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生田斗真主演、白石和彌プロデュース、河林満による名作『渇水』映画化決定

ぴあ

『渇水』 (c)2022『渇水』製作委員会

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白石和彌がプロデュース、高橋正弥が監督を務めた映画『渇水』が生田斗真の主演で2022年に公開されることが決定した。

原作は1990年文學界新人賞受賞、103回芥川賞候補となり注目を浴びた、河林満による名作『渇水』。刊行から30年の時を経て初の映画化となる本作の撮影は、本年8月~9月にかけて群馬県前橋市を中心に実施したという。

初のプロデュースを務めた白石和彌は、これまで『凶悪』(2013年)や『日本で一番悪い奴ら』(2016年)、『彼女がその名を知らない鳥たち』(2017年)、『孤狼の血 シリーズ』(2018、2021年)、『ひとよ』(2019年)など、多くの重厚な作品を世に贈り出し続けてきた。今作は感動の人間ドラマに挑む。

主演には、絶賛公開中の大人気シリーズ第三弾となる『土竜の唄 FINAL』で主演を務めた、人気と実力を兼ね備える俳優・生田斗真。金髪とド派手な装いで潜入捜査官を演じた生田が本作で挑んだのは、主人公の水道料金を滞納する家庭の水を停める業務(=停水執行)に就く、市の水道局職員の岩切俊作だ。

『脳男』(2013年)、『土竜の唄 シリーズ』(2014、2016、2021年)、『予告犯』『グラスホッパー』(2015年)、『秘密 THE TOP SECRET』(2016年)、『彼らが本気で編むときは、』(2017年)、『友罪』(2018年)などの映画作品、NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(2019年)、『俺の話は長い』(2019年)などのTVドラマと、幅広いジャンルの作品で役を重ねてきた生田。今回は心の渇きにもがく中で、育児放棄を受ける幼い姉妹との出会いから、ささやかな幸せを求めて本当の自分を取り戻してゆく男性という難しい役どころを等身大かつ圧巻の表現力で演じきった。

そして監督は、岩井俊二監督作品『ラストレター』や、宮藤官九郎監督の数々の作品で助監督を務めた高橋正弥。どの様な作品に仕上がるのか、今から大いに期待したい。

<生田斗真・コメント>
――ご出演オファーを受けられた際のお気持ち
白石和彌さんをはじめ、制作スタッフや髙橋監督の熱意に感動しました。皆さんが長年温めていた企画が、時を経てようやく形になる瞬間に立ち会える事、とても嬉しく思いましたし、お声をかけていただいた事を光栄に思います。

――主人公・岩切を演じて
空気や太陽の光はタダなのに、どうして水はタダじゃないんだと、世の不条理に疑問を持ち始める主人公に少しの希望と微かな光を与える事が出来たらという思いで精一杯演じました。

――髙橋監督について
この作品に賭ける思いが非常に強く、情熱に溢れた監督です。これまで多くの方々の信頼を得てきた髙橋監督との撮影は私にとっても刺激的な毎日でした。

――白石和彌さんについて
多くの名作を残し続けている白石さんが、どのようにして別の視点から物語を創り出すのか、非常に興味を持ちました。映画の現場が好きで、日々を面白く生きているユーモラスな方です。

――劇場公開を待つ皆様へメッセージ
多くの事がシステム化され、疑問を持たずに波風を立てずに日々を過ごすことが上手な生き方なのかもしれません。ただ、なにか違う。このままでいいのかとふと立ち止まり、自分を見つめ直す事も悪くない。そう思わせてくれる作品です。公開を楽しみにしていてください。

<白石和彌・コメント>
――映画化までの経緯
ある日、長谷川プロデューサーから読んで欲しい脚本があると送られてきたのが本作の脚本でした。この企画自体は前々から存在していること、既に脚本も出来ていることは風の噂で聞いていましたが、実際読ませて頂くと、脚本の持っている力に打ちのめされ是非参加させて欲しいとお願いしました。

――原作小説について
格差の中で生きる人々への眼差しが、時に優しく時に残酷で、ずっと身体の中に沈澱し続けるような原作でした。読みながら河林さんはいったいどんな方でどんな世界を見ていたのだろうと、そればっかりを考えていました。

――本作の魅力
原作者の河林さんが見つめる社会への眼差しと、髙橋監督の優しさ、なんとしても今この映画を完成させて世に届けたいという執念が、これ以上ない形で凝縮されています。生きていくことを問いかける本作は社会の厳しさを描く反面、それでも強く生きていこうと思わせてくれる映画になっています。

