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万作の会とNTT西日本が狂言のデジタル化を推進、野村萬斎「新しい普及・伝承に」

ナタリー

21/3/15(月) 17:05

左から野村萬斎、小林充佳NTT西日本代表取締役社長。

万作の会とNTT西日本が、狂言のデジタルトランスフォーメーション実現のための連携協定を、本日3月15日に締結。同日、東京・セルリアンタワー能楽堂にて記者会見が行われた。

万作の会とNTT西日本は、ICT(情報通信技術)を活用するプロジェクト「狂言DX」を推進し、3年間にわたって相互連携を取っていく。本日の記者会見には万作の会より野村萬斎、NTT西日本の小林充佳代表取締役社長が登壇した。

「狂言DX」の3本柱は狂言の普及・活用・伝承。小林代表は、まず狂言の普及について「360°動画のストリーミングが可能なサービス・REALIVE360のVR配信を用い、より多くの方に場所を選ばず狂言を楽しんでいただけるようにいたします」と、実際に360°映像を使った狂言公演の動画を交えながら説明した。REALIVE360は、マルチアングルにも対応しており、舞台上に設置された複数のカメラから臨場感ある映像を楽しむことができる。

小林代表は狂言の活用について「教育コンテンツをはじめ、皆様が伝統文化に身近に親しみ、豊かな気持ちを育むことに貢献したい」、狂言の伝承については「デジタルの力を使い、お稽古以外で芸を後世に伝えていくお手伝いができれば」と意気込みを述べ、「ICTで豊かな未来を開き、最終的にはSDGs(持続可能な開発目標)に貢献できれば」と言葉に力を込めた。

装束姿で登場した萬斎は「NHK Eテレの『にほんごであそぼ』、著書である『狂言サイボーグ』、20年ほど前から電光掲示板とコラボした公演など、狂言を普及するためにいろいろと取り組んでまいりました。映画『シン・ゴジラ』では、モーションキャプチャーで私の型、関節の動きをデータ化し、ゴジラに移植するということも行っております。型をデジタル解析し、別の表現に転用するということも、狂言の普及につながっていくのではないかなと考えております」と自身の実績を振り返る。

萬斎は、自身が芸術監督を務める東京・世田谷パブリックシアターでの取り組み「MANSAI◎解体新書『5W1H』」を例に挙げ、「ライゾマティクスの方々とコラボし、舞台表現にデジタル技術を取り入れてまいりました。こういった最新技術を反映しながら、狂言を子供たちや学生でも触れられる“遊び道具”として利用できるようにしていければ」と目標を掲げた。また、「名人芸をデータとして残す意義もありますが、狂言師への伝承だけではなく、すべての人の自己表現のために狂言を有効活用できないかと考えております」と未来を見据える。

最後に萬斎は「狂言のコンテンツとしての面白み、活用方法が広がることで、新しい狂言の普及・伝承につながるのではないかと期待しております」と「狂言DX」に期待を寄せた。

この日は連携協定の締結における調印式も行われ、小林代表、萬斎がそれぞれ協定書にサインをした。さらに、NTT西日本 ビジネスデザイン部の笹原貴彦担当課長より、取り組みについての詳細なプレゼンテーション、遠隔地から狂言の体験・鑑賞を可能にする施策として、分身ロボット・OriHimeを採用したデモンストレーションが実施され、万作の会の面々が「梟山伏」を披露。萬斎演じる山伏に治療を施される患者の役をOriHimeが担った。

なお万作の会、NTT西日本による連携協定の締結期間は2024年3月31日まで。

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