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2020年、いつもと違う年 その5 シソンヌ×構成作家・今井太郎氏×制作・牛山晃一氏

ナタリー

20/12/23(水) 20:00

シソンヌと、今井太郎さん(右)。

新型コロナウイルスの流行で図らずも特別な年になった2020年を、お笑いに携わる人たちと気のおもむくままに振り返るインタビュー連載。今回は10月から11月にかけて「シソンヌライブ[neuf]」を東京・本多劇場で行ったシソンヌと、座付き作家の今井太郎さん、制作を担当する牛山晃一さんに話を聞きました。感染防止対策をとりながら全公演配信という試みも成功したライブの手応えのほか、「有吉の壁」(日本テレビ)の収録が数少ない楽しみだったという制限された中での活動、外出自粛で再確認したそれぞれの性格など、和やかに語ってくれた様子をお届けします。

取材・文・撮影 / 狩野有理

※取材は11月中旬に実施。

シソンヌ×今井太郎氏×牛山晃一氏 インタビュー

「シソンヌライブ」スタッフはどうぶつの森の住人のよう

──よろしくお願いします。じろうさんがお好きだと聞いてヨックモックご用意しましたので召し上がってください。

じろう あー、惜しいなあ。あれが好きなんです、四角いやつが。

──ええっ! そんな人います!? ヨックモックと言えばこの棒のやつ(=シガール)だろうと思って詰め合わせにしなかったんです。

長谷川忍 特殊なんです(笑)。

じろう シガールはあってもあんまり手を出さないんですよ。ラングドシャが好きなんです。

──なんと……。覚えておきます。では気を取り直して、このインタビューではちょっと変わった1年になった2020年をざっくばらんに振り返るもので、みなさんには10月から11月にかけて開催した「シソンヌライブ[neuf]」のお話を中心にお聞きしたいと思います。最初に牛山さん、今井さんの「シソンヌライブ」における役割を教えていただけますか?

じろう 牛山さんは軍師みたいな人ですね。僕らが武将で。「次は何をどうやるか」っていうのを牛山さんが決めてくださってます。金額とか期間とか。

今井太郎 飲食店で言うと、牛山さんがお店を建ててくれているイメージです。で、メニューを考えているのがじろうさん。

じろう ネタを書く以外のことを全部やっていると思ってください。僕だったら「こんなことまでやらなきゃいけないのか……」ってなるようなことをすべてやってくれているので、本当にありがたい。

──ということで合っていますか?

牛山晃一 はい(笑)。僕は戦略練るのが好きなんですよ。好きだからやっているだけです。あとこの「シソンヌライブ」が始まるときに、2人に「スタッフはどういう人がいい?」って聞いたら「優しい人」っていうふうに答えたので、僕なりに解釈して集めたスタッフとやっているんですけど、そうしたら“締める”人がいなくなっちゃったので、今はそれを僕が一身に引き受けていますね。

──「シソンヌライブ」は優しい人たちの集まりなんですね。

じろう そうですね。シルバニアファミリーとかどうぶつの森の住人みたいな。でも仕事に関してはすごい。

長谷川 本当にお世話になってます。

今井 全員マジでエグいですよ。腕、感覚、対応、全部すごいです。

牛山 そこは間違いなくプロフェッショナルですね。

──今井さんはどんなポジションなのでしょうか。

今井 僕はじろうさんのサポートですかね。

じろう 一番いい相談相手です。うまいんですよ、僕の扱いが。

今井 (笑)。

じろう 僕が心配していることをサラッとした一言で解消してくれるんです。あと、急なお願いをしても絶対「嫌だ」とか「できない」って言わない。必ずなんとかしてくれようとするからすごく助かっています。

