ユーミン自身が語る“アルバムとその時代”
『FROZEN ROSES』1999年
全8回
第6回
18/12/14(金)
90年代後半は日本の音楽史上、もっともCDのセールスが好調だった時期です。1998年をピークにして、その後はどんどん下がっていくわけですが、パッケージビジネスが崩れていくのをいちばん最初に体験したのも、おそらく私だったと思います。マスコミにも私のCDの売り上げが落ちていることを書かれましたが、当時は「いまに見てろよ」と思っていましたね(笑)。
つまりそれは私だけの話ではなくて、音楽ビジネスの在り方が大きく変わりはじめた時期だったということです。レコード会社M&Aがはじまったのも、この頃でした。ただ、小室哲哉さんのプロデュース作品や宇多田ヒカルさんのアルバムはヒットしていたので、それまでのインフラが機能した側面もあると思います。
私にとって90年代最後のアルバム『FROZEN ROSES』には明確なテーマがなく、いろいろな方向の楽曲が収録されています。バート・バカラック的な雰囲気の楽曲もあるし、「流星の夜」は、アフリカに旅行したときの経験がもとになっていたり。アルバムの制作に入る少し前に、ブッシュマン村に行って、クリスマスを過ごしたんです。南半球だから季節は真夏で、とにかく星空が素晴らしくて。アフリカの西海岸はレゲエの文化だから、レゲエのビートを取り入れて、星空の歌を作りたいと思ったんですよね。
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