Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

浦井健治×海宝直人が語るミュージカル『王家の紋章』の魅力とは?

ぴあ

海宝直人(左) 浦井健治(右)  撮影:渡邊明音

続きを読む

1976年より連載を開始し、累計発行部数4000万部を誇る同名原作漫画をミュージカル化した『王家の紋章』が2021年8月5日(木)より帝国劇場で開幕する。2016年に初演され、17年に再演、今回が3度目の上演となる。初演からメンフィスを演じてきた浦井健治と、初めてメンフィスを演じる海宝直人は意外にも初共演。互いの印象や、役に対する考察などをたっぷり語ってもらった。

Wキャストでできるのが何よりも嬉しい

──初演から出演されている浦井さんと、今回初参加の海宝さん。本作に対する思いをまずは教えてください。

浦井 初演、再演とやらせていただいていますが、(原作者の)細川先生、芙〜みん先生が人生を賭けて、今も進行形で取り組んでいらっしゃる少女漫画の金字塔『王家の紋章』をミュージカル化するということへの責任と重圧、そして、それが成功した達成感をみんなで味わってきた月日だったなと思います。

今回は、Wキャストで、海宝くんとやらせていただけることが、何よりも嬉しくて。メンフィスを演じるということは、「王族」と呼ばれている『王家の紋章』のファンの方々に「メンフィスがいる!」ということを感じていただけないといけないわけです。一方で、演劇として、「メンフィスはこういう人です」というアプローチも絶対あると思う。それを個人的にとても尊敬する、大好きな海宝先生!とふたりで作れるんです(笑)。

再々演という言い方ではなく、ミュージカル『王家の紋章』をこのメンバーで作るということが、僕にとっては幸せなことだなと思います。山口祐一郎さんや、(平方)元基や、役が変わった新妻聖子ちゃんなどもいらっしゃいますが、今回は、また新しくみんなで作っていくという心構えです。

海宝 僕は学生時代に、たまたま家にあった漫画『王家の紋章』を読んでいたんです。僕が読んだ数少ない少女漫画の一つで、まさか自分が舞台でやるとは、微塵も思っていなかったですが(笑)。

それぞれのキャラクターたちに、現代人にないダイナミクスを感じます。特にエジプトチームは、生きる・死ぬという宗教的な考え方も含め、我々現代人には考えられない価値観の中で生きている。なかなか経験することができない感覚を、俳優として味わえることがとても楽しみです。

浦井さんと今回初めてご一緒させていただくので、それも本当に楽しみですね。この作品は、今まで僕が演じたことないタイプのキャラクターで、演出の荻田(浩一)さんとともに、いろいろなアプローチを試して、稽古を楽しみながら、チャレンジできたらいいなというのが今の気持ちです。

──原作漫画の感想を教えてください。

浦井 1〜4巻までをミュージカル化しているんですけど、「王族」(原作漫画ファン)でもある新妻聖子大先生がいろいろ教えてくださるんです(笑)。原作は進行形で、キャラクターもまだまだ増えていく。一体、キャロルは何回さらわれるのかと思います。そして、その度に各々のキャラクターがキャロルを愛してしまうので、もう、どれだけモテるんだよ!って(笑)

海宝 ひと目で夢中になっちゃうんですよね。

浦井 男としてはそれぐらい愛したいなとは思いますよね。なので、男性諸君も、よろしかったらミュージカルをデートで使っていただいて、一緒に見にきてくださったら嬉しいなぁ。

女性がきゅんきゅんしてくださるのも嬉しいですけど、「俺、メンフィスみたいになりたい」と思ってくださったら(笑)。

海宝 何よりも、二次元の絵から飛び出してくるほどエネルギーが伝わりますよね。キャラクターの躍動感がすごい漫画だなと思います。

現代を生きる我々にはない、剥き出しの感情や表現も、魅力的。人をあそこまで剥き出しで愛せるとか、剥き出しで憎めるとか、そういう感情の出し方は自分たちができないからこそ、そこで発散できる魅力がある漫画だなと思います。

──例えば、おふたりがキャロルのように3000年前のエジプトに行ってしまったとき、これは忘れずに持っていたいというものはなんですか?