──「必ずなんとかしたい」と思わせるじろうさんの人柄もありそうです。

今井 以前、長谷川さんのZINE「混沌」でも書いたんですけど、わりと作家にベットしない芸人さんも多い中でじろうさんはすごく頼りにしてくれるんですよ。「いてくれないと困る」ってちょっと怒られるくらいで。こんなふうに言ってくれる人はなかなかいないので、僕もそれに応えたいなと。

──ゲネを拝見する限りだと今井さんが客席からご覧になって、調整してという感じですよね。

今井 そうですね。じろうさん、演出にあんまり興味ないんですもんね。

じろう うん。

今井 小屋入りするまでも演出面は任せてもらっていますけど、シソンヌの単独ライブなので僕が決定することはしたくなくて。意見を言って、2人がOKしたことをゴーするという流れですね。だから役割としては“演出”なんですけど肩書きは“演出補”でいいと思います。

「タイタンシネマライブ」を参考に

──今年の「シソンヌライブ」を開催するかどうか判断するまではやはり悩みましたか?

牛山 人数制限はありそうだけど、感染防止対策をしながらやれそうという気配を7月の中旬くらいから感じていました。「シソンヌライブ」を年に1回やっていくうえで、“コロナの年”という定点観測も絶対大事だなと僕は思っていて。その年に何ができたのか、例えばDVDにしたときにこの09(neuf)は間違いなく印象的な回として残るから、どういう形であれやりたかった。

長谷川 僕は最悪、無観客かなって勝手に思っていましたけど、やるという前提ではいましたね。

──結果としては座席数は減らし、配信カメラも入れる形で無事に2週間上演できました。全公演配信(1台のカメラによる配信を1000円で12公演、6台のカメラによるスイッチングありの配信を3000円で2公演)というのは新しい試みでしたね。

牛山 ワンカメでの配信は「爆笑問題withタイタンシネマライブ」を参考にしました。「タイタンシネマライブ」ってワンカメの寄り引きだけなんですけど、十分楽しめるんですよ。これだったらお金もかからないだろうということで企画を出しました。

──牛山さんはほかのお笑いライブもチェックしているんですか?

牛山 調査のためにもけっこう観ていますね。特に外出自粛期間中はオンラインライブを観まくっていました。

──ネタの内容についてはコロナがある世界を舞台にするのか、それともコロナとはまったく切り離したものにするのか、じろうさんはどうお考えでしたか?

じろう 触れないわけにはいかないかなと思っていましたし、牛山さんにも「この年にやった意味みたいなものをのちのち振り返れたらいいね」と言われていたので、やっぱり今の状況を取り入れたネタはやろうとは思っていました。

牛山 今回はけっこう早めにじろうくんから案が来て驚いたんですよ。こんな早いこと今までにあったかなって思うくらい(笑)。それに僕が目を通して、もう1回揉んでもらいました。

──それは1つのコントの案についてですか?

牛山 いや、全体ですね。「このネタの意味はこういう感じです」というのがまずざっくり届くんです。

今井 やろうと思っているネタのリストというか、1年間で書き溜めた設定をじろうさんが全部わーっと僕に伝えてくれて、「気になったやつある?」「これとかですかね」っていう話をしながら書き進められそうだったら残す。そのやり取りで決まったベスト6、7本をスタッフさんに提案するって感じです。

──いつもは面白さ優先でセレクトしているんでしょうか?

今井 「書けそう」ってことですかね?

じろう そうだね。でもまあ、「これは今のうちにイジっておかないと」みたいなものも1本くらいは毎回入ってきます。今回は牛山さんも早かったっておっしゃっていましたけど、滑り出しはよかったんですよ。

──「滑り出しは」ということは途中でスピードダウンした?

じろう 自分の感覚的にはすごく渋いときがあったんです。全然書けねえなっていう。でもそういうときに太郎が「いや、全然いつもより早いですよ」という一言をくれて、「あ、そっか。今年はいつもより早いのか」「順調なのか」って思わせてくれる(笑)。こういう部分でもやっぱり僕の扱いがうまい。

ネタ数減らして骨太に、本音は「逃げ」?

