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SUPER BEAVER、大きな愛と信頼に満ちた15年ぶりの渋谷公会堂

ナタリー

SUPER BEAVER「SUPER BEAVER『アイラヴユー』Release Tour 2021 ~圧巻のラクダ、愛のマシンガン~」東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)公演の様子。(撮影:青木カズロー)

SUPER BEAVERが昨日6月24日に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)でホールツアー「SUPER BEAVER『アイラヴユー』Release Tour 2021 ~圧巻のラクダ、愛のマシンガン~」のファイナル公演を開催した。

最新アルバム「アイラヴユー」を携えて、2月にリリースツアーをスタートさせたSUPER BEAVER。各地でのライブハウス公演を経て、バンドは4月からホール会場に舞台を移して全国を回ってきた。最新アルバムの1曲目「今夜だけ」でオープニングを飾った彼らは、「さあ、ファイナルへようこそ! 本日、ぶっ飛ばしていきますので最後までよろしくお願いします!」という渋谷龍太(Vo)の言葉を皮切りに「歓びの明日に」を勢いよくプレイ。希望に満ちたみずみずしいバンドサウンドが会場いっぱいに広がると、オーディエンスも拳を高く突き上げて彼らの演奏に応えた。そして4人はその勢いを一瞬たりとも緩めることなく、「ハイライト」へ突入。渋谷は1階席から3階席まで余すことなく見つめながら、オーディエンスとかけがえのない時間を分かち合った。

渋谷は会場に“来る”ことを選択した人の思いも、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みて“行かない”という選択をした人の思いもどちらも尊重したうえで、「あなたが選んできてくれたからには、最高の日を作ろうって心に決めてこの場所に立っています」と力強く語り、「歌がうまいやつはごまんといるかもしれないし、演奏がうまいバンドもたくさんいるかと思いますが、あなたのことを考えて音楽をできるのは、間違いなく俺たちが一番だと思ってます。今日会えたこと、本当にうれしいです。最高の日を、俺たち4人だけではなくあなたと一緒に作りたいです」と思いを噛み締めた。「美しい日」では声を出せなくとも観客が一体感のあるハンドクラップを響かせたりジャンプをしたりと、それぞれの方法で気持ちをステージにぶつける。そんなオーディエンスの姿を渋谷は頷きながら見渡し、「しっかりと届いてます! 全部受け取って倍にして返す!」と叫んで大きなエネルギーを歌に乗せて放った。

「閃光」では渋谷がマイクを客席に向け、オーディエンスの“心の声”に愛おしそうに耳を傾ける。その後ビビッドなスポットライトの下で演奏されたのはロカビリー調のナンバー「irony」。観客が思い思いに体を動かし、会場はダンスフロアと化す。「mob」ではループする気だるげなギターリフとリズムが心地のいい空気を生み出した。「おかげでとても楽しいです!」と渋谷は無邪気な笑顔を浮かべ、15年前に「TEENS' MUSIC FESTIVAL」でこのステージに立った頃のことを振り返る。そして「そのときは音楽に対していろいろ考えていて、将来何をやるか、決めてなかったんですよ。何がなんでも歌が歌いたいって、15年前は思ってなかった。でも、このステージに立ったときに何か変わった。『誰かの何かになりたい』って思った」と今日の彼らへと続く大切な思いを語った。渋谷が「俺たちの音楽を愛してくれて、本当にありがとうございます。俺たちもあなたのことをめちゃくちゃ愛してます」と伝えると、バンドはその気持ちを示すように「自慢になりたい」を演奏。オーディエンスはまっすぐにステージを見つめながら、じっくりとその歌に聴き入っていた。

心躍るような晴れやかなメロディが広がる「予感」を経て、「2020年4月、メジャーレーベルと再契約。改めまして、17年目の新人、SUPER BEAVERです。よろしくお願いします」という渋谷の挨拶を皮切りにバンドは勢いよく「正攻法」を投下。メンバーのプレイはどんどん激しくなっていき、そのまま「突破口」をすさまじい熱量で演奏した。渋谷は「本日、あなたのことを俺たちがどれだけ愛しているのかっていうのを、このステージの上から見せようと思います。相当重たくて大きいものですが、たぶんあなたなら受け取ってくれると思っています」と確かな口調で語り、オーディエンスもその言葉に大きな拍手で応える。「信頼してるぞ! めっちゃ愛してます、ありがとう!」と渋谷が伝え、熱唱したのはアルバムのリード曲「アイラヴユー」。温かなメロディに乗せてまっすぐに愛を歌った渋谷は「当たり前だろっていうこと、ちょっと恥ずかしいかなって思うこと、胸張って歌えなくて何がバンドマンだよ!」と言い放った。

ライブ終盤の「東京流星群」ではステージ背景に星のように美しい光がきらめき、エモーショナルなアンサンブルに観客の拍手が重なる。渋谷は「これからどんな日々が待ってるのか見当もつきません。『大丈夫だよ。よくなるよ』って言えないし、俺もわからない」と正直に語ったうえで「どんな日々がこの先待ってるかわからないこそ、それぞれがんばって、また会いたいなと心の底から思ってます。『一緒にがんばろうぜ』って言わないのは信頼しているからです。あなたはあなたの道しか歩けないし、俺たちは俺たちの道しか歩けない。正直、その道に入ってどうにかできるわけではない。ただ、絶対越えられない何かを音楽を使って、どうにかして少しでも越えたいと思ってる」とまっすぐにオーディエンスに伝えた。マイクから離れて渋谷が地声のみのアカペラで歌い始めたのは「時代」。高らかな歌声がホールに響き渡り、そこに温かなバンドサウンドが重なっていく。最後に「あなたの前で歌いたかったです」という言葉とともに披露されたのは、7月7日にリリースされるニューシングルの表題曲「名前を呼ぶよ」。多くの人とつながってきたバンドの軌跡を象徴するようなこの曲を力強く演奏し、4人はステージを去って行った。

大きな拍手に呼ばれて再びステージに姿を現した彼らは、温かな愛に満ちたナンバー「愛しい人」を演奏。そして「次会う日まで、お互い元気で!」という言葉とともにアルバムのラストを飾るナンバー「さよなら絶望」をなりふり構わずに全力でプレイし、晴れやかな表情でツアーファイナルを終えた。

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