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EXILE TAKAHIRO、新生EXILEの中心に立つ“滑らかで力強い歌声” 「運命のヒト」「Heavenly White」カバーから考察

リアルサウンド

21/1/8(金) 6:00

 赤に染まったステージで、背景のモニターに映し出された燃える両翼を背負い「RED PHOENIX」を高らかに歌うEXILE TAKAHIRO(以下、TAKAHIRO)を観て、EXILEの進化は決して止まらないのだと確信した。12月29日に行われた有料配信ライブ『LIVE×ONLINE BEYOND THE BORDER』において、14人体制となりセンターポジションに立ったTAKAHIROは、それほどに圧倒的な存在感を有していたのだった。

EXILE / RED PHOENIX(from Single「RISING SUN TO THE WORLD」/ EXILE TRIBE)

 2006年9月の「EXILE VOCAL BATTLE AUDITION」にて約1万人の応募の中から選ばれ21歳でEXILEに加入したTAKAHIRO。その後、約14年に渡ってEXILE ATSUSHIとともに数々の名曲を歌ってきた彼は2020年、新生EXILEとしての活動の他に新たな挑戦を始めていた。それが、EXILEの楽曲のカバー音源を定期的にリリースしていくという『EXILE RESPECT』シリーズだ。

 その第一弾として昨年9月28日にリリースされたのは「運命のヒト」。TAKAHIROにとっては「EXILE VOCAL BATTLE AUDITION」のステージ上で歌ったことでEXILEへの加入を決定づけた、大切な1曲だ。原曲はR&B調のスローバラードだが、今回のカバーでは大胆なアレンジが施されており、複雑に絡み合うアコースティックギターの美しい旋律によって〈君〉への想いがより静謐に、心の深層から積み重なっていくような情感のある仕上がりとなっている。

 また、アコースティックアレンジという点では同シリーズの第二弾として12月21日にリリースされた「Heavenly White」も同様である。この曲もまた、TAKAHIROがソロ活動の中で歌い続けてきた思い出深い1曲であり、リアレンジによって原曲からさらに軽やかに洗練されたポップバラードへと生まれ変わっている。

EXILE TAKAHIRO / 「運命のヒト」 (Music Video)
EXILE TAKAHIRO / 「Heavenly White」 (Music Video)

 さらに、このシリーズを通して新たに制作されたMVが示唆的な表現に富んでいる、という点も言及しておきたい。なかでも「運命のヒト」のMVにおける、追憶の心象風景を表したかのような抽象空間と、そこから離れ新たな道へ進む時に〈誰か〉とすれ違い、直後にどこか解放されたかのような笑みを浮かべるTAKAHIROの表情は特に印象的だ。

 ただし、それが意味するところは、受け手によってそれぞれ答えが異なってくるだろう。それほど幅広い受け取り方ができる内容となっているからだ。もしかすると、ファンにとって様々な思い入れがあるだろうEXILEの名曲たちに、新たな“問い”と“余白”を与え、再解釈させる……というのもまた、このカバーの狙いなのかもしれない。

 さて、ここからはその歌声の魅力について、改めて掘り下げていきたい。まず、先の『EXILE RESPECT』シリーズの2曲からわかるのは、アコースティックな音色とTAKAHIROの歌声は非常に相性が良く、絶妙な聴き心地を生んでいるということだ。ギターの温かみのある音色やリズミカルなカッティングは、TAKAHIROの歌声に備わっている甘く滑らかな響きと深いビブラートの余韻を美しく引き立てている。メロディラインを飾りすぎないトラックも、歌声の深みや繊細な歌唱表現を改めてじっくりと堪能できるように作られているように感じた。

 また、一般には「甘く艶やか」「切ない」といった印象の強いTAKAHIROの歌声だが、GLAYのHISASHIらと組んだバンド・ACE OF SPADESでの活動などもあり、ロックサウンドにおけるアタック感を強調したボーカリングも非常に得意だ。特に最新曲「RED PHOENIX」はその最たるものの一つで、ハイトーンのシャウトも難なくやってのけている。また、そうしたアッパーな楽曲の中でも、常にどこか“柔らかさ”や“滑らかさ”が声音に残り、独特の品が感じられる点も特徴的である。新生EXILEにおいては、その点が両サイドで支えるEXILE SHOKICHI、EXILE NESMITHのボーカルとの対比にもなり、三者三様の魅力を演出する見事なコンビネーションとなる。それゆえ、年末の歌番組や配信ライブなどで披露された3ボーカルの構成やパフォーマンスは、すでにある種の完成されたフォーマットであるようにも感じられた。

 積み重ねた時間の全てが歌唱表現に反映されていき、変化・成長していく様子を見届けられるというのは、一人の歌い手を長く見続ける上の醍醐味であるかと思う。約14年もの間、EXILEのボーカリストとして歌と向き合い続けてきたTAKAHIROは、新生EXILEやソロでの活動を通して、今後もより多彩な歌声を届けてくれることだろう。

■日高 愛
1989年生まれの会社員。

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