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象は静かに座っている

19/10/29(火)

若者と家族、彼らを取り巻く世界からいまの中国が見えてくる。これが処女作で遺作になった29歳の新人監督の差し出した現在の中国は、誰ひとり4時間もの長い上映時間の中で“ありがとう”と言わない国だ。ドラマの進行とともに主役へと絞られるのは17歳の少年少女と老人が1人。少年は友人をかばって殺人者になり、少女は教師との不倫がSNSにばら撒かれる。老人は老人ホームに追い払われようとしていた。それぞれが不幸を背負ったとき、看板で見た満州里のサーカスで座っている象のもとへ行くことを目指す。そこが暗い現実の出口になるか? 誰も“ありがとう”と言わない国で象を求める3人がさりげない行動で示した思いやりにほっとさせられた。

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