──今回はネタの本数が全部で5本と例年より少なかったですよね。ですが個人的にはいつも以上に充実した内容だったと感じました。一つひとつのコントに見応えがあって。

牛山 僕がよかったと思っているのは、各ネタにすごく奥行きが感じられたところです。リライトしながら練っている時間が長かったことが、この骨太なコントに表れているのかなと。もう賞レースに出る必要のないコンビだと思うので、長いコントのほうがお客さんも楽しんでくれるだろうし、ネタ数を増やすよりも深みが出せるんじゃないかというのは今回改めて気づいたところでもあるので、「シソンヌライブ」はこんな感じでいいのかなと一つの形が見えた気がしましたね。

──シソンヌのお二人としてはそこは意識していたところですか?

じろう 最近は6本やることが多いんですが、単純に、本数が少なければ出す設定案が少なくて済むじゃないですか。それに、覚えるのも演じるのも着替えるのも大変なんです(笑)。毎年やっている「モノクロ」(地明かりのみ、衣装の着替えなし、セットなしのシンプルなステージを展開するシソンヌの全国行脚ライブ)での修行のおかげで、なんてことない題材もいくらでもコントにできるっていうスキルが多少身についたので、1つのコントを膨らませたほうが楽だなっていう。だから、自分としては「本数減らして骨太に行こう!」っていうポジティブな感じではなくて、「もう本数覚えられません」っていう逃げの5本だったような……(笑)。

──そうなんですね(笑)。

長谷川 僕もこれが主流になっていってほしいです。1本1本のコントに余裕がありましたもん。「次のネタはあれだから……」とか考えなくていいので、完全に体に染み付いた状態でやれました。6本目をナシの方向に持っていきたい空気を俺とじろうが出したときに、いち早く察してくれたのは今井くんでしたね。忙しいのもあって、1本減ったっていうのはだいぶ気持ちが楽になりました。

今井 1本1本が長くて公演時間が収まるか怖いところもあって。でもそんなに違うんですね。1本の差が。

長谷川 違うよ。精神衛生的にも全然違う。

──いつもはコントの最中に次のコントのことを考えている?

長谷川 普段は集中できていないみたいで申し訳ないですけど、「次のあそこ間違えないようにしないとな」って考えちゃって。

今井 へえー。着替えがしんどいっていうより、キャラの切り替えが難しい?

長谷川 なんだろうな、「不安だな、次」って思っちゃう。でも今回は次のコントのこと考えなかったもん、1回も。それだけ今のコントに集中できてた。

換気タイムはノー演出、それでも笑える工夫を

──1本目のネタの内容が、クラブに来ているお客さんの不安を取り除いてくれるというものだったじゃないですか。あれがあったことで2本目以降すごく安心して観ることができたんですよ。

長谷川 本当ですか?(笑)

──「不安を取り除いてくれた!」と思いました。もちろんコントの中の架空の観客に向けてやっているパフォーマンスではありましたけど、お二人も私たちと同じようにコロナに不安を覚えながら、葛藤もある中で楽しみを提供してくれているのだなというのが伝わってきて。

今井 そうなんですか?

じろう 当たり前だろ! そういうつもりで作ってるよ!

長谷川 いやいや、嘘はやめろ! 我々はそんなことまったく考えてなかったです! そう受け取ってくれるのはだいぶいいお客さんですよ(笑)。

──考えすぎでしたか(笑)。あと換気タイムの取り入れ方が新鮮でした。コントとコントの合間ではなく、1本のコントの途中に換気を入れるという。あれはどなたのアイデアなんですか?

