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吉澤嘉代子がラブリーポップに仕込んだ“棘”とは?「私の曲はほとんどが妄想から生まれます」

リアルサウンド

14/5/13(火) 19:55

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 期待のシンガーソングライター吉澤嘉代子が5月14日、メジャーデビューとなるアルバム『変身少女』をリリースする。彼女は2010年11月にヤマハ主催のコンテスト“The 4th Music Revolution”JAPAN FINALに出場し、グランプリとオーディエンス賞をダブル受賞。2013年6月にはインディーズでミニアルバム『魔女図鑑』をリリースし、ファンタジー的でありつつ棘を秘めたポップワールドで注目を集めていた。そんな彼女が「ラブリーポップス」とテーマを掲げて作り上げたのが本作『変身少女』。一枚ごとに変化していくという作品コンセプトから、音楽的ルーツ、目指すアーティスト像までじっくりと語った。

「現実に則したラブソングを歌うことに抵抗があるんです」

――メジャーデビューとなるアルバム『変身少女』は、吉澤さん独自の歌詞の世界と60年代ポップスのムードがミックスされた仕上がりですね。まず、どんなものを作ろうと?

吉澤嘉代子(以下 吉澤):インディーズで出した前作の『魔女図鑑』は、吉澤嘉代子のカタログになるような選曲…私が絶対に出したいと思う6曲を選びました。今回はメジャーデビューアルバムなので、これからの音楽人生にレールを敷くような、窓口になる作品にしたいと考えて作りました。そう考えたときに、前作で受け入れやすかった「未成年の主張」「らりるれりん」のようなラブリーポップスが、今の私を世の中に位置づける上で一番の武器になる部分だと思ったので、ラブリーポップスな楽曲で選曲しました。コンセプトがはっきりしたシンプルで濃厚なアルバムになっていると思います。

――吉澤さんにとっての「ラブリーポップス」とは?

吉澤:4年半くらい前に今のディレクターさんと出会ったんですけど、ディレクターさんから「大瀧詠一さんっぽい」って言われたんです。そのときには大瀧詠一さんのことを詳しく知らなかったんですけど、じっくりと聴いてみたらすごく良かった。それから、松本隆さんの歌詞も好きになりました。そこからフィル・スペクターなどで知られる60年代のニューヨークのブリル・ビルディング・サウンドを聴くようになりました。シンガー・ソングライターではなく、職業作家の人々が作った洗練されたポップスが、私にとってのラブリーポップスですね。

――たしかに今度の作品のサウンドは、フィル・スペクターが手がけたロネッツなどのガールズグループのキラキラしたサウンドに通じるところがありますね。

吉澤:あまり生々しいものが好きじゃなくて、どこか現実離れしたようなもの、夢と現実の境のようなものが好きです。だから私にはちょうど良かったのかな。

――「美少女」は‹もしも美少女だったら›という歌詞に表れているように、ファンタジーの部分とリアリティが共存しているような印象を受けます。歌詞についてはどんなコンセプトをお持ちですか?

吉澤:『美少女』は自分自身に近い曲でありながら、ラブリーポップスというハイブリッドな曲に仕上がったと思っていますね。この曲に関しては、「恋」というワードを入れることでラブソングに聞こえるんですけど、実は恋をする前の歌で、「恋がしたい」というのは、恋愛だけじゃなくて仕事でも趣味でも、「このものと出会うために生まれてきたんだ」と思えるくらい夢中になれるものを見つけたいという気持ちを込めた曲です。だからラブソングという枠組みを取りながら、自分のやりたい言葉遊びや気持ちを隙間に詰め込んで作った曲になっています。私の曲にはそういう曲が多いんですけど、自分が体験した現実ではない、ほとんどが妄想から生まれたフィクションです。私自身、現実に則したラブソングを歌うことに抵抗があるんですよね…。

――ラブソングを作ることに抵抗があるのはなぜですか?

