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画家・藤田嗣治の2つの時代を通し、表現者の倫理とは何かを問いかける 劇団印象-indian elephant-『藤田嗣治~白い暗闇~』開幕

ぴあ

劇団印象-indian elephant-『藤田嗣治~白い暗闇~』チラシ

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劇作家・演出家の鈴木アツトを中心に、2003年に立ち上げられた劇団印象-indian elephant-の新作『藤田嗣治~白い暗闇~』が10月27日(水)より下北沢・小劇場B1にて開幕。印象と書いて“いんぞう”と読む同劇団は、「遊びは国境を越える」という信念の元、遊びから生まれるイマジネーションにより言葉や文化の壁を越えて楽しめる作品を展開。劇場を出た観客の生活や目に映る日常の景色の印象をガラッと変える舞台芸術の発信を目指している。今回は、第二次世界大戦時に国家によって翻弄された芸術家を描く「国家と芸術家」三部作シリーズの1作を上演する。

同シリーズは、エーリヒ・ケストナー、藤田嗣治、ジョージ・オーウェルの3人に注目するもの。昨年はドイツの児童文学作家ケストナーの評伝劇を上演し、ナチスによって出版禁止処分を受けた彼の人生が、新型コロナウイルスによって活動を制限された人々の生活と重なり、多くの共感を得ている。今回は1920年代初頭に乳白色の下地″という独自の技法を確立し、日本人として初めてパリで成功した画家・藤田嗣治を題材に。彼の人生の、パリ時代(1913年~29年)と、日本に帰国後、トレードマークのおかっぱ頭を丸刈りにし、軍部の協力要請に従って「アッツ島玉砕」等の戦争画の創作をしていく太平洋戦争時代(1938年~45年)に焦点を当てた評伝劇を創作。戦争画とは戦争を題材として描かれた記録絵画で、軍の宣伝や戦意高揚に利用されたものだが、本作では戦争画を巡る大波に藤田がどう巻き込まれていったのか、新聞記者・住喜代志との関係の中で描いていく。

作・演出の鈴木は「エコール・ド・パリの寵児と言われ、1920年代に大成功した藤田嗣治。国際経験も豊富な彼が、なぜ日本型ファシズムに乗っかり戦争画を描くに至ったのか? 太平洋戦争時の藤田がどんな野心を持っていたのか? 書くことで体感しようと思い、この戯曲を書き始めた」とコメントしている。藤田嗣治の2つの時代を取り上げた作品で、なぜ彼が日本にこだわり、戦争画を描くのに至ったのかを描き、表現者の倫理とは何かを問いかける。

文:伊藤由紀子

劇団印象indianelephant『藤田嗣治~白い暗闇~』
2021年10月27日(水)~2021年11月2日(火)
会場:東京・小劇場B1

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