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山下達郎、ユーミン、aikoの曲でも…都会的かつ切ない“オトナのコード”とは?

リアルサウンド

13/10/25(金) 17:54

 音楽プロデューサーの亀田誠治がJ-POPのヒット曲を分析するテレビ番組『亀田音楽専門学校』(NHK Eテレ)の第4回が10月24日、23時25分より放送された。

 同番組は、亀田が校長、小野文惠NHKアナウンサーが助手を務め、毎回さまざまなアーティストがゲスト出演する全12回の教養番組。ゲスト講師には、前回に引き続きシンガーソングライターの秦基博が登場し、亀田とともに「オトナのコード学」について講義した。

 コードとは、3つ以上の音を同時に鳴らした時の響きで、それぞれに「C」や「G」といった名前が付いている。亀田は「Jポップにはムフフなコード、オトナのコードが使われているんです」と含み笑いを浮かべ、さっそく題材となる楽曲として『あまちゃん』オープニングテーマを紹介。楽曲の最後に流れるコードが「メジャー7th」であると説明した。メジャー7thは、3音で構成されるメジャーコードに、そのコードの下から7音階目の音を加えたコードのこと。「C」=「ド」なので、Cメジャー7thなら「ドミソ」に「シ」を足したコードになる。

 亀田はこのメジャー7thを「オトナのコード」とし、その響きを「青空に一点の雲があるようなイメージ」と表現した。その感覚を伝えるため、亀田は助手に『あまちゃん』の最後のコードを、Cメジャー「ドミソド」で弾いてもらい、Cメジャー7thの原曲と比較することに。すると、Cメジャーのほうは明るく響き、すっきりとした印象だが「これから何かが始まるのかな」といった“含み”は、あまり感じられない響きとなった。また秦は、Cメジャー7thについて「切ないんだけど澄んでいる、透明感のある印象」と、その感覚を語った。

 番組ではさらにメジャー7thへの理解を深めるために、J-POPの名曲とともにその響きを味わうことに。

J-POPの名曲から学ぶメジャー7thの印象とカラクリ

 山下達郎が結成したバンド、シュガー・ベイブの「DOWN TOWN」を聴いた小野が「なんかドライブをしている風景が浮かびました」と、その感想を語ると、亀田は「近い! なんかシティ感みたいなものが沸きません? メジャー7thは洗練されたイメージをもたらすんですよ」と続け、「このコードはある時期からJ-POPで使われるようになったんです。70年代の初頭、キャロル・キングなどのシンガーソングライターが私小説的な歌を歌う時に、このコードをいっぱい使い始めたんですね。それに影響を受けて、山下達郎さんや松任谷由実さん、オフコースなどが、このコードを使った曲をたくさん作ったんです」と語った。

 荒井由実の「中央フリーウェイ」を、メジャーとメジャー7thで弾き比べると、その違いはさらに明らかに。小野は「昼と夜くらい違いますね」と感想を言うと、亀田は「まさにその通り。実はそういう風に思わせるには、ちょっとしたカラクリがあるんです」と返した。

 メジャー7thのカラクリを説明するため、亀田は五線譜に向かい、Cメジャー7thの音符を記入。「ドミソシ」の中の「ミソシ」が、実はマイナーコード(短調)=暗い感じのする和音であることを指摘。さらに「ドミソ」はメジャーコード(長調)=明るい感じのする和音であり、Cメジャー7thがメジャーとマイナーの響きをあわせ持ったコードであることを解説した。

秦基博が選ぶオトナのコードの名曲

 オトナのコードの名曲として、秦はまずORIGINAL LOVEの「接吻 –kiss-」を紹介。「サビ始まりの一発目のコードがメジャー7thなんですけど、一気にオトナというか、アーバンな感じに引き込まれる。メジャー7thの効果的な使い方だと思いますね」と、魅力を語った。小野はそれに対し、「物静かな秦さんは、音楽を聴いて酔いしれたりすることがあるんですか」と、いささか風変りな質問を投げると、秦は「なんですか、その質問(笑)。言うの恥ずかしいですけど、酔いしれますよ」と苦笑を浮かべた。

 続いて秦は、aikoの「三国駅」を紹介。「この曲はメジャー7thの匂いがあまりせずに進んでいくんですけど、サビの一発目にだけ入れることで、一気に切なさが増すという……」と、同曲がここぞというタイミングでメジャー7thを使っていることを明かした。

 オフコースの「YES-NO」に関しては、「メジャーとマイナーの二つの響きを持っているコードが、揺れる心境をつづった歌詞とぴったり」と、コードと歌詞の相性を評価した。さらに、亀田は再び五線譜に向かい、同曲で使われるFメジャー7thを分解。「Fメジャーが『YES』で、Aマイナーが『NO』」と、ひとつのコードの中に曲のテーマが込められているとした。

サビでもよし イントロでもよし

 亀田はMr.Childrenの「HANABI」を挙げ、「この曲の場合は、メジャー7thの音でメロディが作られている。コードとメロディのW攻撃」と、同曲がメジャー7thを前面に押し出した曲であることを解説。ケツメイシの「サクラ」もまた、同様の手法で作られていることを明かした。さらに、第1回目の講義「おもてなしのイントロ術」で解説した、「サビのメロディをイントロに使用する」という手法を応用し、メジャー7thと組み合わせて「威力抜群」のイントロを作れると豪語。亀田がプロデュースした秦基博の「初恋」を例に挙げた。イントロが印象的な同曲について、秦は「この曲のテーマとして『透明感』があったので、メジャー7thを使おうと思ったんです」と、メジャー7thを使った理由を語った。

 小野はさらに今回の講義に関して「なぜ校長はたくさんあるコードの中で、このコードを選んだんですか」と質問。亀田は「メジャーとマイナーが混ざったこの空気感が、ありとあらゆるシーンを演出できる。これはとても日本人らしいコードだと思います。YESとNOを言えない日本人、なんて言われますけれども、そういう日本人の心をうまく表現するコードなのでは」と、メジャー7thが奥深いコードであることを説明した。

 番組の後半では、秦がギターとボーカル、亀田がベースを務めるスペシャルバンドで『初恋』を演奏。透明感のあるイントロと、サビで再び登場するメジャー7thに、ストーリー性を感じる演奏となった。

 『亀田音楽専門学校』、次回10月31日の放送では「七変化のテンポ学」について講義する予定だ。
(文=編集部)

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