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ウルトラ寿司ふぁいやー、激動の2020年の終わりに見せたエンタメ魂 渋谷クラブクアトロワンマンレポ

リアルサウンド

20/12/31(木) 12:00

 前回からちょうど1年ぶり。12月28日、ウルトラ寿司ふぁいやーのワンマンライブ『復活!廻らない極寿司炎本店-トロは鮪でもクア鮪なのよ-』が渋谷クラブクアトロで開催された。躍進を遂げた2020年の総決算を見せつけるべく、ウルトラ寿司ふぁいやーがライブハウスのステージに帰ってきた。ライブができない間は配信や動画でファンを楽しませ、力の入った新作アルバム『What we 貫』を作り上げた彼ら。明らかにファン層も広がったし知名度も上がったはずだが、それでもライブでこそ魅力を発揮し続けてきた彼らである。お客さんの前でパフォーマンスができないというところにはストレスを抱え続けてきたはずだ。その鬱憤を晴らすかのようなフルボリュームのエンターテインメントが最初から最後まで展開された。

 感染対策で声を出してはいけないのにいきなりメンバー総出で笑わせにかかる(危険な)オープニングムービーを経て、ひとりずつステージに登場した7人。「久しぶりー! 2020年やっとみんなの前でライブできるということで、楽しんでいこうと思います!」。しょーりん(Vo)のそんな挨拶から「全てはエンターテインメント」でライブはスタートした。なめちゃん(Key/Cho)のキーボードが鳴らすピアノのコード、加部輝(Gt/Cho)のギターソロ、そして美しいハーモニーが一気にクアトロのフロアをヒートアップさせていく。「それぞれがんばったみなさんにありがとうの気持ちを込めて」(Jぺい)鳴らされた「HEROES」ではまじくん(Sax/Per/Vo)のサックスが鳴り響き、ソロ回しでメンバーそれぞれの見せ場を作る。

 「ということで、僕たちが男子7人組デスメタルバンド、ウルトラ寿司ふぁいやーです!」というJぺい(Vo/Shikai)の言葉に合わせて加部と翼(Dr/Cho)がハードなサウンドを鳴らす……という挨拶から「テンション上がりすぎてやばいっすね。ほぼ1年ぶりのライブが渋谷クアトロという大きな会場で舞い上がってます」と興奮を口にするJぺい。そこからカバーソングの「魂の寿司唄」コーナーへ突入すると、BTS「Dynamite」をしょーりんがGoogle翻訳した日本語で歌い(言葉の詰め込み方がすごい)、そしてメンバーも観客もスマホのライトで自分を照らしつつ瑛人「香水」へ。後半は香水つながりということでPerfume風にアレンジして楽しませる。Jぺい、しょーりん、まじくんの3人ボーカルによる掛け合いと尚也(Ba/Cho)のベースラインが引っ張るソウルフルなグルーブが気持ちいい「テクマクマジック」では段ボールのロボット(トラブルによりすぐ頭が取れる(笑))とともにロボットダンスも披露、『○沢直樹』をパロったナレーションから突入した「ワーカホリックバカリーマン」ではすべてのサラリーマンの心に刺さるメッセージをファンキーに届ける。とにかく1曲ごとに惜しげもなくネタを注ぎ込み、徹底的にお客さんを楽しませていく極寿司炎。1年ぶりのワンマンに対する気合がパフォーマンスの端々にみなぎっている。

