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彼らは生きていた

20/1/23(木)

ドイツとの戦争が始まると、イギリスの若い男たちはこぞって兵士に志願した。そこには熱狂があった。短期間の訓練でヨーロッパ戦線に送られる。そこは“地獄”だった。 戦争は兵士同士が銃を撃ち合うイメージを持っている人もいるだろうが、第一次世界大戦では塹壕戦が基本だった。敵の銃弾に当たらないように深い溝を掘って潜む。飛んできた砲弾に当たれば、それまで。放置された兵士の死体は次第に腐敗。耐えられない腐敗臭の中で脅えて過ごす。これが戦争だ。 第一世界大戦では毒ガス兵器も使われた。音もなく忍び寄ってくる黄色いガス。吸えば呼吸困難になったり視力を失ったり。それは悲惨な戦場だった。 ロンドン市内には大英帝国戦争博物館がある。私も中を取材したことがあるが、塹壕戦の様子が臭い付きで再現されている。この博物館に収蔵されていた当時の記録フィルムをデジタル化し、戦後に録音された兵士の証言などをナレーションとして使うことによって、第一次世界大戦の実相が現代に甦った。 映画の題名は“彼らは生きていた”だが、“死ななかった者もいた”というのがふさわしい内容だ。 「誰も戦争の悲惨さを理解していなかった」という体験者の言葉は重い。

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