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高畑充希、山﨑賢人ら出演映画『ヲタクに恋は難しい』、音楽的注目ポイントは? 内田真礼も歌唱の劇中歌をピックアップ

リアルサウンド

20/2/15(土) 8:00

 2月7日に全国で劇場公開された、ふじた原作による映画『ヲタクに恋は難しい』(福田雄一監督)。隠れ腐女子である主人公の桃瀬成海(高畑充希)と重度のゲームヲタクである二藤宏嵩(山﨑賢人)の不器用な恋愛模様を描いた同作品は、映画.comによると公開から2日間で動員16万9000人、興収収入2億2900万円を達成し、国内映画ランキング第1位に輝いた。

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 本作において福田監督は、原作にはないミュージカル要素を実写映画に落としこむ新しい試みに挑戦。作曲家に『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズや『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』、『シン・ゴジラ』などの映像音楽を手がけたことで有名な鷺巣詩郎、作詞家に特撮テレビドラマ等で楽曲提供をしている藤林聖子や、代表作「残酷な天使のテーゼ」(高橋洋子)で知られる及川眠子など豪華な作家陣を起用し、ミュージカル楽曲を完成させた。また、俳優陣の中には、初めてミュージカルに挑戦するキャストも名を連ね、その歌声とダンスに注目が集まっている。今回は劇中で使用されている15作品の中から、特に印象に残った楽曲を紹介したい。

 この物語は、桃瀬が転職先でヲタク友達でもある幼馴染の二藤と再会、飲みの場でヲタク趣味を理解してもらえず彼氏にフラれたと嘆く百瀬に、二藤から「俺でいいじゃん」と提案され、2人の交際がスタートするところから始まる。ここで流れるのが予告編でも使用されている「いっさいがっさい SAVE THE WORLD」だ。〈非☆リア充!そんなの関係ない/ヲタ充ですから毎日楽園〉とヲタク文化を愛する人たちの気持ちを代弁するようなアニソン風の楽曲を、高畑と山﨑が“コスプレイヤー”たちと共に、東京ビックサイトの前でダンスを踊りながらデュエットする。本作には2017年に日本で公開され、大ヒットした『ラ・ラ・ランド』(デイミアン・チャゼル監督)をオマージュしたと思われるシーンがいくつか存在しているが、このオープニングも『ラ・ラ・ランド』のオープニングで高速道路で大勢の人たちが歌って踊るシーンをどことなく彷彿とさせた。

 二藤が訪れるBar John Doeでは、会社の先輩・小柳花子(菜々緒)とお店のマスター(ムロツヨシ)が歌謡曲テイストの楽曲「花子のオハコはからみ酒」をデュエット。菜々緒は以前、自身が吹き替え声優を務めたディズニー映画『シュガー・ラッシュ:オンライン』で力強い歌声を披露していたが、今回は二藤の良き相談相手で、時に彼を誘惑する役柄なため、艶やかな声で楽曲を歌い上げている。ソロ曲「あなたでいいわ」の〈キレイすぎる顔とプロポーション/文句の付けようもない私〉という歌詞は、圧倒的な美しさを誇る菜々緒のために作られたような楽曲だ。一方ムロは、昨年の夏に公開された『ダンスウィズミー』などでミュージカルは経験済み。劇中では、歌唱パートこそ少ないものの、こぶしを効かせた声と曲の中に折り込んだ台詞で観客を笑わせた。

 ミュージカル初挑戦となる山﨑は、不器用ながらも桃瀬を想う二藤の気持ちを描いたラブソング「僕に何ができるのだろう」でしっとりと歌声を聴かせる。山﨑の低音で安定した歌声に、SNS上では映画公開後、「歌上手い!」「イケボ(イケメンボイス)」という声が挙がっていた。二藤の同僚であるアイドル声優ヲタ・坂本真二(賀来賢人)の推し“まれいたそ”こと、声優の内田真礼は本人役で映画に出演。自身の2ndシングル曲「ギミー!レボリューション」の他に、映画オリジナルソングである「恋の発熱」も披露している。内田のパフォーマンスに合わせて、賀来と山﨑が初めて挑戦した“ヲタ芸”の熱量にも注目してほしい。

 桃瀬の鬼上司・樺倉太郎を演じる斎藤工も、ダンスと歌で物語を盛り上げる。『テニスの王子様』でミュージカルを経験しているだけに、歌声が素晴らしいのはもちろん、披露したタップダンスも見事な完成度だった。映画の中盤、斎藤と高畑がデュエットソング「ダンスは魔法」で息の合ったパフォーマンスを見せる場面では、『ラ・ラ・ランド』でミア(エマ・ストーン)とセブ(ライアン・ゴズリング)がパーティーの帰り道に駐車場で歌って踊るシーンを思い出した観客も多いのではないだろうか。

 そして、本作で最も注目すべきは、歌い手としても評価されている高畑の歌声だ。ミュージカル『ピーター・パン』で2007年から2012年までピーターパン役を務めていた高畑の透明感のある伸びやかな歌声は、感情が揺さぶられる不思議な魅力がある。特に、高畑がたっぷりと時間を使って「星よ教えて」を歌うシーンは、映画館にいることを忘れて、目の前でミュージカルが繰り広げられている感覚になるほどの臨場感。コメディチックな場面が多い本作だが、この時ばかりは観客が真剣な顔でスクリーンに釘づけになっていた。

 また、エンディングで流れる楽曲もSNS上で話題に。どこかで聴いたことのあるメロディと〈残酷な〉というフレーズから、最初は『新世紀エヴァンゲリオン』のオープニングテーマ「残酷な天使のテーゼ」が流れたのかと思うが、その予想は裏切られる。似ているようで異なるパロディソング「我は地を這う」で映画を締めくくるところに、福田監督と鷺巣プロデューサーのこだわりが見えた。映画を観る際には出演者たちがそれぞれ真骨頂を発揮した楽曲にぜひ耳を傾けてみてはどうだろうか。(苫とり子)

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