今井 じろうさんですね。

じろう なんの意味もなくこっちの都合で5分の換気を入れるのではなく、何かしら笑わせる方向にしなきゃダメだなと思って、ああいう形にしました。

──換気のために一時中断することで温まっていた会場の空気やお客さんの没入感がリセットされてしまうのは、仕方ないけれどもったいないなと思っていたので、幕が開いてコントの続きが始まったのには感動を覚えました。

牛山 換気の時間自体に演出を入れるのは吉本の方針でNGだったんです。映像もBGMも流しちゃいけない、完全なノー演出の5分間。

今井 僕は本当は、あのシーンのまま緞帳を下ろさずにやりたかったんですけど、それがダメだったんですよね。

牛山 舞台上で何かが起こっていることも演出ということになるので、一度幕は完全に閉めました。

──換気時間を取ったり座席を間引いたりしながらの通常とは異なる公演になりましたが、手応えはどうでしたか?

長谷川 お客さんが少ないっていうのは思ったほどは気にならなかったです。

牛山 「笑いはないものだと覚悟しておいたほうがいいよ」って言っていたくらいだもんね。

じろう でも満席だったらどれぐらいウケてたんだろう?っていうのはやっぱり考えました。と言っても、ルミネ(theよしもと)の出番も含めて何カ月も満員の大爆笑っていうのは体感していなかったんですが。だから来年それを体感できたらいいなあとは思います。

長谷川 来年も厳しそうだなあ。

──そんな雰囲気が漂っていますね。

牛山 そうですね。まあこういう世の中の状況に対応しながら配信もできることがわかったのは1つ収穫でしたね。さっき言ったように、自分たちの配信スタイルを悩んでいたのでけっこういろんな配信ライブを観たんですけど、「全然笑いが来ないな」って思ったのと、その感じが配信を観ている人に「ウケてないの?」って伝わるのが怖いなと思ったんですよ。でも今回は劇場で観てくれていたお客さんの笑い声が多かったのもあって、けっこう笑い声が配信にも乗っていて「あ、よかったよかった」とホッとしました。

楽しみだった「有吉の壁」収録

──話は遡りますが、コロナが最初に拡大した春頃のことを聞かせてください。牛山さんは携わっているメトロンズ(参考記事:サルゴリラ×ライス×しずる×中村元樹インタビュー | SIX GUNSからメトロンズへ、再始動に懸けた7人の覚悟とは)の4月の公演が来年に延期になってしまいました。

牛山 メトロンズは「無理そうだな」とみんなが感じつつも、稽古は粛々と進めていましたね。真剣に取り組んでいたので、もしやれたらいい公演になりそうだなという空気感が漂う中、中止になってしまったので残念ではありました。

──それもあって、一層「シソンヌライブ」を楽しみにされていたというか、成功させたい気持ちが強かったんじゃないかと思います。

牛山 そうですね。予定していた公演がどんどんなくなる中、今年どうしてもやっておきたい、やらなきゃと思ったのは「シソンヌライブ」だけだったので、再開されたお笑いライブや演劇にちょこちょこ足を運びながら、どういう形でやれるか、チケット代はいくらでやるべきかって日々悩んでいました。

──今井さんはnote(「この機会にいろんな人にお話聞いて課金記事の全額お渡しするnote」)で裏方インタビューをやられていましたね。こんなときだからこそできた企画だと思いますが、やってみてどうでしたか?

今井 ほかの作家さんとかディレクターさんとか、けっこうな先輩にほめられたんですよ。でも、偽善扱いされたり、「これでフォロワー増やして自分のnote始めるんでしょ?」みたいなことを言われたりもして、いくら自分によこしまな気持ちがなくてもそういうふうに思う人はいるんだなーってことがわかりました(笑)。

じろう そんなこと言ってくる人いるの?

