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山田裕貴が明かす、俳優としての“現在地” 声優初挑戦で自身に課したハードル

リアルサウンド

20/9/11(金) 15:00

 『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』が9月11日に公開された。

 1990年より『漫画アクション』で連載が開始され、その後1992年にアニメが放送されて以来、長い間愛され続けている国民的アニメ『クレヨンしんちゃん』。劇場版シリーズ28作目となる本作の舞台は、地上のラクガキをエネルギーに浮かぶ王国・ラクガキングダム。ところが、地上では時代の流れかめっきりラクガキが減り、王国は崩壊の危機に直面していた。ラクガキングダムの王国軍は、国の命運をかけて無理やり人間たちにラクガキをさせる「ウキウキカキカキ作戦」を決行し、地上への進撃を開始する。

 ラクガキングダムの王国軍を率いる防衛大臣を演じるのは、俳優の山田裕貴。昨年は、朝ドラ『なつぞら』(NHK総合)に出演し、お茶の間に大きなインパクトを与え、舞台『終わりのない』では文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞を受賞と大活躍。今年も多くの公開作が控える山田が、初挑戦というアニメーション声優の難しさや、俳優としての現在地を明かしてくれた。なお、このインタビューは新型コロナウイルスの感染拡大を受けて本作が公開延期となる前、3月に行った。

「金曜日は絶対に『しんちゃん』、『ドラえもん』、『Mステ』の流れ」

ーー今回『クレヨンしんちゃん』という国民的アニメシリーズのゲスト声優に抜擢されました。改めて声優として作品に参加する気持ちを聞かせてください。

山田裕貴(以下、山田):素直にすごく嬉しかったです。ゲスト声優なので本当に一言、二言の役だと思っていたのですが、ものすごいキーマンの役でちょっとビックリしました。逆に「ゲスト声優で出られて楽しいな」で終わらせたくないというか、「ちゃんとやりたいな」と思って。アニメが大好きで、声優さんも大好きなので。その愛が強い分、「こんなんじゃダメだ」とか、「もっとこうやって工夫して練習してやらなきゃ」と自分との戦いでした。

ーー意外にもアニメーションの声優は初挑戦ですよね。

山田:そうなんです。僕も「やってるんじゃないか」と思っていました。

ーー声だけで演じるところに難しさはありましたか?

山田:今喋っているように、相手との距離の感覚がなかったり、身振り手振りも使えない、表情でも伝えられないのは戸惑いがありました。僕、声優さんのモノマネをアニメとか観始めたころからやっていましたし、自分が演じた戦隊モノの『海賊戦隊ゴーカイジャー』(テレビ朝日系)では、変身後にアフレコがあるんですけど、そこですごく勉強していました。だけど、やはりいざこのようにキャラクターを1つ作り上げてみると、ものすごく難しかったですね。

ーーマイクとの距離の感覚は、普段のお芝居にはない要素ですよね。

山田:マイク乗せというんですかね。そういう部分が重要なのかなと途中で思ってきて、難しさをすごく感じました。声優さんたちに「この俳優すごいね」と思われるレベルまで持っていかないとダメだと、自分に課してたものがあって。僕も、「あー、たぶんこの役は俳優がやっているんだろうな」とお客さんがわかるような完成度では世に出したくないし、やりきった結果どうなってるのかはわかりませんが、自分でハードルを上げてたからこそ、より難しく感じました。

ーー出演発表の際に、『クレヨンしんちゃん』が大好きとコメントされていましたが、山田さんの中で思い出に残っている作品はありますか?

山田:やっぱり『映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』かな。めっちゃ泣いたんですよ。すごくよかった。

ーー人気作品ですよね。

山田:当時小学校6年生ぐらいの僕にとって金曜日は絶対に『しんちゃん』、『ドラえもん』、『Mステ』の流れでした(笑)。

ーー今回の出演で久しぶりに『クレヨンしんちゃん』に帰ってきたというか。

山田:そうですね。触れられました。

ーー今回演じられた防衛大臣というキャラクターについてはどのような印象を持ちましたか?

山田:“ピュア”って、ときに危ない方向に行ってしまうんだなと。自分の信じているものや好きなもの、心酔してるものを守ろうとしすぎると、人を傷つける行為になってしまうことがある。そういうピュアさが危ういのだなと思った一方で、「守りたい」という思いもある。まっすぐなキャラクターだなと思いました。

「やっと観てもらえるようになってきた」

ーー山田さんも、様々な作品で役に対して120、150%のものを得ようと毎回まっすぐに挑まれている印象を受けます。そういったところにも通じるところがありますか?

