己

新川將人、妹尾正文 / 田川景一、丹宗立峰、出口雅敏、山野靖博、可知寛子、白木美貴子、鈴木結加里、般若愛実、福田えり、武者真由、森加織

※辻萬長の「辻」は一点しんにょうが正式表記。
※初出時より、大阪公演の日程と会場を追記しました。

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