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「宝塚にはすべてが詰まっています」明日海りおサヨナラ公演が東京へ

ナタリー

19/10/18(金) 18:56

左から明日海りお、華優希。

宝塚歌劇花組 三井住友VISAカード シアター「Musical『A Fairy Tale ─青い薔薇の精─』」「レヴューロマン『シャルム!』」東京公演が、本日10月18日に東京・東京宝塚劇場で開幕。初日公演に先駆け同日、公開舞台稽古と囲み取材が実施された。

これは、花組トップスター・明日海りおのサヨナラ公演。第1幕「A Fairy Tale ─青い薔薇の精─」は、19世紀半ば、産業革命による経済発展のいちじるしいイギリスを舞台とした作品だ。青を基調とした衣装をまとう植物の妖精たちが軽やかなダンスで幻想的な雰囲気を立ち上げる一方、舞台上にいくつも設置された時計型の美術はせわしなく光り、「時は金なり」と利益を追求する実業家や、ロンドンの環境汚染が深刻化している描写も登場した。

明日海は自然界の掟に背いた罪で、闇と孤独に閉じ込められた“青い薔薇の精”エリュの神秘性を美しい身のこなしで表現し、エリュが人間の女性シャーロットへの切ない思いを募らせる様子を繊細に演じる。可憐な佇まいでシャーロット役を務める華優希は、彼女の少女時代から高齢に至るまでを巧みに演じ分けた。

作・演出を稲葉太地が手がける第2幕「シャルム!」は、フランス語で魅力、色香、魔法、呪文などを意味する言葉“シャルム”をキーワードに掲げたレビュー。冒頭では舞台上手の壁に設けられた丸い小窓から華がひょいと顔を出して愛らしい笑顔を見せ、観客をショーの世界に引き込む。明日海は長い手足を生かしたシャープなダンスと、伸びやかな歌声で会場を魅了。終盤では黒燕尾姿の明日海と花組次期トップスター・柚香光が2人で踊り、明日海が柚香の背中を優しく押す演出も取り入れられ、場内の涙を誘った。

舞台稽古後の囲み取材には、明日海と華が出席。まず明日海は立ち位置に迷う華に「その白い紙の前に立つんだよ」と優しく声をかけ、報道陣を和ませる。「退団は初めてでして……」と茶目っ気たっぷりに切り出す明日海は、「宝塚大劇場公演ではバタバタしていました。その後、改めてお稽古したことで、『よし、もっといい作品にするぞ』と前向きな気持ちが湧いてきて、『卒業のことはあとで考えよう』と思っています(笑)」と、目の前の公演に向け気合十分。「とにかく明日海さんについていきたい」と言葉に力を込める華は、「明日海さんがよりよい作品にしようとしている姿を見て、私も日々成長し、よい舞台を作れるように精一杯がんばりたいと思いました」と抱負を述べた。

作品の見どころについて明日海は「A Fairy Tale ─青い薔薇の精─」の華の演技に触れ、「彼女は素直に役の気持ちでいてくれるので、私はそれに身を任せています」とコメント。さらに明日海は「シャルム!」の黒燕尾の振付は安寿ミラが担当したことに言及し、「黒燕尾は長年研究し、大事にしてきた」と思い入れの強さを語る。華は「シャルム!」後半で明日海が歌う「CHE SARA(ケ・サラ)」を見どころに挙げ、「お稽古場でも、お客様からもすすり泣きが聞こえました」とエピソードを明かした。

最後に記者から、明日海にとっての“宝塚”とは何か?と質問が。明日海は「真剣に語り始めると、1週間くらいかかりますが(笑)」と前置きし、「宝塚にはすべてが詰まっています。私の憧れで夢、愛するものであり、やるべき仕事とも思っています。苦しみもありますし、この(スターの)立場になってからは責任も感じるようになりましたが……素直な気持ちを言えば、宝塚は私の大好きなものです」と笑顔で締めくくった。

上演時間は休憩30分を含む約3時間。公演は11月24日まで。

宝塚歌劇花組 三井住友VISAカード シアター「Musical『A Fairy Tale ─青い薔薇の精─』」「レヴューロマン『シャルム!』」

2019年8月23日(金)~9月30日(月)
兵庫県 宝塚大劇場

2019年10月18日(金)~11月24日(日)
東京都 東京宝塚劇場

「Musical『A Fairy Tale ─青い薔薇の精─』」

作・演出:植田景子

「レヴューロマン『シャルム!』」

作・演出:稲葉太地

出演:明日海りお、華優希、柚香光 ほか

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