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泉太郎 : コンパクトストラクチャーの夜明け

20/3/27(金)

このご時世に、ひとりで没頭できる遊びや探求をもつことも生きる術のひとつだ。泉太郎の今回の個展では、展覧会のために各地へ出向き、ホテルに帰ってからそこにあるものや環境からつくり出したコンパクトな構造の映像作品群が上映されている。近年はチームで制作することが多いが、ギャラリーの階段を会場として毎日新作を加えていったデビュー展をはじめ、映像を中心に絵画、ドローイング、パフォーマンスなどを交錯させながら数珠繋ぎにつくっていける作家なのだ。 新作の《軟骨の旗》は、ファーストフードのキャラクターに扮した二人が互いのフードを食べさせあう2002年作の《マグモド》を再生して撮影した作品。急に食べ物が口に入ってくる苦しさを避けようと自ずと笑ってしまう二人は、いわば白旗を挙げた状態でループする。人と距離をとり、時にカメラ越しに話さなければいけない今、この触覚的な近さはまた別の意味も帯びてきた。 すべての作品が、何かを撮影してモニターに映し出す→そのモニターの前で何かしら出来事を加えて撮影する→それをモニターに映し出すといった繰り返しで制作されている。コンピュータでの編集は挟まず、ビデオカメラとテレビモニターの応酬だけでさまざまな行為や時間を積層させ、映像で映像について考えるような作品群。他愛ないシンプルな行為によって複雑化した作品の集合で「見る/見られる」が入れ子になり、蝶の羽ばたきが台風を起こすような影響関係についても考えさせられる。

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