浦井 携帯。

海宝 え、通じるかな(笑)

浦井 通じなかったとしてもアプリのゲームやっていると思う。

海宝 電源が切れるまでね(笑)

浦井 そうか!電源がないのか!しまった……(笑)

海宝 僕は、ファイヤースターターですかね。キャンプ用品です。

浦井 え、普通に生き抜こうとしたね(笑)

海宝 火さえ起こせればなんとななるかなと思いまして(笑)

何より歌声のファンです(浦井)
浦井さんは何者にも変身していく(海宝)

──ヴィジュアル撮影で、実際に衣装を身につけられた感想をお聞かせください。

海宝 ヘアメイクの方が漫画を鏡の前に置いて、それを見ながらメイクをしてくださるんですよ。だんだんと自分じゃない誰かになる感覚を感じましたね。

衣装もそうですし、ストレートの黒髪ロングとかもないじゃないですか(笑)。僕、荻田さんの舞台に出ると、あまり経験したことない服とかにチャレンジさせてもらうんですよ。ロリータのファッションを着たり、CAのミニスカート履いたり……。

浦井 すごい! 荻田さんと組むと、そうなってしまうの?(笑)

海宝 はい(笑)。今回は特にメイクさんと衣装さんの力で、どんどん別人になっていく感覚があって、その世界に入っていく手助けになるなと感じました。自然と、表情や立ち居振る舞いが変わっていく気がします。

浦井 まさにその通りなんです。メンフィスって、実は衣装替えが多いので、その度に何人ものスタッフさんがついてくださるんです。それがまたファラオとしてのリアルな感じになって(笑)。役をみんなで作っていくんですよ。

──初共演というおふたりですが、お互いの印象をぜひ他己紹介という形で、教えてください。

浦井 そんなにまだ会話をしていないんですけど……山寺(宏一)さんとモノマネしているのを見たりとか……(笑)

海宝 よりによって、それですか(笑)

浦井 いろんな方から話はたくさん聞いています。歌声の素晴らしさはもちろんですけど、芸歴は自分よりも長いし、今までの海宝くんの生き様が、いまの人脈や信頼を作っていると思うんです。

基本的に穏やかだけど、ちゃんと芯を持っている。そこが役者として尊敬できるし、信頼できる。ミュージカル界、演劇界の海宝くんはちゃんと君臨しているけれど、それとは別に、お芝居に対してとても謙虚だし、冷静に分析しながらやっているんだろうなと思います。

ただ、この作品では同じ板の上には乗れないのでね。先の話をするのも何ですが、違う作品でも共演してみたいですし、夢は広がります。まぁ、何より歌声のファンです(笑)

海宝 僕は浦井さんの作品を何作品か拝見して、僕が初めて見たのは『アルジャーノンに花束を』。

浦井 !!

海宝 印象が作品によって全然違うんですよね、浦井さんって。何者にも変身していくとか、メタモルフォーゼというか、別人のように見えるんです。『アルジャーノン〜』の作品の中でもそうですしね。

浦井 『アルジャーノン〜』を見てくれていたのか、嬉しいな。

海宝 これは僕の勝手な印象なんですけど、本能的にその役にガッと入っていけるタイプなんだろうなと思っていて。ファラオもそうじゃないですか。だって、スイッチ必要ですよね?(笑)

浦井 はい。スイッチが必要ですね。ファラオスイッチ(笑)

海宝 その変身する様を間近で稽古場で見れるのは、とても楽しみです。

浦井 結構大変ですよ。稽古場では、ヴィジュアルのような扮装はなく、サラッとした布をマントみたいにつけて、「私の足を舐めよ」とか言うわけで。冷静な気持ちでいられない!(笑)

元祖俺様系・メンフィスはアンバランスさが魅力

──あらためて、おふたりが演じられるメンフィスはどんな役だと感じますか?

浦井 唯我独尊で、元祖オラオラ系。Sっ気が、きっと萌えポイントなんだろうなと思います。

メンフィスは血筋の中で生き神として生まれ、育てられた結果、自我が芽生えたときには「我こそファラオである」と。そういう意味では、童心というか、ピュアさを持ち続けている人物だなと思っています。国をどう動かしていくのかを考えているという王としての自覚もあるんですが、やはり突飛なキャラクターに見えてしまう。その点、我々役者としては理解していくのが大変ですね。

ファラオって何って(笑)。まずはエジプト展に行こうかな……と考える段階を踏むんですけど、今回は客観的にふたりで作っていけるから、「なるほど、こういう風に見えるんだ」と、いろいろな捉え方ができて、その分、これまでよりも人間味が濃くなっていくのではないかなという期待をしています。

海宝 これが正しいというものはないと思うんですけど、今回のメンフィスについて、どういうアプローチをしていけば良いのかなというのがまだ分からない段階です。ただ、漫画のある意味デフォルメされたキャラクター像からのアプローチもできると思うし、そこはありつつも、もう少しリアリティの方向にもっていくのもいいかなという感触としてはあって。

最近、ツタンカーメンのドラマを見たんです。その中で、ツタンカーメンが、父親に「罪人の息子を殺せ」と命じられて、同じ年ぐらいの子をナイフで刺し、「これがファラオなのです」と言われるシーンがあって。あぁ、この感覚が多分必要なんだろうなと思ったんですよね。

