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木村拓哉、変わることない姿勢で臨んだ“音楽プロジェクト”のステージ 初のワンマンライブ映像から感じた熱

リアルサウンド

20/6/26(金) 12:00

 木村拓哉、初のワンマンライブ映像作品『TAKUYA KIMURA Live Tour 2020 Go with the Flow』が6月24日に発売された。

(関連:木村拓哉から贈られた視聴者への“ギフト” 『SONGS』が映した過ぎゆく時の大切さ

 「待ってたよキャプテン!」「かっこいい超凝縮」ーー毎度お馴染み、タワーレコードの店員が手掛ける店頭ポップからも、ただならぬ熱気が伝わってきた。木村は、1月にアルバム『Go with the Flow』をリリースし、約5年ぶりにコンサートステージに立った。

 2020年2月20日大阪城ホール。メインステージには3つの巨大モニターに、波をイメージした「Go with the Flow」の文字。アーティスティックなグラフィックを背に披露された「Flow」、「NEW START」で一気にテンションがあがった。小山田圭吾に水野良樹、『Go with the Flow』収録曲の制作陣はとにかく豪華。各クリエイターのファンも多いだけに、プレッシャーもあったのではないか。そして、忌野清志郎作詞・作曲の「弱い僕だから」へと続いた。

 中でも印象的だったのは、美しい照明に照らされながらの「Your Song」。作詞・作曲は川上洋平(from [ALEXANDROS])。[ALEXANDROS]の楽曲として、PlayStation®4ゲームソフト『JUDGE EYES:死神の遺言』のエンディングテーマに起用された。ゲーム内で木村が演じた八神隆之を思い出す一曲だが、もう一つ、重なるものがあった。

 聞きなれた歌声と歌詞の意味。ステージを照らす4つの大きな光が交差する場所に立つ木村。川上が木村をイメージして制作した楽曲で、木村がこの音楽プロジェクトにおいて、マイクの前で一番最初に歌った曲であること、そんなエピソードを集めると胸がいっぱいになった。

 ここでダンスステージ。ボタニカル柄のシャツを脱ぐと、次々とダンサーがやってくる。最後に、木村に寄り添ったスレンダーな女性……2014年放送『SMAP×FNS 27時間テレビ』(フジテレビ系)で行われたライブ「SUPER MEMORIAL ADRENALIN PARTY」などにも登場した、ファンの間ではおなじみのダンサーさん。

 さりげなく衣装チェンジをすると、久保田利伸作曲の「Style」へ。この曲は、2008年9月24日からスタートした『SMAP 2008 super.modern.artistic.performance.tour』の中でも披露したソロ曲だ。

 当時は茶色のハットにデニム、白いTシャツにベストを重ねたカジュアルスタイルだったが、2020年Ver.はドレスアップ。黒いハットを斜めに被り、胸元には赤い花のコサージュ、襟元はシルクのような光沢をあしらったドレッシーなスーツ。当時は両脇に2人のダンサーがいたのだが、今回は2人増えて4人に。

 光るスタンドマイクを握り、照明の当たり具合で陰影がつくと渋さが増す。木村を真上から照らすシャンデリアのような照明。軽妙洒脱なサウンドが心地良い。

 「ちょっと懐かしい感じはあったのですが」と木村。12年経っても色褪せない楽曲はさすがだが、当時と遜色ないパフォーマンス、いまだからこその演出で魅せる木村もすごい。

 「この流れどうしましょうかね」などと言っている間に、キーボードで聞いたことのあるイントロが流れた。驚いた表情でバンドメンバーの方を振り返った木村。まるでイントロドン! 会場の歓声が一層高まる。「いく?」、「おかしいでしょ(笑)」木村とバンドメンバーがやりとりする間にバンドマスターがフライングスタート。「SHAKE」だ!

 ライブと言えばキャプテンの曲始まりの威勢のいい掛け声を聞かなければ帰れない。ファンも我らの出番、とばかりに歓声をあげ、脊髄反射で出てしまう曲間のレスポンスに、こなれたペンライトさばき。この安心感があるから、木村も全力でぶつかれたのではないか。

 今年2月。『SONGS 木村拓哉』(NHK総合)に出演した際に、ライブツアーでSMAPの曲を披露したことについて明かした。「みなさんの時間の中に、その曲がどこかにあったはずだから、それを共有するという意味では、僕はやらせて、ということを言わせてもらいました」。賛否両論が寄せられることは承知の上だろう。それでも歌うことを選んだ。

 長年に渡って交友のあるB’zの稲葉浩志が手掛けた「One and Only」、ザ・木村ワールドのUru作詞・作曲「サンセットベンチ」など、多くのアーティストが木村のために創作した楽曲が連なる、これぞ音楽プロジェクトなステージ。そして、スタッフを装ってA.B.C-Z 河合郁人が登場。トークタイムを盛り上げに来たはずが、木村からのサプライズを受けて感激していたのも微笑ましい。他にもファンから寄せられた質問に答えるなど、ファンとの距離が縮まるようなアットホームな時間が流れた。

 バンド演奏による重厚なサウンド、ストーリーを感じるステージ演出、全身で表現する木村のパフォーマンス、ファンを包み込むような歌声……本編、アンコール、最後にステージで放ったメッセージ、最後まで見ごたえのある139分だった。

 「どんなことに対しても全力じゃないといやだから」ーー前述の2008年ライブのリハーサル中、カメラを向けられるとさらっと語った。あれから12年。今もステージの上で汗をかく、その姿勢は変わらない。(柚月裕実)

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