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平手友梨奈、「ダンスの理由」MVに描かれた彼女が背負うストーリー “太陽”と“月”で表現されたメッセージ性を読み解く

リアルサウンド

20/12/27(日) 6:00

 平手友梨奈が、12月25日に1stシングル「ダンスの理由」をリリース。ソロアーティストとして、本格始動を果たした。映画、雑誌、テレビと徐々にメディア露出を増やしていく中、ファンにとっては何よりのクリスマスプレゼントになったに違いない。

 「ダンスの理由」が初めて披露されたのは、12月9日放送の『2020 FNS歌謡祭 第2夜』(フジテレビ系)でのこと。何を披露するかはオンエアをもって発表という注目が集まる中での圧巻のパフォーマンスであった。作詞は秋元康、作曲は欅坂46「誰がその鐘を鳴らすのか?」の辻村有記と伊藤賢との連名で平手友梨奈の名も並んでいる。制作に一から携わった初のオリジナル曲というのが、この「ダンスの理由」最大のキャッチだ。アーティスト写真、後に公開となったジャケット写真とは相反するような重厚なサウンドに、がなり声にも似た平手の歌声、ダンサーを引き連れた彼女の踊りは、様々なストーリー性を含みながらも〈何度だって踊るよ〉というシンプルなメッセージを体現している。

 そして、12月22日にはMVを公開。監督は欅坂46で「二人セゾン」「不協和音」「風に吹かれても」「ガラスを割れ!」「アンビバレント」「黒い羊」と多くの表題曲のMVを手がけてきた新宮良平。振付師には新たにAmamiを迎えた。踊る意味、踊り続ける意味を表現した映像には、平手のほかにも「The Sun」「The 4 Planets」「Dancer」の登場人物が存在している。鹿のような被り物に民族衣装を纏う「The Sun」と平手に注目して観ていくと、2人が対照的に描かれているのが分かるだろう。〈結局 あの娘(こ)を見てると 一番辛かった頃の私を思い出すの/誰かがいてくれたら普通でいられた/誰もいなかったら 仕方なく/踊るしかなかったんだ〉というフレーズでは、まるで昔の自分と対峙するかのように「The Sun」を見つめつぶやき、間奏に突入していく。

 これは推測の域を出ないが、平手が表現しているのは月ではないだろうか。〈その光はどこを照らしてるのか?/遠い場所から希望は見えているのか?〉という冒頭の歌詞に、やがて「The Sun」と反転していく平手の踊り。かつて、SEKAI NO OWARI「スターゲイザー」のMVで、満月をバックにダンスを踊ったこともあった。そんな孤独の象徴である月=平手が、大サビでは自ら「The Sun」の前に出て激しくパフォーマンスする。〈誰かの悲しみを癒す/その一瞬のために夢のようなターン決めよう〉と歌うのは、観ている人を救うため、〈あの頃の私〉を救うためだ。

 驚くのは、MVのコメント欄には各国から賞賛の声が寄せられていること。平手が背負うストーリー性を抜きにしても、彼女の表現するパフォーマンスには言語の壁を越えたメッセージが宿っているということになる。平手は今後、年越しの『CDTV ライブ!ライブ!年越しスペシャル 2020→2021』(TBS系)に出演予定。彼女が抱えるファンダムの領域から、また次のフィールドに進む時期は近いだろう。

平手友梨奈 『ダンスの理由』MUSIC VIDEO

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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