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乃木坂46が急速に支持を拡大した背景 ラジオ・モデル活動など”外向き施策”を読む

リアルサウンド

15/5/6(水) 14:00

 乃木坂46は、5月2日にパシフィコ横浜で行われた11thシングル全国握手会にて、『真夏の全国ツアー2015』の開催を発表した。今年行われるこのツアーの特徴は、仙台、名古屋、広島、福岡、大阪、東京の各会場すべてで、それぞれ2日間の公演が予定されていることだ。特にファイナルとなる東京公演は、明治神宮野球場で2日連続の開催となる。昨年8月30日に3万人を動員したこの大会場で今年2回のライブが行なわれることは、乃木坂46が昨年からの勢いをさらに増して、ファン層を広げてきたことのあらわれといえる。

 ファンの増大は、この全国ツアーが発表された2日の全国握手会にもうかがえた。握手会に先立って上演されるミニライブの観覧エリアは昨年、一昨年にも増して広くとられ、年を追って来場者層が拡大しているように見受けられる。全国握手会イベントは、シングルCDに封入の参加券のみで乃木坂46のライブを観ることができる貴重な場だが、そうした比較的気軽に参加可能な恒例イベントであるだけに、その規模の推移はグループの勢いの上下を推し量るものにもなる。乃木坂46は引き続き、右肩上がりの勢いを保っているようだ。

 こうした乃木坂46の飛躍について、以前その独自路線の確立の点から考察したが、この記事ではそうした独自路線の近々の動向を具体的にいくつか確認しつつ、既存ファンの外に支持層を拡大するためのグループの動きを追ってみたい。(参考:乃木坂46が迎えた飛躍の時 「AKB48の公式ライバル」はなぜ独自路線に成功したか?

 今年の乃木坂46の外向きの動きとして目立つのは、ファッション雑誌に次々と専属モデルを送り込んでいることだろう。あらためて確認すれば、齋藤飛鳥が『CUTiE』専属になったのをはじめとして、橋本奈々未と松村沙友理が『CanCam』に、そして西野七瀬が『non-no』にそれぞれ起用されることになった一連の流れは、最近の乃木坂46に関わるトピックの中でも大きなものだった。必ずしも乃木坂46やアイドルのファンではない層に向けてのアピールとして、ファッション誌への露出はこのグループのひとつの特色となっていきそうだ。もちろん、一気にファッション誌に攻勢をかけることにはリスクも伴う。人気グループというだけで媒体の顔として重用されているとみなされれば、グループも雑誌自体もともに支持を失いかねない。近年、たとえばE-girlsの藤井萩花、藤井夏恋姉妹の『JJ』専属、佐藤晴美の『Ray』専属、楓の『CanCam』専属など、雑誌のカラーと人選をすり合わせつつ、長期間をかけて専属モデルとしてのイメージをなじませていく例がみられるが、そうしたプロセスは乃木坂46の場合、白石麻衣が該当するだろう。白石を中心にして、スタイリッシュなグループのイメージを導くことができたために、今年の専属モデルラッシュに踏み切ることができたともいえそうだ。

 その乃木坂46のスタイリッシュなイメージを補強した要因のひとつに、白石が2012年からモデルを務める『LARME』 と同じ徳間書店から刊行されている『OVERTURE』の存在がある。「アイドル×ファッション」をコンセプトにした同誌は昨年10月刊行の創刊号で乃木坂46を大きくフィーチャーして話題となったが、今年3月刊行の第2号でも再び乃木坂46を中心に据えた構成をとっている。創刊号では『LARME』以降乃木坂46のファッション面をリードしてきた白石が表紙だったが、第2号ではこの一年でグループのアイコンに成長し、『non-no』専属モデルになった西野が表紙を務め、橋渡しが行なわれた。さらに『OVERTURE』は季刊として定期刊行されることも発表され、乃木坂46を大々的に起用し続ける同誌が、「アイドル×ファッション」というコンセプトで成功を収めたこともうかがわせた。この成功はグループアイドルシーンが充実し、アイドルが文化として広く受容されるようになったことのあらわれでもある。同誌によって、そのトップランナーとして乃木坂46がイメージ付けられたことは、グループのユニークさを築く上でも重要だった。ファッション誌という、アイドル文化に馴染んだ人々以外も多くアクセスするジャンルに、アイドルシーン代表としての位置を築きつつあることは、この半年余りの動向として特筆すべきことだろう。

 その流れは4月14日放送の『NOGIBINGO!4』の企画でファッション雑誌への乃木坂46メンバー起用が次々決まったことや、かねてよりモデルを志向する川後陽菜が『Popteen』で専属モデルを目指して同誌モデルの前田希美と対決するといった直近の企画にまで波及している。ファッションを活路に世間に浸透する機運を作ったこのグループならではの動きだが、同時に企画性が強くなることはファン以外の層からの反発を招きやすくなることにもつながる。チャンスの機会が多いことそのものはプラスに違いない。やや企画色の強い直近のこれらの動きに際して、メンバーや運営がいかに真摯さをみせられるかが、受け入れられるかどうかのポイントになる。その舵取りの如何は今後を占うことになりそうだ。

 いち早くファッション方面では独自の強みを見出し、ファン層の拡大に向けた外向きの施策を切り拓いた乃木坂46だが、この春からはまた異なるジャンルを開拓しようとする動きもみえる。4月からは新内眞衣、衛藤美彩、中元日芽香、橋本奈々未と、メンバーが相次いでラジオのパーソナリティやアシスタントとして起用されている。あるいは、音楽専門チャンネル「100%ヒッツ!スペースシャワーTVプラス」でマンスリーレギュラー番組になった『Tokyo Girls’ Update』のMCを桜井玲香が務め、48系のグループが関わるイメージの薄い音楽専門チャンネルに地歩を固める第一歩を踏み出した。いずれもまだ始まったばかりの段階で、今後どのようにグループの武器にしていけるのかは未知数ではある。とはいえ、既存ファン以外の目に各メンバーが触れるための道筋を引き続き用意する姿勢が垣間見える。

 乃木坂46はもともと、AKB48の企画に積極的に関わることよりも、独自の得意分野を模索することで現在の躍進を導いてきた。そうした成果が、今年の全国ツアーの開催規模拡大につながっていることを考えれば、見てきたような最近のグループの動きも納得の行くものといえる。この春には生駒里奈と松井玲奈の交換留学も解除になり、乃木坂46はさらに独自路線を疾走することになりそうだ。

■香月孝史(Twitter
ライター。『宝塚イズム』などで執筆。著書に『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』(青弓社ライブラリー)がある。

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