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WeNeedCultureが声明発表、小林三四郎「“映画の出口”に対する労りがまったくない」

ナタリー

左からNozomi Nobody、小林三四郎、諏訪敦彦、西原孝至。

演劇・音楽・映画・美術の4ジャンルを横断した共同体「WeNeedCulture」の記者会見が7月19日に東京・Flowers Loftで行われた。

文化芸術に対する公的支援を求めて共同キャンペーンに取り組んできた同団体。オンライン配信も行われた今回の会見は4度目の緊急事態宣言に対する「WeNeedCulture」の見解を声明文として発表し、各ジャンルの現状を伝えるため開かれた。

まず「SAVE the CINEMA」より弁護士・馬奈木厳太郎が声明文を読み上げる。「WeNeedCulture」が声明で表した要望は「持続化給付金の再支給」「文化芸術関係団体、フリーランスの個人への使途を問わない特別給付金の支給」「緊急事態宣言下における根拠のない休業要請、時短営業や客席減への要請・協力依頼を回避すること」「施策の実施にあたって、行政は説明責任を果たすこと」という4点だ。

声明文では休業、時短営業の要請や協力依頼がどのような根拠にもとづいて策定されたのか、行政から具体的に示されていないことを指摘。要請や依頼に応じたことでの損害や利得、措置の効果について説明する責任が行政にあると述べている。要請・依頼に準ずることの影響は大きく「経済的な損失以上に、活動そのものの存続や、そこに携わる人たちの動機を奪うことにもつながりかねません」との記載も。さらに活動制限に関し、業種によって扱いが異なることに疑問を呈した。

また緊急事態宣言下で開催されようとしているオリンピック、パラリンピックにも触れ「発令は、人命を守るためというのがその趣旨だと考えますが、オリンピック・パラリンピックを開催することは、そうした趣旨と矛盾しないのでしょうか」「今回の開催は人命の尊重に反し、他の多くの犠牲の上に成立がなされたものであり、社会の分断を招くものになっているのではないでしょうか」と問う。

続いて、各分野の代表者が現状を語っていく。「SAVE the CINEMA」からは小林三四郎、諏訪敦彦がステージへ。小林は「文化や芸術に対する助成があまりにも形骸化していて、実効的ではないことが改めて如実になった」「映画の場合は制作への助成に偏っていて、配給や劇場といった“映画の出口”に対する労りがまったくない」と述懐する。文化庁が実施しているものの採択の遅れが著しいというARTS for the future!事業にも言及し、「助成があることはありがたいが、現場に即していない」とはっきり口にした。

諏訪は「全国すべての映画館から、映画が消えた瞬間を経験しました」と話し、「最初に省庁要請したときだったかな。ある与党議員が『労働なき富の配分はしない』と言ったんですよ」と回想。「ただお金を配ることは愚かなことであるという政治的体質を、長い時間の中で身に着けたんだろうと。でも社会は変わったのではないか。そういうやり方では世の中は進んで行かないぞという気がする。今は何度言っても通じないだろうが、言う必要はある」と訴える。さらに「支援はばかにならない金額だと思います」「文化庁だって、現場で対応してくれる方はがんばってやってくれている」と述べ、「でも政治的な声は僕たちに届いて来ないし、支援策に対する疑問を払拭できない。変わらないとは思いたくないので、言い続ける必要がある」と語った。

最後に西原孝至は、「WeNeedCulture」では今後文化芸術に関する法律の改正を求めていくと話す。さらに秋の衆議院議員選挙があることを踏まえ、各政党には文化芸術についてどう考えているのかを提示し、支援方法を公約に盛り込むよう働きかけていくと伝えた。

なお今回のイベントには演劇分野より「演劇緊急支援プロジェクト」の福島明夫と坂手洋二、音楽分野より「SaveOurSpace」のスガナミユウと「#SaveTheDance」のNaz Chris、美術分野より「art for all」の川久保ジョイと笠原恵実子が参加した。

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