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『Heaven?』前半戦の締めくくりに! 一目でわかる、木村ひさし演出ならではの小ネタの数々

リアルサウンド

19/8/14(水) 12:00

 店長の堤(勝村政信)は、かつて勤めていた牛丼屋の仲間たちが「ロワン・ディシー」に来たことで俄然やる気をみなぎらせ、店をさらなる高みへと連れていくのだと宣言。お客様を満足させるため“ホスピタリティ”の充実を図ろうと躍起になるが、そのせいで仮名子(石原さとみ)と意見を対立させてしまうことに。13日に放送されたTBS系列火曜ドラマ『Heaven? ご苦楽レストラン』第6話は、これまでのエピソードで描かれてきた各キャラクターの掘り下げの締めくくりとともに、レストラン「ロワン・ディシー」の“あり方”を定義するエピソードとなった。

参考:ほか場面写真はこちらから

 牛丼屋に戻るべきかロワン・ディシーに残るべきか悩んだ堤は、仮名子に1週間だけ自分の自由にやらせてくれと申し出る。その結果として、客から言われた頼みをすべて請け負う羽目になり、店は大混乱の状態に陥ってしまうのだ。フレンチレストランなのに箸を求める客(もっとも、これは意見が分かれるところであり、箸の用意がされているフランス料理店というのは日本だけでなく海外でも、また高級店でも見受けられるものだ)や、マヨネーズを求める客、さらには持ち込みのケーキを食べ始める客まで現れる始末。

 結果的に繁盛させるために必死になって、客の顔色を伺ってばかりで楽しそうではない堤に、仮名子は「お客様に寄り添うのは結構。でも一番大事なのは自分よ」と解く。たしかに、今回のテーマである“ホスピタリティ”とは、言葉だけを捉えてしまえば客を「おもてなし」するということに他ならないわけだが、その行動によって客が喜び、もてなした側もその喜びを共有し合うことによってはじめて成立するものである。そこに何らかの、たとえ些細なものであろうと“犠牲”が伴ってしまっては、“ホスピタリティ”でも“おもてなし”でもなく単なる自己犠牲に過ぎない(これはレストランなどの接客業に限った話ではないというのは言うまでもないだろう)。それを良しと思うのか否かはともかくとして、少なくとも「ロワン・ディシー」という店の“あり方”は後者だというわけだ。

 ところで、こうした店長・堤の試行錯誤の物語が展開したのは今回のエピソードの後半のみ。前半には、待ち人が隣接の葬儀場の地下(納骨堂があるらしい)にいるからと2人分の料理を注文する女性のミステリアスなエピソードが、古典的なコントのようなオチに至るまで実に30分もかけて展開した。また牛丼屋のシーンで登場する天山広吉などプロレスネタが炸裂した時点で、今回が木村ひさし演出だと一目でわかるのだが、こうしたゆるい小ネタの数々は、ドラマ自体がかなりゆるめに展開する本作においてはあまり効果的に機能しないのではと思えてならない。以前木村がチーフ演出を務めた『99.9』のような、シビアな題材でこそ、そのメリハリがユニークに映るのではないだろうか。

 とはいえ時間の流れが早いという点は、このドラマの評価できる部分といえよう。あっという間に(特に何が変わったのか釈然としないままではあるが)ロワン・ディシーの開店から1年が経ち、ドラマのエピソードとしても主要人物へのフォーカスが一通り済まされたことで、ひと段落を迎えたと見える。はて、次回からどのように物語が運ばれていくのか少しばかり楽しみに思えると同時に、それは紛れもなく、このドラマにとって大きな試金石となるということでもあるのだ。  (文=久保田和馬)

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