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プロデューサー・細川展裕が語る「マーケティングを、僕はあまり信用しない」

ナタリー

18/12/23(日) 11:21

細川展裕×徳永京子「あの伝説のプロデューサー、聖地・下北沢にて演劇のミライを語る!!」『演劇プロデューサーという仕事』『「演劇の街」をつくった男 本多一夫と下北沢』W刊行記念トークショーの様子。左から細川展裕、徳永京子。

昨日12月22日に東京・本屋B&Bにて、細川展裕×徳永京子「あの伝説のプロデューサー、聖地・下北沢にて演劇のミライを語る!!『演劇プロデューサーという仕事』『「演劇の街」をつくった男 本多一夫と下北沢』W刊行記念」が行われた。

本イベントは、10月に発売された劇団☆新感線のエグゼクティブプロデューサー・細川展裕の自叙伝「演劇プロデューサーという仕事『第三舞台』『劇団☆新感線』はなぜヒットしたのか」と、同時期に発売された「『演劇の街』をつくった男 本多一夫と下北沢」の著者で演劇ジャーナリストの徳永京子が、これからの演劇、これからの舞台について語るもの。

冒頭ではまず、それぞれが出版の経緯を語る。徳永は「編集者の方から“演劇の街を作った本多一夫さんの本を出したい”というお話があって、本多さんにお話を伺えることに興味があったのと、最近は劇場を使わずに公演を打つ若い方が増えてきたので、そういう時代だからこそ、劇場のことを書き残しておきたいと思いました」と話す。

一方の細川は「最近還暦を迎えたんですが、『“サプライズ”は一切しなくていい』と年初からアピールしていたにも関わらず、周りが私の本を60歳の記念に出すというサプライズを用意してくれて(笑)。結局、“一本指打法”で2カ月半くらいかけて、原稿用紙300枚くらいを書き上げ、ここに至りました」と笑顔を見せる。

以降は、昨今の演劇界の話題へ。若手俳優や新しい劇団との出会い方、約2年にわたる東京・IHIステージアラウンド東京での経験、さらにキャスティングに対する考えなど、細川は時折冗談を交えながら、具体的なエピソードを繰り広げる。

その中で「『私の面倒を見てください!』という若手がやってきたら、細川さんはどうアドバイスするんですか?」と徳永が尋ねると、細川は「誰かの力を借りてでも大きな興行に打って出たい、一発当てたいと思って“いない”人とは一緒にやることがない。またお金はコミュニティを回していく潤滑油のようなもの。それを生み出すためには未来が多少見えていないと」と返答する。さらに「東京で1000人、大阪で500人程度(の動員)は、“親戚が来た”レベル。3000人くらいで“多少演劇界で知られるようになった”、5000人くらいで“メディアがちょっと取材に来るようになった”感じで、問題はそこからどうやって1万人にするかということです」と持論を述べた。

後半は、来場者の質問に答える形で展開。熊本から来たという女性が地方公演をどうやって決めるかと尋ねると、細川は「新感線の仕込みには、キャストとスタッフ合わせて120人が必要で、まずその人数を収容するホテルがあるかどうか。それと、新感線の公演では現在、11トン車で25台から28台分の物量があるので、地方を細かく回ることが難しいのが現状です。私の故郷は愛媛県松山市ですが、そんなわけで松山にも行けていないんです」と答える。

今後の展開については「2022年までの計画はあります」と細川。「今年はキャスティングがつらかった。(NHK大河ドラマの)『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』にだいたい知り合いが取られちゃったから!」と話し、会場は大きな笑いに包まれた。

また2014年に上演された、大人計画と劇団☆新感線のコラボレーション公演、大人の新感線「ラストフラワーズ」が面白かったと観客が感想を伝えると、細川は「あれは飲んでいるときに出た話から決めた記憶があります」と振り返る。「でも作り手は、『みんながびっくりするかな、たくさん入るかな』ってことだけではまったくモチベーションが上がらないんですよね。あのときは松尾(スズキ)さんがスパイものがやりたいと思っていて、いのうえ(ひでのり)さんもインチキなスパイものがやりたいという思いがあって、それが偶然合わさった。また大人計画と新感線の役者を合わせれば大抵のことはできるだろうという思いがあったので実現しました。よく聞かれるけど、マーケティングみたいなことを僕はあまり信用しないかな」と語り、トークショーは終了した。

細川展裕×徳永京子「あの伝説のプロデューサー、聖地・下北沢にて演劇のミライを語る!!」『演劇プロデューサーという仕事』『「演劇の街」をつくった男 本多一夫と下北沢』W刊行記念

2018年12月22日(土)15:00~17:00 ※イベント終了。
東京都 本屋B&B

出演:細川展裕、徳永京子

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