――主演、生田斗真について
もう生田さん以外にありえないと思ってお願いしました。立ち姿が素晴らしいのはもちろんですが、主人公・岩切の抱える悲しみと苦悩を多く語らずとも表現してくれる俳優は生田さんだけではないかと、皆の意見が一致してオファーさせて頂きました。スクリーンに映る生田さんは、やはりとてもたくさんのことを感じさせてくれる素晴らしい俳優です。生田さんの新しい側面をお見せできると思います。

――髙橋監督について
私よりも先輩で多くの映画に関わられていて、映画界で活躍されているのはずっと知っておりました。初めてお会いした時にその人柄と映画に捧げてきた人生と、そして何よりその頑固で自分を曲げないところに完全にヤラれました。最高の監督です。

――今の時代に本作を通し伝えたいこと
河林さんが小説を発表してから30年あまり世界は変わっていないどころか格差は広がりより生きづらくなっていると感じます。この映画はそんな社会に対して物申すというよりは、現代を生きる我々に欠けてしまったもの、必要なものを問いかける映画です。簡単に答えは出ませんが、その答えを探す過程こそが何よりも尊く、生きている意味を見つける近道なのだと思います。

――劇場公開を待つ皆様へメッセージ
完成までもう少しです。私も早く大きなスクリーンで完成した状態を見たいです。そして多くの方とこの映画について語り合ってみたいです。皆様、楽しみにお待ちください。

<髙橋正弥・コメント>
――映画化までの経緯
10年前に脚本を及川章太郎さんと作ってから、いろいろな方に読んでいただきました。その中で白石和彌監督と長谷川プロデューサーに読んでもらったところ、是非映画化した方が良いというご意見をいただき、お二人のご尽力でここに至りました。

――原作小説について
市井を生きている人たちの悲哀とそこに生きる人々を見つめる視線に魅力があり、興味深く読ませて頂きました。原作で描かれている1990年代の事象は2020年代の現代でも何も解決していなく、抱えている問題は、未来を担うこれからの世代にも改めて伝えていかないといけないと思い、映画にすることを切に願いました。

――本作の魅力
映画としましては、スタッフ・キャストともに脚本に惚れ込んでくれて参加して頂きました。その皆さんの想いや気持ちを感じ取りながら作ったものでありますので、それが充分に映像や演技に反映されているものだと信じています。そこを観客の皆さんに感じとって貰えたら、と思っています。

――主演、生田斗真について
岩切という主人公が持つ、顔の表情に現れない想いや苦悩などの内面に潜んでいるものを体現できる俳優さんだと思いキャスティングさせて頂きました。そのうちに秘めた感情を表に現す時の生田さんの演技には感服するものがありました。本来は笑顔が似合うチャーミングな方と思っていましたので、今回は演じづらいのかと思いましたが充分にやりきって頂いたと思っています。特に目で感情を語ることができる稀有な俳優さんだと改めて感じました。

――白石和彌監督について
白石さんとは演出部の系列が違っていたので今まで仕事をすることはありませんでしたが、今回脚本を読んで貰い、この作品の魅力を感じ取っていただき、前進させようとする様々なアイディア・方針付けに感謝しております。白石さんの一言やこうすべきだというアイディアは、映画化に向けて充分な原動力になっていると思います。

――今の時代に本作を通し伝えたいこと
原作が刊行される以前のかなり昔からも、現在に至るこの現代でも「貧困」というものは無くなっていませんし、この先未来も無くならないのかもしれません。今回は「停水執行」という水に関わる問題でしたが、私たちの生活を脅かす不測の事態、それは原因不明の病気や感染症であったり、環境汚染だったり、自然災害だったり、原子力の問題だったり、様々な事態が我々の身の周りに起きうることであります。そんな大変な状況下になったとしても、他者、特に弱者に対して目を向けることを失わないようにしたいと思います。そしてこれから先の未来を担う子どもたちの人生に不安がないように様々な問題を解決する努力をすることが、今作の一端から感じ取って頂けたらと考えております。また日本文学では「家族のあり方」というものが語り継がれてきましたが、過去現在そして未来もその「家族のあり方」は問われ続けていくのだと思いますので、この原作・映画からもそこを読み・観て欲しいと思っています。

――劇場公開を待つ皆様へメッセージ
有名な原作小説ではありませんし、爽快・痛快なエンタテインメント映画、心ときめく恋愛映画、ハラハラドキドキのアクション映画でもありません。とても小さな小さな世界の物語ですが、生田さんはじめ参加してくれたキャスト・スタッフが一丸となって、観客の皆さんに届けたいと願って作った映画を是非ご覧ください。

※高橋正弥監督の「高」はハシゴダカが正式表記

『渇水』
2022年公開

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