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SHINeeテミンの生きざまそのものを見た! 入隊前最後のソロライブを詳細レポート!

ぴあ

『Beyond LIVE – TAEMIN:N.G.D.A(Never Ganna Dance Again)』

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孤高の芸術ジャンルを確立したテミン。その生きざまをライブを通して見せてくれたーー。5月2日、テミンの初のオンラインライブ『Beyond LIVE – TAEMIN:N.G.D.A(Never Gonna Dance Again)』を見終わって思ったことだ。

テミンといえばSHINeeのメンバーとしても、ソロアーティストとしても、“ダンス”の印象が強い。だが、韓国でリリースした最新アルバム『Never Gonna Dance Again』(2020年9月・11月)シリーズで彼は、「二度と踊るつもりはない」という衝撃的なタイトルを掲げた。アルバム発売時のインタビューで「これまで以上に制作に参加した」、「歌にこだわった」、「ターニングポイントにしたい」と語っていた。

ソロアーティストとして、1stミニアルバム『ACE』(2014年8月)でデビューして以降、コンスタントにリリースを続け、2ndフルアルバム『MOVE』(2017年10月)ではテミンというスタイルを確立。そしてこの『Never Gonna Dance Again』で、大衆がテミンに抱いているイメージを踏み越えて、ボーカリストとしても、アーティストとしても、さらに高次元の芸術を表現したいという決意を表明したのではないだろうか。

ライブのスタートを飾ったのは、そのアルバム『Never Gonna Dance Again : Act 2』に収録されている「Think Of You」と「I Think It’s Love」というバラード。ゆったりとした音の海を漂うようなテミンの柔らかな声に包まれた冒頭2曲は、スタンドマイクに直立のまま。テミンの代名詞である“ダンス”はない。“ボーカリスト”テミンとしての宣言のようなスタートだった。

VCRを挟んだ後は、シルバーのロングへアに眼帯という、ワイルドな姿で登場。ここからはこれまで確立してきた“テミンらしさ”の応酬だ。
「Criminal」での手首拘束、「IDEA:理想」のポイント振付など、タイトル曲で提示した新しい試みを次々と見せてくれる。MCで「今までは全力でやることが正しいことだと思っていましたが、歳を重ねて調節ができるようになりました。とはいえ、もちろん手を抜いてる訳ではありませんよ」と言っていたが、「MOVE」以降はパワフルにガシガシと踊るだけではない、静の中の動を極めるというか、動の中の静を極めるというか、柔剛併せもった独自のダンススタイルを確立した。

一方でシンガーとしての表現力が豊かになったのは、日本でのソロデビューが大きかったのではないだろうか。本公演でも「Goodbye(さよならひとり)」(これはダンスパフォーマンス含めて、表現力という点での大きなポイントになっているが)、「DOOR」、アンコールの「I’m Crying」という日本のアルバムの曲を韓国語バージョンにしたものが歌われているのは嬉しい。

演出として特徴的だったのは、2019年に日韓で行った『T1001101』ツアーでも登場した、斜度のつくリフトステージ。「Heaven」ではマイケル・ジャクソンのゼロ・グラビティを彷彿とさせる、重力を感じさせないパフォーマンスを見せたが、あの角度で身体を支える体幹の強靭さもさることながら、それを歌いながらやってしまうのは驚異的。2017年の『TAEMIN THE 1st STAGE NIPPON BUDOKAN』で初披露された、目かくしされたまま四方八方から伸びた白い紐で縛られた状態で踊る「DOOR」も、斜めのステージで展開され、バージョンアップしていた。

「MOVE」の後には、椅子1脚と黒子ダンサー、シンプルなライティングの中でコンテンポラリーのようなダンスを見せる「Just Me And You」のVCRが公開されたが、これは一昨年に録られた映像だそう。昨年3月に行われる予定だった『Never Gonna Dance Again』コンサートのために用意したが、コロナ感染拡大の影響で中止になったため、このライブで完成させて見せてくれたという。

デビュー曲でのマッシュルームヘア姿も

VCRといえば、「Drip Drop」の後に、SHINeeと自身のソロ曲のダンスメドレーを今現在のテミンが当時のスタイルで再現したものが公開された。2008年のデビュー曲「Replay」ではマッシュルームヘアのカツラとスキニージーンズを着用。13年前と顔はあまり変わっていないが、身体はがっしりとして大人になっていることを感じさせた。MCでは「僕自身も過去を振り返れたし、ファンの皆さんとのことも思い出しました。小学生だったファンの方も成人して社会人になって、ヌナ(お姉さん)ファンの中には結婚した方もいて。そうやって過ぎていっても、僕はずっとここにいるんですよね」と感慨深げだった。そして、「このVCR、皆さんが泣くんじゃないかと思ったんですが、どうでしたか? あのマッシュルームヘア、すごく恥ずかしかったんです(笑)。10年後にまたやってみる?」と笑顔を見せた。

