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日本の伝統×ストリートカルチャーが融合 気鋭クリエイター集う『NINJA PROJECT』への期待

リアルサウンド

19/3/31(日) 18:00

 昨年プロジェクトの発足を発表後、8月25日に味の素スタジアムで開催された『a-nation 2018』東京公演1日目に出演し、忍者をモチーフにした赤/黒の衣装をまとって重力を無視するような圧巻のアクロバットを披露した『NINJA PROJECT』。これまで情報が少なく、謎に包まれていたこのプロジェクトの全貌が、いよいよ明らかになってきた。

参考:88rising CEO ショーン・ミヤシロが語る、アジアンカルチャーの未来「お互いを認め合うことで世界は進んでいく」

 「NINJA PROJECT」はエイベックスと日本忍者協会がタッグを組み、「忍者」の魅力をグローバルに発信するプロジェクト。日本古来の伝説的な存在とアクロバット/音楽/映像表現の先端を融合することで、日本の風土が生み出した独自のスパイ/傭兵であり、状況に応じてあらゆる技術が求められる「エクストリームな存在」として多くのヒーローのモチーフにもなってきた忍者の魅力を、現代の視点から世界に伝えることを目的としている。

 『a-nation 2018』に出演した「NINJA PROJECT performed by TOK¥O TRICKING MOB」は、武術とアクロバットを融合させたエクストリームスポーツ「トリッキング」の世界大会『Hooked2017』でアジア人初チャンピオンとなったDaisukeをメンバーに擁するTOK¥O TRICKING MOBが担当。そこに日本を代表するパルクール集団monsterpkや、『WORLD OF DANCE Finals 2016』で日本人として初代世界チャンピオンに輝いたGendai、自身のダンス映像がSNSで話題沸騰中のHonoka Moriyamaといったパフォーマー/ダンサーが加わり、『NINJA PROJECT』が構成されている。そして今回、彼らがそれぞれ異なる思想を持った「BLOOD WILL TELL」と「DARKEST BEFORE DAWN」の2チームに分かれ、敵対する両者が様々なフィーチャリングゲストを迎えた楽曲で“熱き戦い”を繰り広げる、新たな展開がスタートした。

 今回公開されたのは、BLOOD WILL TELLの「HOKAGE feat. Leon Fanourakis & Awich」と、DARKEST BEFORE DAWNの「BRGHTST BLCK feat. Mas from NOTHING TO DECLARE」の2曲。トラックメイカーとして2曲ともに雅楽とトラップビートを融合させた“雅楽トラップ”などでも知られる元FACT/現Ken BandのドラマーEijiらによるユニットRadical Hardcore CliqueからFzとInvaderousが関わっており、彼らが2組それぞれに異なるゲストを迎え、和の要素と最新のストリートカルチャーとが分かちがたく結びついた楽曲を完成させている。

 赤い衣装をまとったBLOOD WILL TELLの楽曲「HOKAGE feat. Leon Fanourakis & Awich」は、昨年ANARCHYのプロダクション「1% | ONEPERCENT」との契約を発表した若手注目ラッパー・Leon Fanourakisと、2017年のアルバム『8』も大きな話題となったウチナーグチ(沖縄語)と英語、日本語を自在に横断するディーヴァ・Awichを迎え、ヒップホップ/R&Bの先端にアプローチ。こちらまで振動が伝わってくるような低音ベースと細かいハイハットを生かしたトラップビートに乗せて、過酷な戦いや業、その中で守りたいものや仲間の存在を伝えるようなリリックでバトルの狼煙を上げるような雰囲気を生んでいる。

 一方、黒い衣装をまとったDARKEST BEFORE DAWNの楽曲「BRGHTST BLCK feat. Mas from NOTHING TO DECLARE」には、東南アジアを拠点にして高い人気を誇り、現在は日本に活動の場を移している、ラウドロックバンドNOTHING TO DECLAREのフロントマン・Masが参加。同じくトラップビートを主体にしながらも、Masのシャウトが全編を引っ張っていく構成で、戦いの激しさがまったく別の角度から表現されている。一度トラックが雅楽の要素を加えたアンビエントなものに変化し、〈We are the Shadows〉と繰り返すリフレインを経て、ふたたび終盤にむけて盛り上がっていく楽曲の構成も印象的だ。

 MVではそうした楽曲に乗って、BLOOD WILL TELLとDARKEST BEFORE DAWNがそれぞれパフォーマンスを披露。コレオグラフにはThe Black Eyed Peasのwill.i.amによるソロ曲「#thatPOWER ft. Justin Bieber」のMVなどで振り付けを担当した「左 Hidali」のオリジナルメンバーが集結。映像表現は「BRDG」が手掛け、テクノ法要などでも知られるKen-ichi KAWAMURAがコンピューターグラフィックスを制作。巨大なL.E.D.に投射した映像をバックにメンバーがアクロバットやダンスを繰り広げるMVを完成させている。

 それぞれ「ヒップホップ」「ラウドロック」という異なる音楽シーンの雄を迎えながらも、2曲ともにパフォーマンス/楽曲/映像において共通しているのは、日本古来の伝統と現代のストリートカルチャーの先端とが手を取り合っていること。様々なスタイルを持つクリエイターが集結し、そのパフォーマンスを複合的に組み合わせることで、かつて日本で暗躍したエクストリームな存在「NINJA」の魅力を現代に蘇らせている。また、そうしたプロジェクト自体が日本の過去と現在をレペゼンするようでもあり、2020年の東京オリンピックに向けて、日本独自のカルチャーを改めて発信するような魅力も生まれている。

 2組は今後も様々なフィーチャリング・ゲストを迎えて楽曲をリリース予定。トップアスリートをはじめとした多分野にわたる面々とのコラボレーションも展開していくという。果たして次のゲストは誰なのか? 勝利の女神はどちらに微笑むのか? 時代を越えてジャパンカルチャーが手を取り合った壮大なプロジェクトの行方に注目していきたい。(杉山 仁)

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