全キャストをオーディションで選抜した、平田オリザ作、本広克行演出『転校生』男子校版＆女子校版がついに開幕した。オーディションからここまで約3か月。キャストたちにとっては成果発表の場であると同時に、終わってしまえばクラスの解体が待ち受ける“卒業”の儀。卒業を「清々しい」ととらえるか「悲しい」ととらえるかはそれぞれだろうが、“プロ未満”な若い彼らはそうした内面を隠しきれないはずだし、舞台『転校生』においてはその揺れに観客も心揺すぶられる。4年前の本広演出版初演を観た際、少なくとも筆者はそうだったし、ドキュメンタリー的な手触りゆえに今も記憶に残る作品となっている。

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