 メンバーそれぞれの1年のがんばりを表彰するメンバー紹介を経て、「ガチガチに降り積もったWinter Love」「サンタの休みはお正月」と冬ソングを2連発。そして「今年はいろんなことが始まった1年でした」と2020年を振り返り始めるJぺいとしょーりん。そのひとつであるスペースシャワーTVの番組でチャレンジした企画をここで再現しようと、ステージには段ボールや鍋、バケツなどの日用雑貨(Jぺいいわく「ゴミ」)が並べられる。翼がニューヨークのストリートミュージシャンばりにこれを叩いてリズムを奏でるのだ。そうして演奏されたのは「ニューヨークで入浴」。尚也がジャジーなベースを鳴らせば、まじくんのサックスがムードを演出。もちろん翼が叩く日用雑貨もいい味を出している。しょーりんが「弘法は筆を選ばんね!」と大絶賛すれば、加部は急に「違うよ、弘法は筆を作るんだよ!」とオリジナルのギターを自慢する。しっちゃかめっちゃかだが、そんな流れから入っていくのがしっとりとした「めっちゃええ歌詞」というのも彼ららしいコントラストだ。そしてそのままハーモニーが美しいバラード「幸せになれ」へ。しょーりんが美しく歌い上げると、ここでステージの照明がいきなり落ちる。どうやら停電になったらしく、マネージャーから「発電しろ」という指示が飛ぶ。

 ステージに持ち込まれた自転車をまじくんが必死に漕ぐと、なんとかマイクだけの電源は確保できたようで、声だけで聴かせるアカペラパートへ。披露したのはあいみょん「マリーゴールド」だ。美しいハーモニーが広がり、ようやくステージの電力も戻ってきた――と思いきや、今度は楽器を鳴らすとマイクのぶんだけ電気が足りないという状況に。なめちゃんが「じゃあ、Jぺいさんとしょーりんさんがいなくなればいいんじゃないですか?」と提案し、Jぺいが自転車で発電するなか鳴らされたインストコーナーではまじくんのサックスが表情豊かなメロディを奏で、加部のギターのカッティングが洒脱なノリを生み出す。さすがの演奏スキルを見せつけると、フロアから大きな拍手が飛んだ。

 「電力が復活したぞ! なんていう茶番だ!」。しょーりんがそう宣言し、ハイテンションな「届かないI LOVE YOU」を響かせる。いつもならコール&レスポンスが巻き起こるサビの早口言葉だが、今日はメンバーが披露し、失敗すると苦いお茶を飲むという流れに。まじくんと加部、どちらも失敗して罰ゲームを受ける羽目に。「みんなで心の中で言ってみましょう!」というJぺいの呼びかけに、フロアから心の早口言葉が飛ぶ。そして同棲・結婚の難しさを歌った「KIRIDANCE」ではJぺいとしょーりんが軽やかにサイドステップを踏みながら笑顔で歌う。そして本編最後は彼らの代表曲「T.C.K.C.」と「WAGAMAMA BANANA」でお祭り騒ぎを巻き起こしてみせた。

 数分後、スクリーンにアンコールワットの映像が流れるなか、アンコールに応えてステージに戻ってきた7人。レゲエのリズムに乗せてしょーりんの地元愛を歌った「マイホームタウン」を披露すると、Jぺいが観客に語りかける。「なかなか苦難の1年でございました。僕たち、何が好きってライブが好きで音楽やってるんですよ。それができない日々というのはしんどくて。ヘコんだりすることもありました。でも今日久しぶりにライブをやって思うのは、『これ、最高』!」。実感のこもったその言葉に温かい拍手が送られる。「本当に元気づけられました、ありがとうございました!」。でも、元気づけられたのは彼らだけではない。今日クアトロに集まったお客さんにとってもそれは同様だったろう。まだまだ苦しい時期は続くが、この激動の2020年の終わりにこうしてウルトラ寿司ふぁいやーのエンタメ魂を見ることができたことで励まされた人も多かったはずだ。

 そんなMCを経て、壮大な合唱パートから始まる「旅立ちの後に」を響かせると、「うだつの上がらない半端な日々を過ごしてきましたが、そんな日々も悪くない。これからも温かく見守っていただければと思います」。しょーりんの言葉から、ラストは「HANPAFUL DAYS」。最後は笑顔でメンバー全員肩を組んで「ありがとうございました!」と挨拶。7人とも清々しい表情を浮かべているのが印象的だった。

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