山田:そうですね。だからこそ、フィールドが違う、声のお仕事だからとはいえ、ゲスト声優以上のものを出したいと思っていたので。

ーー実際この声のお仕事をやられてみて、俳優に変換される気付きのようなものはありましたか?

山田:音や、スピード、抑揚などいろんなことを考えながら演じましたが、ハートに敵うものはないなと感じました。それはやはり普段のお芝居にも繋がることで、声の仕事でもたぶん同じなんだろうなと。本当の叫びや本当の言葉は、どんな場所であれ伝わるんだろうなと思いました。

ーー2019年は『なつぞら』(NHK総合)に舞台『終わりのない』と大活躍でしたが、今後も待機作がいくつも発表されていて、さらに山田さんの名前が聞く機会が多くなるのかなと。2019年のインタビューでは、ゲイリー・オールドマンのような役者になりたいと言っていたのが印象的でしたが(参考:山田裕貴が語る、雪次郎とのシンクロ率 『なつぞら』脚本・大森寿美男に「不思議な力を感じます」)、2020年は仕事をしていく上での目標はありますか?

山田:すごく現実的な話になってしまいますが、自分に何が足りないかなとよく考えます。もちろん演技力もずっと突き詰めていかなきゃいけないと思うんですけど、多くの人にたくさん触れてもらえるような作品や、海外に出ていくような作品に出るにはもう少し人気や認知度が足りないのかなとも思い始めていて。僕の印象でいうと、出演本数は年々少なくなっているんですよ。2017年はありがたいことに12本も公開作品があったので。今になってこういったインタビューの場で、「すごい何本も出られてますよね」と言われますけど、僕にとってはじゃあなんであのときにそう言われなかっただろうと考えると、目をつけられてなかったってことですよね。やっと観てもらえるようになってきたんだと思っています。

ーーなるほど。

山田:そうなってきたのだとしたら、今度は評価されなきゃいけない。ちゃんとたくさんの人に観てもらえる場所で、しっかり評価を取ってこなきゃいけない。すごく嫌な言い方になってしまうかもしれないですけど、何かしらの賞が欲しいです。賞を目的に仕事をするわけではなくて、そういう賞をいただけたら、誰かしらにさらに注目してもらえるのではないかと。

ーー賞をもらえるくらいの存在感を作品内で発揮していきたいと。

山田:本当に言い方が難しいんですけど、僕が次のステップに進むためには、もっともっと注目されなきゃいけないから、そういう形で何かに引っ掛かればいいなと思っているというか。あまりインタビュー向きじゃないなと思っているんですけど、本当の思いとしてはそうです。まだやっと10年目だし、10年目でやっとなのかもしれないし、賞が獲れたからといって、別に僕の何かが変わるわけではないですが、1つそういうのが乗っかってくると、もう少し世界を大きく動かせるのかなと思っています。ありがたいことに、舞台では文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞をいただいたのですが、映像の分野ではまだまだ何が足りないのか、難しいなと思いながら、ものすごく冷静に考えています。

ーー“終わりのない”挑戦をずっと続けていくということですね。

山田:そうですね。ずっと。ただ本当に、1つ作品をやるとなったら、それは全部一生懸命に、しっかり心を動かせるキャラクターにするというのは当たり前のこと。今年は、参加させてもらった作品で、スタッフさんやプロデューサーさんに「すごくいいよ」と言われることが多いんです。これまでこういった声をかけられる年はあまりなくて、だからこそ何か起こるのではないかなと、それが届けばいいなと思っています。

ーーまず今回の『クレヨンしんちゃん』が声の仕事の一発目として、その挑戦の始まりですね。

山田:そうですね。そこは本当に『しんちゃん』も映画も同じ熱量でやっています。自分の熱がちゃんと表現に乗っていればいいなというのは強く思います。

■公開情報
『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』
全国公開中
声の出演:小林由美子、ならはしみき、森川智之、こおろぎさとみ、神谷浩史
声の特別出演:山田裕貴、りんごちゃん
ラクガキ応援大使:きゃりーぱみゅぱみゅ
原作:臼井儀人(らくだ社)/『月刊まんがタウン』(双葉社)連載中
監督:京極尚彦
脚本:高田亮、京極尚彦
製作:シンエイ動画・テレビ朝日・ADK エモーションズ・双葉社
配給:東宝
(c)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2020

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