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TWICE、Superorganism、Now United……エンタメ業界における多国籍グループの波

リアルサウンド

18/8/15(水) 8:00

 ひと昔前は、アジア圏のロック/ポップアーティストがアメリカで成功を収めることは非常にハードルが高いと言われてきた。ここ日本に焦点を当てても、80年代のLOUDNESSのようなケースはあるものの、例えばBillboardチャートのトップ40に入るのは至難の技。インターネットが普及し始めた2000年代に突入してからは、海外と日本との間にあったカルチャーの“時差”がほぼなくなったこともあり、また簡単に他国の音楽に触れることができるようになったため、ひと昔前ほどの壁はなくなりつつある。その結果がBABYMETALの世界的成功であり、隣の国・韓国のBTS(防弾少年団)のBillboard 200(アルバムチャート)での1位獲得という快挙に表れている。

BTS (방탄소년단) ‘FAKE LOVE’ Official MV

 そんな中、ここ最近アジア圏のアーティストが新たな活動スタイルを見せ始めている。そのひとつが、“多国籍化”ではないだろうか。多国籍化とは文字どおり、メンバー全員が同一国のメンバーではなく、複数の国のメンバーを含むことを指し、この活動形態により、さらなるグローバルな展開を目指すというものだ。

 この多国籍化、実はもっとも身近なところではK-POPアーティストがすでに積極的に取り入れている。日本でも人気の高いTWICEはそのもっともたる好例で、ご存知のとおり日本や台湾出身メンバーを含む。K-POPグループの多国籍化については本サイトでも過去に紹介しているので、そちらを参考にしてもらいたい(参考:TWICE、PENTAGON、SEVENTEEN……K-POPグループ“多国籍化”の背景は?)。

TWICE(트와이스) “Dance The Night Away” M/V

 この多国籍化の波は、ロックシーンにも影響を及ぼしつつある。先日大成功のうちに幕を下ろした日本最大級のロックフェス『FUJI ROCK FESTIVAL ’18』にも出演し、早くも来年1月にジャパンツアーが決定したSuperorganismもそういった新機軸を打ち出すバンドのひとつだ。彼らの興味深いところは、インターネットを介して日本、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドのメンバーが集ったこと。曲作りはデータのやりとりで簡単に行うことができるし、実際に顔を合わせることなくアクションを起こせるのは、インターネット世代ならではといったところだろう。

 すでに彼らは英『BBC』や米『Rolling Stone』など海外メディアで「今、注目のアーティスト」として紹介され、フランク・オーシャンやエズラ・クーニグ(Vampire Weekend)、宇多田ヒカルからもラブコールが送られる存在に。今後彼らがどこまでの成功を収めるかによっては、ここから後続たちが一気に増える可能性も高い。

Superorganism – The Prawn Song (Official Video)

 そして今、この多国籍化に新たな波が訪れようとしている。それが2017年に始動したダンスボーカルユニット、Now Unitedだ。このグループは90年代にSpice Girlsのマネージャーを務め、2000年代に入るとアメリカで一大ムーブメントを巻き起こしたオーディション番組『アメリカン・アイドル』にクリエイターとして携わったサイモン・フラーがプロデューサーとなり、レディ・ガガのヒット曲「Just Dance」「Poker Face」などを手がけた音楽プロデューサーのレッドワンが楽曲を担当。2016年から世界14カ国でメンバーオーディションが行われ、アメリカやカナダ、イギリスといった英語圏のみならず、ロシアやヨーロッパ、南米、アジア圏など国籍の異なる平均年齢17.5歳の男女14人が在籍する。

  Now Unitedは現在、2018年内の本格デビューを前にSNSを駆使したプロモーション活動や、世界各国を訪れて現地のファンと直接コミュニケーションを図るワールドツアーを実施しており、その一環として7月中旬にはここ日本も訪れている。幸運にも、筆者はこの来日時にアジア圏出身メンバーのヒナ(日本)、ヘユン(韓国)、クリスティアン(中国)、ベイリー(フィリピン)に話を聞くことができた。

 「テレビのオーディション番組に出演していました」(クリスティアン)、「地元でアーティスト活動をしていました」(ベイリー)、「振付師をやっていました」(ヘユン)など、彼らの多くはNow Unitedのオーディションを受ける前から各本国で芸能活動を行なっていた。しかし、「世界で活躍するダンサーになりたかった」(ヒナ)、「世界的に成功して、東洋と西洋の架け橋になりたかった」(クリスティアン)という言葉からもわかるように、枠に収まらない活動を目標にこのプロジェクトに参加。「夢は世界中を旅して、歌って踊ること」(ヘユン)の言葉どおり、早くもその夢が現実のものとなっている。

 BTSをはじめとした、近年のアジア圏アーティストのアメリカでの成功について尋ねると、「Now Unitedもまさにそこを目指しています」(ヘユン)、「レッドワンというプロデューサーが、まさにそれを体現している人ですし」(ベイリー)、「メンバー全員が違う国籍。それぞれの国の良さが出たサウンドをミックスした音楽を目指したい」(ヒナ)との声も。それを実現させるのに、今もっとも近い存在がNow Unitedかもしれない。そして、「アジア人の僕たちにとっては、西洋で成功する大きなチャンス。このグループを通じてアジアの文化をもっと世界中に広めたい」(クリスティアン)という言葉のように、この多国籍グループに在籍することで彼らがBTSに続く成功を収めることができるのか、今後の動向を注目しておきたい。

What Are We Waiting For – Now United (Music Video)

 SuperorganismもNow Unitedも、どちらもインターネットを効果的に活用しているイメージが強い。今や日常生活に欠かせないものとなったインターネットにより、海外のエンターテインメント界がより身近なものへと一変したことで、エンタメ界の多国籍化は今後もさらに多様化していくことだろう。

(文=西廣智一)

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