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蒼井優×高橋一生『スパイの妻』完成 黒沢清監督「全てが最高のかたちで結びつきました」

リアルサウンド

20/5/21(木) 16:45

 高橋一生と蒼井優が共演するスペシャルドラマ『スパイの妻』(NHK BS8K)が完成。6月6日の放送を前に、キャスト、スタッフからコメントが寄せられた。

 本作は、黒沢清監督が初めて8Kで描くラブサスペンス。舞台は1940年の神戸。時代の不穏な空気を感じ取っていた貿易商の男は、妻を残し満洲へ赴く。男はそこで偶然目にしてしまった世にも恐ろしい出来事を、世界に知らしめなければならないと心を決め、行動に移そうとする。その夫の意志を知った妻は、彼の身の安全と2人の幸せのため、これを阻もうとするが……。

 脚本は、『寝ても覚めても』の濱口竜介、『ハッピーアワー』など濱口作品の脚本を手がける野原位、そして黒沢の3人体制で手がけられ、音楽は長岡亮介が担当する。主人公・福原聡子を蒼井、その夫・優作を高橋が演じるほか、坂東龍汰、恒松祐里、みのすけ、玄理、東出昌大、笹野高史らがキャストに名を連ねた。

 黒沢監督の演出は、立ち位置と動き以外は役者に委ねる形だったそうで、蒼井は「終始『正解は何だろう?』と思いながら演じていました。正解を当てに行くというよりは、不正解を知っていくことで役を形作っていくことができたように思います」と撮影を振り返る。

 黒沢組初参加となった高橋は、「監督の世界観は非常に明確でしたので、動きの指示や細かな機微において、提示されたものの中でどれだけの事が出来るか、楽しみながら取り組むことができました」と大きな刺激を受けたと語る。

 黒沢監督は本作への手応えについて、「主演俳優2人が渾身の演技でこの時代のリアリティを体現してくれたこと、そして各スタッフたちがそれを支え、超濃密でどこか神秘的な8K映像が見る者をたちまち1940年代の日本へといざなってくれたこと、全てが最高のかたちで結びつきました」とコメントを寄せている。

コメント
●蒼井優(福原聡子役)
この時代の女性を演じるのは今回が初めてだったのですが、思い描いたところに自分が行けているのか、どこか感覚が凝り固まっているのではないか、と常に自分を疑いながらの撮影でした。また、黒沢監督は、立ち位置と動きを決めてくださって、そこからどうするかは、演じる側の俳優に委ねられるため、終始「正解は何だろう?」と思いながら演じていました。正解を当てに行くというよりは、不正解を知っていくことで役を形作っていくことができたように思います。

●高橋一生(福原優作役)
黒沢監督作品に初めての参加でしたが、監督の世界観は非常に明確でしたので、動きの指示や細かな機微において、提示されたものの中でどれだけの事が出来るか、楽しみながら取り組むことができました。特に、この時代の人間を演じるならではの、現代的な口調ではない台詞群を、どう解釈して出力するかという作業は、個人的にも面白い体験でした。また、撮影終盤には、大掛かりでクラシックなオープンセットを前に、百人以上のエキストラの皆さんが行き交う中で、1カットの非常に長いお芝居をやらせていただきましたが、各部署のスタッフの方々が動いていることを感じてここに参加させていただいていることの感謝と興奮がありました。そして、蒼井さんはお芝居で会話が出来る方なので、とても安心して刺激的な経験が出来たと思っています。

●土橋圭介(制作統括)
映画監督の黒沢清さんを迎えての8K制作のドラマ。この一大プロジェクトを裏方で支えたのは、監督旧知の黒沢組の面々とともに、今回が初顔合わせとなるNHK技術スタッフたち。互いに期待と不安が入り混じる中、スケジュール都合でクランクイン早々、蒼井優さんと高橋一生さんが緊迫したやりとりを5分間ノーカットで見せる終盤のシーンを撮ることに。役になじむ前に、こういうシーンから入ってしまい、お二人はやりにくかったと思いますが、この撮影を序盤に乗り切ったことで、流派の異なるスタッフが1つのチームになったように感じました。素晴らしい演技に強力なスタッフワークが加わり、黒沢監督の新境地とも言える作品が完成しました。

●岡本英之(制作統括)
神戸を舞台とした時代劇を8K・スーパーハイビジョン撮影で黒沢清監督が演出する。映像に関わる誰しも興奮を隠しきれないこの企画は、濱口竜介、野原位の両氏が作に名を連ね、音楽は長岡亮介氏が担当。何より、蒼井優、高橋一生の両氏をはじめとした素晴らしい俳優陣の出演する、まさに「夢のような作品」となりました。完成を迎えた今、このように事実を並べ改めてそのことを実感しています。どうぞご期待ください。

●黒沢清(監督)
過ぎ去った時代がまとう抽象性と、カメラが切り取る生身の人間の実在感とをどうやって両立させるのか、それは最初至難の技に思えました。しかし結果は素晴らしかった。何より主演俳優2人が渾身の演技でこの時代のリアリティを体現してくれたこと、そして各スタッフたちがそれを支え、超濃密でどこか神秘的な8K映像が見る者をたちまち1940年代の日本へといざなってくれたこと、全てが最高のかたちで結びつきました。このような幸運な経験は、私の長いキャリアの中でも初めてのことです。

(リアルサウンド編集部)

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