横溝静 「That Day あの日」
20/3/28(土)
横溝静が新作を披露する展示が始まっている。その中心を成すのはひとつの映像作品。
そこに映し出されるのは、海辺で撮影されたのであろう家族写真。作家の父親が撮影した、古い写真らしい。また、同じ海辺で近年撮影された、作家本人と母親が写る写真も出てくる。どちらも薄く張った液体に浸かっているのは、どうやらこの像がまさに印画紙上に現像される作業の真っ最中だからということのよう。
時折り室内の照明が明るくなって、投射されている映像画面が見えなくなったりもする。その仕掛けも含めて、常に生成されまた消えていくという記憶のありようが、ここに十全に可視化されている。見てはいけないものを見てしまったような、静かだけれど大きな衝撃が、観る側の胸に押し寄せてくる。
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