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大貫勇輔インタビュー ミュージカル版『北斗の拳』は「絶対に何かを感じてもらえる、人の心を動かすパワーを持っている作品」

ぴあ

大貫勇輔 撮影:杉映貴子

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連載終了から30年以上が過ぎた今なお、国内外で大きな人気を誇る伝説的コミック『北斗の拳』を、フランク・ワイルドホーン(『ジキル&ハイド』『デスノート』)作曲、石丸さち子演出、高橋亜子脚本・作詞によりホリプロがミュージカル化する『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』。主人公ケンシロウに扮する大貫勇輔に、稽古場での手応えや意気込みの程を聞いた。

『北斗の拳』って、こんなにもミュージカルに合った作品だったんだ!

――まずは改めて、ご出演が決まった時の心境をお聞かせください。

僕が19歳の時からお世話になっている整体の先生が、原作の大ファンなんですよ。「俺のバイブルだからお前も読め」とずっと言われていたので、大体のストーリーや名ゼリフは前から知っていて。だからお話をいただいた時は、「あの劇画タッチの体に俺はなれないよ!」と正直思いましたね(笑)。原作と台本を読んでからも、あのセリフを生きた人間が実感を持って言うのはものすごく大変だな、という不安が大きかったです。でもチラシ撮影でケンシロウに扮した時、色々な人の力を借りればやれるかもしれない、と思えるようになりました。

――多くの役でWキャストが組まれている中、主役が大貫さんのシングルキャストであることにもプレッシャーがあったのではないかと思います。

うーん、そこはあんまり……(笑)。もちろんWキャストには良い面もたくさんあるし、シングルだと肉体には負担がかかりますけど、「この役は俺だけのものであってほしい」みたいな思いがあったりして(笑)。今回は、石丸さんも亜子さんもプロデューサー陣も、僕が今までやってきたダンスというものを生かした、僕ならではのケンシロウにしよう、という思いで作ってくださっています。すごくありがたくて嬉しいことですね。

――お稽古が始まった今、どんな手応えを感じていらっしゃいますか?

『北斗の拳』って、こんなにもミュージカルに合った作品だったんだ!ということに、やればやるほど気付かされています。正義のために戦って、時にすれ違ったり理解し合ったりしながら成長していって、そこに愛の物語も絡んできて……『レ・ミゼ(ラブル)』だったりの王道ミュージカルたちの根底にあるテーマが、この作品には“全盛り”されてるんですよ。ワイルドホーンさんの音楽が、伝えたいテーマやキャラクターの心情をさらに際立たせていて、ミュージカルにしてほんっとに正解だったんだな!と思わされる。台本を読んで想像していたことを上回ってくることが多くて、毎日泣きながら(笑)、感動しまくりながら稽古しています。

――ケンシロウの役作りは、どのように進めていらっしゃるのでしょうか。

原作や台本の段階であまり作り込まず、板の上に立った時に自分が感じることを大切にしよう、という思いで稽古に臨みました。原作のケンシロウはほとんど表情を変えないから、その時その時で何を感じていたかは、考えるより見つけていくほうがいいと思ったんです。稽古場では、「あ、ここはこう感じるな」「でも待てよ、それはケンシロウじゃなく大貫勇輔が感じてることなのかもしれない」とか、「このシーンでこの感情だと、あとのシーンにつながらないな」とか色々なことが起きていて、今はちょっとずつ調整しているような感じですね。

――演出の石丸さんからは、どんなことを言われていますか?

印象的なのは、ケンシロウが苦悩や葛藤を吐露する冒頭のシーンについてのディレクション。僕が訥々とセリフを言ったら、「もっと情熱的に、色んなことが渦巻いてるように演技してみて」と言われたんです。ケンシロウのイメージからすると意外でしたけど、確かにそうしないと、舞台としては平坦になっちゃうなと納得しましたね。ただ、それから感情を出すようにしたら、今度は「ケンシロウはそんなに感情表現が上手じゃない」と言われて(笑)、まさにそこがこの役の難しいところだなと。感情を出さないとお客さんに伝わらないけれど、感情表現が豊かだとケンシロウじゃなくなっちゃう、そのちょうどいいバランスを探しているところです。

『メリー・ポピンズ』のオーディションで歌のスイッチが入りました

――先日の製作発表では歌唱披露もありました。初挑戦となるワイルドホーンさんの楽曲については今、どんな印象をお持ちですか?