吉澤:なぜでしょうね、恥ずかしいからでしょうか。ラブソングという形の方が、聴く人に受け入れてもらいやすいと思いますし、私の曲をとにかく聴いてほしいというか。だからラブソングを歌うために苦し紛れに編み出した方法が、歪んだ部分を入れることだったり、飛び道具的な言葉を入れたりすることで、どこかひねらないと自分でバランスが取れなくて、今のスタイルができました。

「中学生の頃はサンボマスターが私の心の恋人でした」

――今作では「少女性」というテーマがあるようにも感じます。

吉澤:子供の頃に見てきたものが今の私の歌詞の底辺にあると思います。年齢にすると9~13歳くらいの頃で、その時期に魔女のおばあさんにさらわれる夢を見たんです。すごく怖かったんですけど、その夢が忘れられなくて「あのまま、さらわれてたら私も特別な人間になれたのかもしれない」と思ってたんです。それで、魔女修行を始めて…。魔女のおばあさんが迎えに来てくれるかもしれないと思ってたんですよね。私は実家が、工場をやっていたので、その屋上で本を読んだり、お年玉で買った箒にまたがったり、動物とお話をしようとして買っていた犬や、うさぎを連れてきたりしました。今から考えても病んだ子どもだと思いますね(笑)。大人になったとき、そんな子供の頃の自分をすごく隠したかったんですけど、その頃の妄想がちな部分が今の自分を作っていることは確実なので、『魔女図鑑』もその頃の自分を大事にしようと、タイトルに「魔女」という言葉を入れたんです。そこから地続きになっていてほしいという気持ちもあって今作には「変身少女」とタイトルをつけました。「美少女」っていうのは姿形の美しさだけじゃなくて、理想のものに変わる自分、という意味も込めています。

――魔女修行をしていた頃は、音楽はやっていましたか。

吉澤:子供の頃から歌うのは好きでしたけど、その程度ですかね。詩を書いたり、短い歌を作ったりはしていましたけど、本格的に始めたのは高校生になってからです。始めは鼻歌を軽音楽部の子にギターでコードをつけてもらったりしてましたけど、どこか頭の中に鳴っているコードと違っていて。で、ギターを始めて、そこから今につながります。曲作りは、言葉から始まることが多くて、タイトルをつけて、「それはどんな物語だろう」と考えて歌詞やメロディをつけて、それに合わせてコードを作る、というのが自然な作り方です。

――当時、好きだったアーティストは?

吉澤:中学生の頃にサンボマスターを初めて聴いて、その時、「私に歌いかけている」と思いました。それから、サンボマスターが私の心の恋人で、高校生になったら軽音楽部に入ろうと思ったんです。私はライブでも音源でも、聴いてくれる人との一対一の関係を大事にしているんですけど、その気持ちはサンボマスターから学んだことですね。

――今の吉澤さんの音楽性につながるようなアーティストでは、どのような方を聴いていましたか?

吉澤:子供の頃は、井上陽水さんや吉田拓郎さんを聴いていました。あとは山崎まさよしさんとか、みんなが聴いていたBUMP OF CHICKEN、くるり…女性で言うと、安藤裕子さんや、矢井田瞳さんが初めて買ったCDですね。

――憧れの女性アーティストで言うと?

吉澤:やっぱりユーミンです。ずっと活躍されている、というのももちろんですけれど、曲の雰囲気も様々で、引き出しの多さにも憧れますね。

世の中に残る、名曲と呼ばれる曲を作ることが夢

――先ほど「曲はタイトルから作る」というお話がありましたが、吉澤さんの楽曲は言葉、歌詞がとても印象的です。

吉澤:歌詞を書くために音楽をやっていると言ってもおかしくないくらいで、歌詞は自分の核の部分だと思っています。私は、言葉を自分の中から出したくて音楽を始めたんだと思うんです。子供のときは、自分の気持ちで話そうとするとすぐに泣いちゃうような子どもでしたし。初めて曲ができた時、すごく気持ちが楽になったというか…世の中と繋がれたような気持ちになったんです。それはおしゃべりとか振る舞いではいつも、伝えられないと思っていた部分が、曲を作ることで初めて、自分のペースで自分の中身を出せたんです。

――曲を作ることで自分の気持ちを表現できる実感が持てた、ということですね?

吉澤:そうですね。それから、音楽を続けていれば、似たような人が私を見つけてくれるかもしれない、という気持ちもありました。

――そのためにも「ひゅるリメンバー」などの言葉遊びも重要かもしれませんね。

吉澤:単純に言葉遊びが好きなんですよね。内容というより字面を見てきれいに思えるものを歌詞に使っています。

――字面が重要?