今井 いるんですよ。これに関しては全額そのまま渡してるので、まったく自分は得してないんですけど。でも普段恥ずかしくて聞けないようなことを聞けましたし、これにかこつけてしゃべってみたかった人としゃべれたのはよかったですね。あとは直接的な援助にもなったかなと。

──テレビではリモートでの収録が多かった時期です。シソンヌのお二人が出演していた番組だと「有吉の壁」(日本テレビ)のリモート企画がわくわくしました。

長谷川 「有吉の壁」があったのはデカかったですね。ロケは1カ月くらい中止になったんですが、いろいろ工夫して「リモート選手権」っていうのをやってくれて。

じろう 外出自粛中はオンラインゲームをやったり韓流ドラマを観たりして一切家から出ることなく過ごしていて、それでも全然支障なかったんですよ。でもちょこちょこ仕事が再開した頃は「あ、2週間後『壁』だ」って楽しみにしている自分がいました(笑)。

長谷川 芸人に会える貴重な機会でもあったので、「有吉の壁」にはだいぶ助けられた感がありますね。

次は本多劇場で1カ月公演

──緊急事態宣言が明けて、久々に劇場に立ったときはどんな感じでしたか?

長谷川 やっぱりダイレクトに反応が返ってくるのは楽しいですね。というか、テレビしか出なくなった人たちってどうやってこの感じを味わうんだろうって思いました。もちろんオンエア後に感想をもらえるのもうれしいんですけど、今はスタジオに観覧もいないし、スタッフさんしか笑っていないわけですよ。それも「編集のこと考えながら笑ってるのかな?」とか考えちゃいますし。だからやっぱりお客さんの生のリアクションの貴重さにはこの期間を経て気づきましたね。それまでは有吉さんと佐藤栞里ちゃんしか笑ってくれているのを確認できなかったんで(笑)。ルミネも客席減らしていましたけど、めちゃくちゃ温かかくてウケている感じは十分味わえました。

──劇場には本当に笑いたい人たちが来ているわけですもんね。

牛山 「生で観る」ということにこれからもっと価値が出てくる兆しがありますね。YouTubeや短い動画があふれている中で、生で観たい人って今あんまりいないのかなって感じですが、今回の「neuf」はチケット代1万円でも観に行きたいと思ってくれる人がこれだけいるとわかったので希望になりました。

長谷川 なんかネットニュースとか見てると「お笑いは必要ないんじゃないか」みたいな記事も出ているじゃないですか。でも必要としてくれる人は一定数いるんだなって思いましたよね。

──そして来年は本多劇場で1カ月公演が待っています(参考記事:シソンヌライブ完走、来年の第10回は本多劇場で約1カ月公演「皆さんも逃げずについて来て」)。

じろう 1カ月公演は赤坂RED/THEATERで一度経験しているので(参考記事:シソンヌ1カ月公演開幕!「誰よりも人前でコントしてる」来年は東京&大阪で)、そこまで身構えてはいないです。本多のほうが家からも近いし、下北まで行くあの道、好きなので(笑)。楽しい1カ月ですよ。

長谷川 体力を考えると、年齢的に今のうちにしかできないだろうなっていうのもありますね。やれるうちにやっておこうみたいな。ただ本多は広いので、喉が心配。でもたぶんじろうも声を張るネタは少し抑えてくれるだろうと勝手に思ってます。今回は張るネタが多かったんですが、次は1カ月なのでそこは考慮してもらって(笑)。

──個人的には「シソンヌライブ」の取材を1回目からしているので10回目を迎える感慨深さもありますし、最初は「本多劇場で1週間公演」を目標にしていた(参考記事:本多劇場目指すシソンヌ、単独公演に強い思い)のが、今は当たり前のように本多劇場に立っていて、そこまで大きな気負いなく1カ月公演に臨まれるんだな、すごいなとお二人の姿を見上げている気分なんです。

じろう 当初はそう言ってましたね。

長谷川 思ったより早く叶ってありがたい限りです。

──最後に、この企画の共通の質問をして終わりにしたいと思います。2020年、みなさんにとってどんな年でしたか?