テミンの歴史を振り返った後は、5月18日にリリースされる3rdミニアルバム『Advice』のリード曲「Advice」を先行して初パフォーマンス。ピアノの音色が印象的なオープニングパートから動きが加速していくが、ミュージカルのようなストーリーを感じさせるテミンの歌唱にも惹かれる曲だ。

新曲に続けて「Pinocchio」をセットリストに入れてきたのには驚かされた。自身も「今回のセットリストに絶対入れてほしかった」というこの曲は、2018年に『The Call』という番組で、テミンがヒップホップアーティストのBewhYとコラボレーションで制作した曲で、テミン自身が振付に参加したので、愛着あるそう。そこからKid Milliのラップをフィーチャーした「Black Rose」という流れは、新鮮だった。そしてSHINeeの「Sherlock」をマッシュアップした「Danger」は、これまでにソロライブで披露してきたものとはミックスも異なるバージョンで、3段に分かれるリフトステージをうまく使ってのパフォーマンス。以前の曲たちも、今現在のテミンとして昇華してしまうというスキルを感じた。

本編最後のパートでは、「ライブでやるのはプレッシャーを感じる」と言いながらも再びダンスのない2曲。「Soldier」ではドローンを使った360度映像を見せるというオンラインライブならではの演出も目を惹いたが、伸びやかな高音と低音の対比がドラマチックな「Rise」まで、感情を揺さぶる歌声を響かせた。

アーカイブでは公開されない、生中継だけのサプライズアンコールに登場すると、ここでも「I’m Crying」を熱唱して歌の力を見せたテミン。

最後のトークを始めると、ファンが一斉に「태민이의 짝궁들은 늘 이자리에」(テミンの相棒はいつもこの場所にいるよ)というメッセージをリアルタイムのチャットに送る。それを見て笑顔を見せたテミンは、「13年間の感謝を伝えたいです。これからぼくの側で、永遠のチャックン(相棒)でいてくださいね。分かりましたか? いつも皆さんに感謝しているし、皆さんが想ってくれていることをよく解っています。皆さんにもっとお応えできる人になって戻ってくるので、待っていてください」と力強いメッセージを伝え、ここでもバラード曲「Snow Flower」で締めくくった。

「ミスをしてもいいと思えるようになった」

ソロとしては、2019年の大晦日に日本で行った「T1001101」以来、約1年4カ月ぶりに開催されたコンサートは、全世界119ヵ国9万人が視聴した。5月末に入隊が決まっているテミンにとっては、入隊前、最後のソロコンサートとなる。初めての日本ソロツアー最終日に感極まったときを除いては、悔し涙しかステージで見せたことのないテミン。この日も涙は見せずに、エンターテイナーとしての進化を見る者の心に刻みつけた。

14歳10カ月でSHINeeのメンバーとしてデビューしたテミン。グループから先陣を切ってソロデビューを果たしたSHINeeのAceは、「MOVE」で独自の世界を作り上げると、K-POP界男子アイドルたちの憧れとなり、後輩たちからロールモデルとして名前を挙げられる人になった。オンユ、キー、ミンホの入隊期間中も、ソロ活動でSHINeeのファンの寂しさを埋める以上のものを見せ、たゆまない努力で進化を続け、孤高の存在になった。「ターニングポイント」と公言するアルバムのタイトルを掲げた本公演は、彼のアーティスト人生……、いや、テミンの生きざまそのものを見せてくれたライブだった。

ずっとストイックに完璧を追い求めてきた彼が、このライブのMCでは「プロらしくないかもしれないけれど、みなさんが見守ってくれるから、ミスをしてもいいと思えるようになりました」と発言していたのは少し意外だったが、これからはチャックンという味方の存在を感じながら、孤高を極めた中にも、テミンという人間らしさがさらに現れるような作品を生み出してくれることだろう。

5月を過ぎると、華やかなステージの上でのテミンをしばらく見られなくはなるが、5月18日には韓国で3rdミニアルバム『Advice』をリリース。日本デビュー10周年を記念して、オンラインファンミーティング「SHINee WORLD J Presents ~Bistro de SHINee~」は5月23(日)に開催され、SHINeeのデビュー13周年記念日の5月25日には「デビュー13周年記念スペシャルV LIVE SHINee DAY」をV LIVEで開催。さらに、日本ではSHINeeのミニアルバムが7月28日に発売(予約受付中)される予定だ。

Beyond LIVE - TAEMIN N.G.D.A(Never Gonna Dance Again)セットリスト

01 Think Of You
02 I Think It’s Love
03 Guess Who + Sexuality
04 Criminal
05 IDEA:理想
~MC~
06 Heaven
07 DOOR
08 MOVE
09 Goodbye
10 Shadow
~MC~
11 WANT
12 Drip Drop
13 Advice
14 Pinocchio
15 Black Rose
16 Danger
~MC~
17 Soldier + Rise
―Surprise LIVE-
18 I’m Crying
19 Snow Flower

取材・文:坂本ゆかり

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