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小池修一郎マジックが炸裂! 明日海りお・千葉雄大が中性的魅力を発揮 『ポーの一族』東京公演ゲネプロレポート

ぴあ

『ポーの一族』 撮影:岸隆子(Studio Elenish )

萩尾望都の同名漫画を原作に、小池修一郎の脚本・演出によってミュージカル化され、2018年に宝塚歌劇団で初演された『ポーの一族』。その初の男女キャスト版の東京公演が、梅田芸術劇場での大阪公演を終え、2月3日より東京国際フォーラムで上演されている。妹メリーベルとともにバンパネラ(吸血鬼)のポーの一族に育てられたエドガーが、一族の仲間に加えられ永遠の命を得てから百数年後、港町ブラックプールで名家の跡取りアラン・トワイライトと宿命的な出会いを果たす物語。2月2日に行われたゲネプロを取材した。

宝塚での初演に引き続いてエドガーに扮する明日海りおは、中性的な佇まいと怪しい美しさがまさしく“孤独なバンパネラ”。今作がミュージカルデビューとなる千葉雄大もまた、明日海に勝るとも劣らぬ中性的な魅力を発揮し、生意気だが純真な少年アランを体現して見せる。老ハンナ役の涼風真世は自称“むかし妖精、いま妖怪”の本領発揮感がすさまじく、大老ポー役の福井晶一の大地を揺るがすような歌声も素晴らしい。誤解を恐れずに言えば、本作の見どころはこうしたキャストの熱演であり、少女漫画の中の、しかもこの世ならぬ存在であるバンパネラを生身の人間が演じることで生まれるちょっとした滑稽さには、目をつぶるべきなのかなと思っていた――第一幕の中盤までは。

いつしかバンパネラたちの苦悩と生き様に心を寄せられるようになっていたのは、時空を越えたいくつもの場面を次々と目の前に立ち上がらせる、回転舞台の力によるところが大きい。舞台がクルっと廻るたびにロマンあふれる物語世界に引き込まれ、登場人物が一堂に会する第一幕のラストでは、彼らの行く末がすっかり心配になっていた。最初は多すぎるようにも感じられた登場人物が、このころには相関図とともに頭に入っていたことも含め、これぞ“小池修一郎マジック”といったところ。そして第二幕が終わった時に願っていたのは、少女時代に原作漫画を読み終えた時と同じこと――ポーの一族には嗚呼、やはり今も世界のどこかに存在していてほしい。

チケットは既に完売状態だが、東京公演のいくつかがライブ配信されるほか、名古屋での大千秋楽公演については配信に加えて映画館でのライブ・ビューイングも予定されている。ライブ配信には、明日海と千葉の表情や仕草に迫る「エドガーアングル」「アランアングル」バージョンもあるそうで、さまざまな楽しみ方ができそうだ。

取材・文:町田麻子



ミュージカル・ゴシック『ポーの一族』

原案・原作:萩尾望都(「ポーの一族」(小学館「フラワーコミックス」刊)
劇作・脚本・演出:小池修一郎(宝塚歌劇団)
出演:明日海りお / 千葉雄大 / 小西遼生 / 中村橋之助 / 夢咲ねね / 綺咲愛里 / 福井晶一 / 涼風真世 / 他

【東京公演】
2021年2月3日(水)~2月17日(水)
会場:東京国際フォーラム ホールC

【名古屋公演】
2021年2月23日(火・祝)~2月28日(日)
会場:御園座

【ライブ配信】
2021年2月7日(日)12:30 公演
2021年2月13日(土)12:00 公演<エドガーアングルバージョン>
2021年2月13日(土)17:00 公演<アランアングルバージョン>
2021年2月28日(日)12:00 公演 大千秋楽
PIA LIVE STREAMにて配信
※アーカイブ配信なし
2月28日(日)12:00の大千秋楽公演は全国の映画館でライブ・ビューイングを実施
https://liveviewing.jp/contents/poenoichizoku/

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