牛山 2020年を“コロナの年”とスライドさせて考えると、全然まだ“この年”を振り返ることはできない状況じゃないですか。来年も地続きで、気を緩めないようにしながら戦略を練らなきゃいけないなというのを、今日このタイミングですごく強く感じています。「シソンヌライブをがんばった1年です」って言えたらよかったですけど、まったくまだ油断ならないですね。

今井 僕は今年、運勢が全然よくなかったんですよ。だから最初からいいことはないんだろうなと諦めていたからヤバイことが起きてもまだ耐えられたというか。でも、それにしては新しい仕事が入ってきて忙しく過ごせたので、ハードルを下げていた分、お得な気分ではあります。

──シソンヌのお二人は?

じろう 今年はでも……いろんなところでタバコが吸えなくなった年、ですね。

長谷川 そうだなあ。

今井 それコロナ関係ないですね(笑)。

じろう パチンコ屋も喫茶店も。

長谷川 時間潰せるところがなくなっちゃったんですよ。

今井 本多劇場も吸えないですもんね。

──じゃあシソンヌにとっては「不便な年」。

じろう あと、なんもしなくても平気な人なんだなって再認識できましたね。仕事がなかったらなかったで、ぼーっとしていられる人間なんだなって。焦燥感とかも特になく。

長谷川 俺は焦燥感を持つタイプなので、今回焦らずに済んだのはちょこちょこ仕事があってくれたっていうのが大きいです。マジで仕事ゼロになってたらたぶん発狂してたと思う。自粛でぼーっとしてても意外と大丈夫だったのは、たまにあった仕事のおかげですね。

シソンヌ

じろう
1978年7月14日生まれ、青森県出身。

長谷川忍(ハセガワシノブ)
1978年8月6日生まれ、静岡県出身。

NSC東京校で出会い、2006年4月に結成。「キングオブコント2014」王者。2013年より単独公演「シソンヌライブ」を毎年開催するほか、1年をかけて47都道府県を回る「モノクロ」も同時に展開している。ドラマ「今日から俺は!!」(日本テレビ)や舞台「スマートモテリーマン講座」などに出演し、俳優としても活躍。じろうが脚本家およびキャストとして参加する新ドラマ「でっけぇ風呂場で待ってます」(日本テレビ)は1月25日(月)にスタートする。毎週金曜23時より「シソンヌの“ばばあの罠”」(RKBラジオ)放送。現在は舞台「ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』featuring SPAM」に向けて稽古中。コント動画はYouTubeチャンネル「シソンヌライブ」、長谷川の企画動画は「はせがわちゃんねる」でチェック。

ミュージカル「モンティ・パイソンのSPAMALOT」 featuring SPAM

2021年1月18日(月)~2月14日(日)
東京・東京建物 Brillia HALL

2021年2月18日(木)~2月23日(火・祝)
大阪・オリックス劇場

2021年2月26日(金)~2月28日(日)
福岡・福岡市民会館 大ホール

シソンヌライブ[dix]

日程:2021年7月7日(水)~8月1日(日)
会場:東京・本多劇場

今井太郎(イマイタロウ)

1983年生まれ、兵庫県出身。2007年に構成作家としてデビュー。「あらびき団」(TBS)、「バナナサンド」(TBS)、「チャンスの時間」(ABEMA)などの番組に参加するほか、シソンヌ、渡辺直美、相席スタート、ニューヨーク、囲碁将棋といった芸人のネタ作りに協力。自身が企画する「性格の悪いネタをするライブ」は次回1月26日(火)に東京・ルミネtheよしもとで開催。

牛山晃一(ウシヤマコウイチ)

1973年生まれ、東京都出身。「ジョビジョバ(1994~2002)」、細川徹「男子はだまってなさいよ!」、福田雄一×マギー(ジョビジョバ)「U-1グランプリ」などの制作を担当。2013年に始動した「シソンヌライブ」の立ち上げから参加し、「シソンヌライブ[モノクロ]」、サルゴリラ、ライス、しずる、作家・演出家の中村元樹によるユニット・メトロンズの公演にも携わる。

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