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ずっと真夜中でいいのに。が巻き起こす新たな旋風 ニューアルバム、映画主題歌、ツアー……続々と明らかになった次なる動き

リアルサウンド

20/10/14(水) 18:00

 ずっと真夜中でいいのに。から立て続けにニュースが飛び込んできた。昨年6月にリリースした2ndミニアルバム『今は今で誓いは笑みで』ではオリコン週間アルバムランキングで初登場1位を獲得。それまでネットで10代、20代のリスナーを中心に着々と広がり続けてきた支持が、一気にメインストリームでも表出したわけだが、世界中のすべてのアーティスト同様、彼女たちも新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、すでにスケジュールを発表していた大規模ライブや、水面下で準備していた様々な予定が吹っ飛んでしまった。そんな最中にも、今年8月5日に3rdミニアルバム『朗らかな皮膚とて不服』をリリース。同作は、同日にリリースされた米津玄師『STRAY SHEEP』に次ぐ初登場2位を記録。その人気を改めて証明してみせたわけだが、ずとまよは早くも次の章に向けて走り出した。

ずっと真夜中でいいのに。『朗らかな皮膚とて不服』Trailer (OS 2.0)

 まず、9月18日には、2021年1月22日に松竹系で全国公開される映画『さんかく窓の外側は夜』の主題歌「暗く黒く」の“Intro ver.”をYouTubeで公開。岡田将生、志尊淳、平手友梨奈らが出演する同作は、ヤマシタトモコによるミステリー・ホラーコミックの実写化。「祓える男」と「視える男」と「呪う女子高生」による謎めいた妖しいストーリーは、ずとまよの作品世界と相性が良さそうだが、“Intro ver.”を聴く限り、「暗く黒く」は『朗らかな皮膚とて不服』収録曲でいうと傑作曲「Ham」に感触が近い、エモーショナルで生々しいラブソングに仕上がっている予感がする。

映画『さんかく窓の外側は夜』特報映像
ずっと真夜中でいいのに。『暗く黒く』 Intro ver.

 続いて、10月9日には、2ndフルアルバムを2021年2月10日にリリースすることを発表。フルアルバムとしては2019年10月にリリースした『潜潜話』以来1年3カ月ぶり、ミニアルバム『朗らかな皮膚とて不服』からは半年ぶりというなかなかのハイペース。新型コロナウイルスの影響でなかなかツアーのスケジュールが組めないこともあって、リリースが滞っているアーティストも少なくない中、作品ごとにクリエイティビティのピークを更新しているずとまよは「止まらない」という判断をしたわけだ。アルバムタイトルは『ぐされ』。ん? ぐされ?

 さらに、ファンにとって朗報なのは、メジャーアーティストとしては異例のスピードともいえる、来月11月末にスタートというスケジュールでツアー『やきやきヤンキーツアー(炙りと燻製編)』が決定したことだ。新型コロナウイルスの感染が拡大した今年3月以降も、YouTubeチャンネルで自宅の浴室からツインピアノによるライブ『お風呂場ライブ 定期連絡の業務』(5月6日)を行ったり、配信時に「#ずっと真夜中でいいのに」をTwitterでトレンドワード1位に押し上げることとなった『オンラインライブ NIWA TONIRA』(8月6日)を開催したりと精力的に動いてきたわけだが、遂にリアルなオーディエンスを前にして「ライブバンド」としてのずとまよが本格的に再始動する。東京、横浜、大阪の3会場で計6回行われるこのツアーは、もちろん行政のガイドラインに基づいて、感染症予防対策を徹底した上でおこなわれる(会場収容人数50%以内という制約は、安心とともにチケットの争奪戦を意味する)。

 ニュースはまだある。10月13日、正月映画の目玉作品の一つ、12月18日に東宝系で全国公開される映画『約束のネバーランド』主題歌を手がけていることを発表。タイトルは「正しくなれない」。ご存知のように、原作は『少年ジャンプ』での連載が今年6月に完結ばかりの大人気コミックであり、12月から1月にかけて、日本のメジャー配給作品で、ずとまよの曲が流れ続けることになる。

映画「約束のネバーランド」【予告】12月18日(金)公開

 約1年ぶりのツアー、2つの映画主題歌、そして待望の2ndフルアルバムのリリース。ずとまよといえば、各ストリーミングサービスにおける再生回数ランキング上位の常連、そしてYouTubeにおけるミュージックビデオの再生回数の多さ(この原稿を書いている時点で、「秒針を噛む」MVの再生回数はなんと7000万回を突破している)と、「オンラインで圧倒的に強いアーティスト」というイメージがあるわけだが(そして実際にめちゃくちゃ「強い」わけだが)、今年の秋から来年にかけては、約半年前までとはいろいろな風景が変わってしまった「リアルワールド」でも大きな旋風を巻き起こすことになるだろう。ずとまよはこんなもんじゃない。そのピークは、きっとまだずっと先にある。

ずっと真夜中でいいのに。『秒針を噛む』MV

■宇野維正
映画・音楽ジャーナリスト。「集英社新書プラス」「MOVIE WALKER PRESS」「メルカリマガジン」「キネマ旬報」「装苑」「GLOW」などで批評やコラムやインタビュー企画を連載中。著書『1998年の宇多田ヒカル』(新潮社)、『くるりのこと』(新潮社)、『小沢健二の帰還』(岩波書店)、『日本代表とMr.Children』(ソル・メディア)。最新刊『2010s』(新潮社)発売中。Twitter

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