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日本・タイ共同制作による燐光群『安らかな眠りを、あなたに YASUKUNI』が開幕

ぴあ

20/3/18(水) 0:00

燐光群『安らかな眠りを、あなたに YASUKUNI』

社会性や実験性の高い斬新な新作公演を重ねている燐光群。彼らが2016年から3年間実施した「アジア共同プロジェクト」では、タイとフィリピンで取材やワークショップを行い、両国の俳優・演出家を招いて清水弥生作の2本、『Summer House After Wedding』(2016年)と『リタイアメン』(2018年)を東京で初演。バンコク、チェンマイ、マニラでのツアーでも好評を博したが、今回は同企画に参加していたタイの気鋭、ニコン・セタンの戯曲『Rai Phamnak』を、日本版『安らかな眠りを、あたなに YASUKUNI』として、セタンと坂手洋二の共同演出で上演する。

物語に登場するのは、亡霊となった昔の彼女に取り憑かれているワンチャイ。そして、幼なじみのシンスケの霊魂を探している日本兵の亡霊タダシ。彼は、泰緬鉄道が建設されていたカンチャナブリで消息を絶っていた。現在のバンコクで、不思議な出会いを果たした仲間たち。迷いながらたどりつく、それぞれの真実とは……。

本作は、アジアの演劇人が初めて日本の靖国神社について描く作品であり、歴史性にポップさとユーモアを交えながら、伝統と現代、国際性を融合した国際合作。セタンは今回の上演に向けて「靖国神社。その名前は安らぎの地を意味し、第二次世界大戦よりも遥か昔から、国のために犠牲となった老若男女すべての人々の御霊を祀るという大切な意味をもっている。それなのに何故、日本の首相がこの神社を参拝するたびに、中国、韓国からの抗議の火種になってしまうのだろうか」と疑問を呈する。また、作品については「バンコク・サムヤンに私たちの劇団が持っていた小さな劇場を閉館する前の最後の作品だった。あれから13年を経て、ついに、この作品を日本で上演することになった。私にとっては、タイで行方不明になった日本人の帰国の手助けをするような感じだ。日本の人たちがどう受け入れてくれるか、想像するとわくわくする」と語る。

燐光群とタイ気鋭のアーティストが、戦争の時代と現在、霊界と今を生きる人間の交錯を描き出す舞台は、3月20日(金・祝)から29日(日)まで東京・劇場MOMOにて上演。

文:伊藤由紀子

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