Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

『国宝 鳥獣戯画のすべて』6月1日より再開! 「動く歩道」で鑑賞、全巻全場面を同時展示する前代未聞の展覧会をレポート!

ぴあ

『国宝・鳥獣戯画のすべて』

続きを読む

今から800年ほど前、平安時代の終わりから鎌倉時代の初め頃にかけて段階的に描かれた、京都・高山寺に伝わる全4巻の絵巻「鳥獣戯画」。これまでも幾度となく展覧会などで公開されてきたが、東京国立博物館で開催中の『国宝 鳥獣戯画のすべて』では、甲・乙・丙・丁からなる全4巻の、全場面を一挙展示。これは展覧会史上初のこととなる。

展覧会は、第1章「国宝 鳥獣戯画のすべて」、第2章「鳥獣戯画の断簡と模本―失われた場面の復原」、第3章「明恵上人と高山寺」で構成。第1章が「国宝 鳥獣戯画のすべて」なのだから、第1章からいきなり展覧会のクライマックスがやってくる。まずは、「鳥獣戯画」といったときに一番はじめに思い起こされる人気の高い甲巻の展示だ。

「鳥獣戯画」(甲巻)展示風景

甲巻には、ウサギ、サル、カエルなどの動物たちが擬人化され、追いかけっこをしたり、水遊びをしたりする姿が生き生きと描かれている。「鳥獣戯画」の中でも最も有名なシーンが収められているこの巻の展示ケースの前には、何と「動く歩道」が設置され、鑑賞者はゆっくりと動くこの歩道から、全場面をじっくりと鑑賞することができる。

「鳥獣戯画」(甲巻)展示風景

甲巻にはほかにもシカやキツネ、イノシシ、ネコなど計11種、平安時代の日本でも目にすることができた動物たちが登場し、相撲をとったり、法会を行うなど、人間の営みを行う姿が描かれている。また、前半と後半では紙の質や墨線の太さや筆の運び方が異なることから、前半と後半は別の人物によって描かれた別の巻物だったとみられている。

「鳥獣戯画」(甲巻)展示風景

「動く歩道」での鑑賞はここまで。会場を進むと、乙・丙・丁3巻の展示会場となる。

「鳥獣戯画」乙、丙、丁巻、展示会場

乙巻は、さながら「動物図鑑」ともいえる巻だ。この巻には16種類の動物が登場するが、甲巻との違いは、それらが擬人化されていないということ。また、前半にはウシやイヌ、ニワトリ、ウマなど日本に生息していた動物が描かれているが、後半になると、ゾウやヤギ、麒麟、龍など、この時代の日本にはいなかった動物や空想上の霊獣たちも描かれている。

「鳥獣戯画」(乙巻)展示風景
「鳥獣戯画」(乙巻)展示風景

続く丙巻は、前半が人物戯画、後半が動物戯画という構成。前半は人間が囲碁や双六、将棋などをしている姿が、後半は擬人化された動物たちによる競馬(くらべうま)、蹴鞠(けまり)などの場面が描かれている。近年の研究により、丙巻の前半と後半は本来、同じ紙の表裏に描かれ、それを剥がしてつなぎ合わせたものであることが判明している。

「鳥獣戯画」(丙巻)展示風景
「鳥獣戯画」(丙巻)展示風景

最後の丁巻は人物が主体の巻。法会や流鏑馬(やぶさめ)、田楽(でんがく)、毬打(ぎっちょう)など、さまざまな儀礼や遊びの場面が描かれている。これらは甲巻と丙巻にも描かれているモチーフで、丁巻が先行する巻の強い影響を受けて制作されていることを伺い知ることができる。

「鳥獣戯画」(丁巻)展示風景
「鳥獣戯画」(丁巻)展示風景

「鳥獣戯画」全4巻の展示はここまで。つづき第2章「鳥獣戯画の断簡と模本―失われた場面の復原」では、伝来の過程で巻物から切りとられ、掛け軸に仕立てられた「断簡」、さらに「鳥獣戯画」の原本から失われた場面も写しとられた「模本」を展示。原本とあわせて、かつて存在した完全版「鳥獣戯画」がどのようなものだったかを知ることができる。

《鳥獣戯画断簡(東博本)》展示風景

そして最後の第3章では、「鳥獣戯画」が伝わった京都・高山寺の名宝を紹介。高山寺を再興した鎌倉時代の高僧、明恵上人の姿を映した《明恵上人坐像》をはじめとする貴重な品々が展示される。

《明恵上人坐像》展示風景

展示はここまでだが、かわいい動物たちをあしらった「鳥獣戯画」グッズも見逃せない。マスキングテープや一筆箋、トートバッグといった定番アイテムからマスクやスマホグッズまで、豊富な品揃えだ。

なお、同展は6月1日(火)より再開し、展示期間を6月20日(日)まで延長。全期間、日時指定予約制となる。詳細は公式HPで確認を。

【開催情報】
『国宝 鳥獣戯画のすべて』
4月13日(火)~6月20日(日)まで、東京国立博物館平成館にて開催。
https://chojugiga2020.exhibit.jp/

アプリで読む