兼好 十八番独演会
20/3/29(日)
長屋の、お人よし、早とちり、おっちょこちょいなどの住人を演じさせたら、飛び切りの面白さを感じさせてくれるのが、三遊亭兼好である。と同時に、『七段目』などでは歌舞伎の台詞を本寸法でしゃべってみせ、客席を唸らせる術にも長けている。今の東京の落語会の貴重な存在といえようか。
さらに世相講談ともいえる「まくら」では、風刺や諧謔が嫌味にならない程度に効いていて、思わず笑ってしまう。
「まくら」も「本題」もテンポがよく、噺の運びが心地よい。
そして、何より高座姿に清潔感が漂っているので、いつも口座には爽やかな風が吹いている。
「なかの芸能小劇場」での「平日昼の独演会」は、いわば兼好の定席の場で、お客さんとの一体感も申し分ない。わずか100席余りの小さなホールだが、「落語」の濃密な空気が楽しめる落語会である。
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