吉澤:はい。ひらがな・カタカナ・漢字も大事で、「ここはひらがなで本当にいいのかな」とか最後まで悩みますね。あと、「滑稽さ」ということもいつもテーマにして、どの曲にも少なからず入れています。曲が完全なフィクションであることによって、聴いてくれる人が自分自身を投影してくれたらいいなと思っていて、そのためにも滑稽さは大切な要素なんですよね。

――では、切なさや悲しみはどう表現していますか。

吉澤:悲しさを悲しいメロディで歌うよりも、明るいメロディで歌った方が切なくなると思っています。「きらい」は、切なく歌わず内に込める必要があったので、難しかったですね。自分の中では、この曲を歌うかどうかは覚悟が要ることだったんです。「好きの裏返しの嫌い」というくらいにしかひねっていないので、一番そのままのラブソングなんですよね。現実的に受け止められたり「吉澤嘉代子ってこういう人なんだ」と思われたりしたくなくて、そういう意味で最初は歌いたくなかったんですけど、『変身少女』のテーマをラブリーポップスと決めたときから、私の中でこのくらいのラブソングを入れてもいいかな、と思いました。

――基本的には、これから作っていく曲は現実から離れたものにしたいですか?

吉澤:これまではそう思ってたんですけど、去年末にワンマンライブをやって、本当に100%自分自身の歌を、その日来てくれたお客さんに歌うために「23歳」という曲を書きました。それは自分自身の歌だから、歌うのも怖かったんですけど、ライブに来てくれた方々が「『23歳』が良かった」とたくさん言ってくださって。それをきっかけにそれまでは「恥ずかしい」「怖い」という気持ちがあったんですけど、あんまりこだわらずに作っていきたいな、と思うようになりましたね。

――最後に、これからどんなアーティストになりたいと思っていますか。

吉澤:毎回作風を変えていきたいとは思いますけど、一番の夢は、世の中に残る、名曲と呼ばれる曲を作ることです。人間的にはライブに来てくれる方と、たまたま道端で会っても「この人の歌を聴いてよかった」と思ってもらえるような人間になりたいと思っています。

(取材=神谷弘一 構成=高木智史)

■リリース情報
『変身少女』
発売:5月14日
価格:¥1,667(税抜)

〈収録曲〉
1.美少女
2.チョベリグ
3.ラブラブ
4.きらい
5.涙のイヤリング
6.ひゅるリメンバー

■CD購入者イベント ミニライブ&サイン会情報
5/14(水) タワーレコード池袋店 6F特設イベントスペース
5/16(金) タワーレコード秋葉原店
5/18(日) タワーレコード渋谷店 1Fイベントスペース
5/24(土) タワーレコードあべのHoop店 ※あべの Hoop 1F オ-プンエアプラザ(イベントスペース)
5/24(土) ダイエー京橋店センターコート(イベントスペース)
5/25(日) タワーレコード神戸店
5/25(日) タワーレコード京都店
5/31(土) タワーレコード福岡店 3Fイベントスペース
5/31(土) HMV広島本通店
6/1(日) タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
6/1(日) ディスクユニオン全店対象購入者イベント ※dues新宿
※イベント時に、参加券1枚につきイベント特典としてクリアファイルをプレゼントいたします。
※イベント詳細はこちら:http://www.crownrecord.co.jp/artist/yoshizawa/whats.html

■ライブ情報
『吉澤嘉代子デビューAL「変身少女」リリースパーティー
~嘉代子、メタモルフォーゼ!~』
6/15(日) 渋谷duo MUSIC EXCHANGE

■Ustream番組情報
「吉澤嘉代子の変身少女TV」
http://www.ustream.tv/channel/yoshizawakayoko
5月14日(水)22:00〜

■吉澤嘉代子「変身少女」全曲紹介動画(ナビゲーター:吉澤嘉代子):http://youtu.be/SvYMNe3nZus

■「美少女」MVフルサイズ視聴はこちら:http://youtu.be/lIPcSLZe0LE

■吉澤嘉代子オフィシャルWEB:http://yoshizawakayoko.com/

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