今の時代から見たら、確かに残虐かもしれないけれども、それは帝王学として見たら当たり前の時代。それにそもそも宗教観も違う。それがお客さんに伝わるか伝わらないかは別として、そういうことを演じる側が理解して、ある意味生ききらなきゃいけないという特殊な舞台なんです。

自分が理解できないと、どこかでブレーキがかかる気がするので、自分の中でそういう感覚を蓄積することができたら、演じる上での手助けになっていくだろうなと感じています。彼の少年性と、一方でファラオとしての崇め奉られるという、そのアンバランスさが魅力的だなと思いますし、キャロルに対して、「ものとして好き」というところから、「人として好き」というところに変わっていく部分もいいなと思います。

──ちなみに、元祖俺様系ということを絡めまして、ご自身はSですか、Mですか?

浦井 そんな質問初めてされた(笑)。……どっちって言われます?

海宝 両面あると思うんですが、でもまぁ、意外とSっ気があると言われますね。深海宝(しんかいほう)と言われます(笑)

改めて感じた帝国劇場に立てる事の奇跡

──浦井さんは主演としては3年ぶりの帝劇、海宝さんは中止となってしまった『ミス・サイゴン』ぶりですが、帝国劇場への思いをお聞かせください。

浦井 やはり帝国劇場に立たせていただくのは、この上なく名誉なこと。その中で、メンフィス役をやらせていただくということは、役者冥利に尽きるなと思うし、責任を背負わなくてはいけないと思うんですよね。

コロナ禍において、いま『レ・ミゼラブル』がお客様に愛されて、熱狂的に受け入れられている様子を見ていると、エンタテインメントの素晴らしさを改めて感じるし、文化は人の心には必要なものなんだなと確信しました。待っていてくださるんだな、と。

主催者の方々が、苦労を重ねながら、みんなで演劇を守っていく努力をされてきたことを見てきた1年でした。それを踏まえると、また帝国劇場に立てることは奇跡だと思うんです。

誰ひとり欠けることなく、感染対策を徹底して、お客様に安心、安全というものをお届けできるように、そして、ナイル川に沈んでいただけるように(笑)、みんなで古代エジプトを盛り上げていけたらなという気持ちです。

海宝 僕が初めて帝国劇場に立たせていただいたのは、19歳の時。『ミス・サイゴン』のアンサンブルとしての出演した時で、僕にとっては大人の俳優としての第一歩でした。自分で初めていろいろなことを考えたし、当時のアンサンブルはそれぞれ自分たちで名前をつけたりして、ワークショップ形式で役を作っていったんです。

公演期間も長くて、多くのことを勉強させてもらって。すごく思い出が詰まった、特別な劇場です。そこにまた立たせていただけるのは、嬉しいです。

──最後に観客の皆様に一言お願いします!

浦井 僕は、荻田さん、海宝くんと一緒にメンフィスを作っていけることをすごく嬉しく思っています。客観視もお互いにできる今回だと思うので、それぞれのメンフィスをお客様に楽しんでいただけるように、原作に忠実でもありながら、個性豊かで人間味あふれるそれぞれのメンフィスを作っていけたらと思います。

海宝 今とても大変な時期で、僕自身もそうですけど、知らないうちにストレスが体調に表れたりして、しんどい時期だと思うんです。この『王家の紋章』は、壮大で、ドラマチックな作品。日常を忘れて、キャロルと共にエジプトを旅するように、一時でもイマジネーションの世界を楽しんで帰っていただけたらなと思います。

取材・文:五月女菜穂 撮影:渡邊明音



ぴあアプリ限定!

アプリで応募プレゼント

浦井健治さんと海宝直人さんのサイン入りチェキを2名様にプレゼント!

【応募方法】

1. 「ぴあアプリ」をダウンロードする。

こちらからもダウンロードできます

2. 「ぴあアプリ」をインストールしたら早速応募!

ミュージカル『王家の紋章』
原作:細川智栄子 / 芙~みん
脚本・演出:荻田浩一
作曲・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
出演:
浦井健治 / 海宝直人(Wキャスト)
神田沙也加 / 木下晴香(Wキャスト)
平方元基 / 大貫勇輔(Wキャスト)
朝夏まなと / 新妻聖子(Wキャスト)
植原卓也 / 綺咲愛里 / 出雲綾 / 前山剛久 / 岡宮来夢 / 大隅勇太
山口祐一郎


2021年8月5日(木)~2021年8月28日(土)
会場:東京・帝国劇場
ほか、福岡公演あり

チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2170794

アプリで読む