最初に聴いた時は、耳心地が良くてかっこよくて、歌いやすそうだなあと思ったんです。でもいざ役として歌ってみると、音楽の持つパワーに負けないように、お芝居をしながら歌うのはすごく難しい。“良い曲”って、メロディーが先に耳に来ちゃって、伝えたい歌詞が届きづらくなるような気がするんですよね。でもだからこそ、音楽のパワーとお芝居がうまくフィットした時には、より大きな感動をお客さんに届けられるんじゃないかと思っています。

――単純に疑問なのですが、ダンサーの大貫さんが、難しいと評判のワイルドホーンさんの楽曲を歌えるほどに歌がお上手な理由とは?

歌が上手!?嬉しいです(照)。ミュージカルを始めて10年、レッスンはずっとしてるんですが、最初のうちは、「自分はダンサーだから」というプライドのようなものがずっと邪魔していて。意識が変わったのは、『メリー・ポピンズ』(2018)のオーディションの時。長期のオーディションだったんですが、「君はあと歌さえ良ければバートになれる」とずーっと言われていて、最終審査を前にした時に「これを逃したらダメだ」って、自分の中で歌のスイッチが入ったんです。そんなことを経て、今年いただいた『王家の紋章』のイズミルは、歌の比重が高い役。踊りを封印して、歌だけで人を魅了しなきゃいけないという逃げ場のない時間は、本当に苦しかったですけど、ものすごくありがたかったですね。色々な経験をして、歌に対する向き合い方が少し分かってきた状態で今、この稽古場にいられているような気はしています。

――ちょうどいいタイミングだったのですね。では、製作発表では披露のなかった、ダンスやアクションの印象はいかがでしょうか。

ダンサーとしてのキャリアが始まった17歳から16年、色んなことをやってきましたけど、今回のアクションシーンは歴代1位のキツさですね(笑)。たぶん抜きどころみたいなものがあって、僕はまだそれが分からなくて力み過ぎているんだとは思うんですが……「本当にできるのかな?」と思っているくらいしんどいです(笑)。でもできたらめちゃくちゃ見応えがあると思うので、そこは楽しみにしててほしいですね! ダンスに関しては、僕のソロは“踊り”というより苦悩の“肉体表現”という感じ。僕は辻本(知彦)さんの振付しか踊らないのですが、顔安(ヤン・アン)さんが振付するシーンもあるので、ダンスも大きな見どころになると思います。

――見どころといえば、豪華キャストも外せないところかと思いますが、大貫さんが個人的に気になっている共演者をひとり挙げるとしたら……?

うわ、難しい! 待って待って待って、誰かな、いっぱいいるけど、うーん……ひとりだけ挙げるなら、宮尾俊太郎(ケンシロウの兄ラオウ役/福井晶一とWキャスト)かな! 『ロミオ&ジュリエット』(2013)の死のダンサー同士として出会ってから8年、大人になってからできた親友と言える俊太郎と、兄弟役として舞台上で対峙したらどんな思いになるのか気になります。ヤツをお兄ちゃんと呼ぶ日が来るとは思ってもみなかったですから(笑)、本当に感慨深いものがありますね。でも本当、仲のいい人がいっぱいいるので、全員気になってます(笑)!

――ムチャブリすみませんでした(笑)。最後に改めて、原作ファンの方と原作を知らない方、それぞれに向けてお誘いメッセージをお願いします!

まず原作を知っている方には、「このシーンをこう作ったか!」という驚きや、「原作にはないシーンだけど、このキャラクターがこう思ってた可能性はあるよね」という新たな気付きがたくさんあって、間違いなく楽しんでいただけると思います。でも僕は、原作を知っていても知らなくても、男性でも女性でも、どなたでも絶対に何かを感じてもらえる、胸打たれるシーンのたくさんある作品になるという確信がすでにあって。この作品で描かれるのは、人間が生きる上での根源的なテーマで、それを石丸さんは今回、原作を知らない人にも伝わることを大切にして演出されています。だから稽古場で、僕らもみんっな毎日泣いてるわけですよ(笑)。それくらい人の心を動かすパワーを持っている作品なので、ぜひたくさんの方に観に来ていただきたいです!

※辻本(知彦)さんの「辻」のしんにょうは点1つが正式表記

取材・文:町田麻子 撮影:杉映貴子

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ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター~北斗の拳~』
2021年12月8日(水)〜2021年12月29日(水)
会場:東京・日生劇場
ほか、2022年1月に大阪・名古屋公演、2022年秋に中国ツアー公演あり

チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2185963

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