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鈴木理策の写真展『知覚の感光板』にフランスやアメリカの風景捉えた23点

CINRA.NET

18/11/28(水) 20:45

鈴木理策の写真展『知覚の感光板』が2019年1月16日まで東京・品川のキヤノンギャラリーSで開催されている。

1963年に和歌山で生まれた写真家の鈴木理策。1998年に故郷の熊野をテーマにした初の写真集『KUMANO』を刊行し、2000年には『PILES OF TIME』で『第25回木村伊兵衛写真賞』を受賞した。作品はサンフランシスコ現代美術館、ヒューストン美術館、東京国立近代美術館、東京都写真美術館などに収蔵されている。

同展では、芸術家のあるべき姿を「知覚の感光板」と表したポール・セザンヌの言葉に感銘を受けた鈴木が、近代の画家たちがモチーフにしたフランスやアメリカの風景を撮影した作品を紹介。展示数はキヤノンの大判プリンター「imagePROGRAF」で印刷された23点となる。

鈴木理策のコメント

「知覚の感光板」は画家セザンヌの言葉です。
芸術は自然に照応するひとつの調和であり、そこに芸術家個人の表現意図を持ち込むべきではない。自分の中にある先入観を忘れ、ただモチーフを見よ。そうすれば、知覚の感光板にすべての風景が刻印されるだろう、と語るセザンヌは、芸術家の身体を感覚の記録装置とみなし、受け取ったすべてを画布に定着させようと試みました。匂いや音など視覚以外の感覚も色彩によって表すことができると信じ、「目に見える自然」と「感じ取れる自然」が渾然一体となるように描いたセザンヌの絵画は、「何を描いたか」ではなく「モチーフから感じ取ったもの」そのものを私たちに見せてくれます。
写真の場合、カメラは表現意図を持たず、ただ純粋に対象を知覚します。カメラの機械的な視覚は、人間の見え方とは大きく異なります。私たちは行動に必要な情報だけを取捨選択してものを見ているからです。カメラの純粋知覚は私たちが見捨てた世界の細部をも写し出してしまう。その基本的な性質にあらがうように、多くの写真家は構図やフォーカシング、シャッタータイミングの選択を駆使して、画面の中に自らの刻印を残そうとしています。
今回、近代の画家たちがモチーフに選んだ土地を撮影しました。彼らが向き合った風景を訪れると、その創意を直に感じられるようでした。この旅の中で、レンズの純粋さを信頼し、写真の本性を手に入れられたらと、改めて強く感じました。

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