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「十月大歌舞伎」出演の松本白鸚が意気込み「心は負けるもんかという気持ち」

ナタリー

20/9/13(日) 12:00

松本白鸚(c)松竹

東京・歌舞伎座で上演される「十月大歌舞伎」に出演する松本白鸚の取材会が、9月11日に東京都内で実施された。

「八月花形歌舞伎」「九月大歌舞伎」に続き、各部完全入れ替えの4部制で行われる「十月大歌舞伎」。白鸚が出演するのは、第2部で上演される世話狂言「双蝶々曲輪日記 角力場」だ。「双蝶々曲輪日記 角力場」は、人気力士・濡髪長五郎と、素人力士・放駒長吉の取り組みを描いた物語で、白鸚は今回、約6年ぶりに濡髪を勤める。

白鸚は本作について「僕は17のときに、今回(中村)勘九郎くんが演じる放駒を初役で演じたのですが、戸板康二先生に劇評で初めて褒めていただいたのが良い思い出ですね」と笑顔を見せ、当時は自身の父である初代白鸚が濡髪をやっていたこと、そして濡髪の役は初代白鸚から教わったことを明かす。「何度稽古しても『ダメだ』って言うんです。でもどこがどうダメなのかは言ってくれない。自分で勉強して、稽古して、舞台を観て、先輩たちの間に入って……そういう、“自分で考えろ、自分でやれ”っていう人でしたね」と、父との記憶を懐かしそうに振り返った。

勘九郎との共演については「出演が決まった途端に(勘九郎から)電話がかかってきましたよ。『ありがとうございます。一生懸命やります』って。僕も楽しみです」と明るい声で述べる。続けて「勘九郎くんが初舞台のとき、僕は家来の犬役をやったんです。彼のお子さん(中村勘太郎)が初舞台のときは(松本)幸四郎、のりちゃん(故・18代目中村勘三郎)のときはうちの親父がそれぞれ犬役をやって。“犬三代”なんですね(笑)」と茶目っ気たっぷりに語り、周囲を笑いで包んだ。

幸四郎が展開した「図夢歌舞伎」に話が及ぶと、白鸚は「これからあれが普通になっていくんでしょうね」と分析し、「でも、同じようなことを僕もできないとは言いません」とにやりと笑う。「3つのときから歌舞伎をやって、17のときに『ハムレット』、22のときに『王様と私』、さらにブロードウェイ、ウエストエンドにも出演して……今まで僕は、そういった生き方をしてきました。だから、それをこれからの人生に活かさないといけない」と意欲を見せた。

なお、白鸚が歌舞伎公演に出演するのは、今年1月に上演された「壽 初春大歌舞伎」以来のこと。白鸚は「舞台人というのは、重い衣装やかつらに対抗できるだけの体力や気力が求められますから。お恥ずかしい話なんですけど、自分はもう歌舞伎はできないかなと思いました」と心境を明かしつつ、「でも、俳優っていうのは、やっぱり芸をお見せするしかない。つまり歌舞伎俳優は、歌舞伎をやるしかないんですね。今はそういう結論に至りました」とほほ笑む。さらに「演劇人というのは、裏方さんも表方さんも含めて、苦しみを勇気に、悲しみをなんとか希望に変えるのが商売。こういうご時世ですから、つい自虐的なことも言ってしまいますが(笑)、心は負けるもんかという気持ちです」と言葉に力を込めた。

「十月大歌舞伎」には、第2部で上演される「双蝶々曲輪日記 角力場」のほか、中村芝翫らが出演する「銘作左小刀 京人形」が第1部に、片岡仁左衛門らが出演する「梶原平三誉石切 鶴ヶ岡八幡社頭の場」が第3部に、坂東玉三郎による「映像×舞踊 特別公演『口上』『楊貴妃』」が第4部にラインナップされている。公演は10月2日から27日まで。チケットの販売は9月14日10:00にスタート。

「十月大歌舞伎」

2020年10月2日(金)~27日(火)
東京都 歌舞伎座

第1部「銘作左小刀 京人形」

出演

左甚五郎:中村芝翫
女房おとく:市川門之助
娘おみつ実は義照妹井筒姫:坂東新悟
奴照平:中村福之助
栗山大蔵:中村松江
京人形の精:中村七之助

第2部「双蝶々曲輪日記 角力場」

出演

濡髪長五郎:松本白鸚
藤屋吾妻:市川高麗蔵
茶亭金平:松本錦吾
山崎屋与五郎 / 放駒長吉:中村勘九郎

第3部「梶原平三誉石切 鶴ヶ岡八幡社頭の場」

出演

梶原平三景時:片岡仁左衛門
六郎太夫娘梢:片岡孝太郎
俣野五郎景久:市川男女蔵
奴菊平:中村隼人
大名山口十郎:市川男寅
同 川島八平:中村玉太郎
同 岡崎将監:中村歌之助
囚人剣菱呑助:片岡松之助
大庭三郎景親:坂東彌十郎
青貝師六郎太夫:中村歌六

※囚人剣菱呑助の「呑」は異体字が正式表記。

第4部 映像×舞踊 特別公演「口上」「楊貴妃」

「口上」

口上:坂東玉三郎

「楊貴妃」

楊貴妃:坂東玉三郎

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