BOYSぴあSelection 第22回 元木聖也
元木聖也 Part2「今でも『ルパパト』の仲間には特別な絆を感じます」
連載
PART2
19/8/2(金)
PART1では、ビックリするぐらいワンパクだった少年時代の思い出を聞かせてくれた元木聖也くん。そこで鍛えられた身体能力が、今、俳優として唯一無二の武器になっています。
はじめは「別にやりたいという意思はなかった」という芸能活動。そこから本気でこの道にのめり込み、今、ネクストフェーズを迎えようとしている元木くんの足取りを追いかけます。
─── いろいろワンパクだった頃のお話を聞きましたが、なりたかった職業はありますか?
中学のときぐらいが将来について一番悩んでいましたね。中2ぐらいから芸能の仕事はしていたんですよ。ただ、僕自身はなあなあというか、別にやりたいという意思があったわけではなくて。身体を動かすのは好きだし、将来はスポーツに関する仕事をするか、芸能のお仕事をするか、っていうのはいろいろ考えていました。
─── はっきり役者の仕事を自分で志すようになったのは?
高2ぐらいからですね。ずっと中途半端にやっていたんですけど、しっかりやってみたいと思うようになって。それで今の事務所に移って、一発目に受けたのがミュージカル『テニスの王子様』のオーディションでした。
─── 元木さんはミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンで山吹中の千石清純 役を演じていました。『テニミュ』で得たものは何ですか?
すごくいいきっかけになったんですよね。たくさん公演日数があるから、同じことを長くやるための地力がついたし。でも、一番実になったのは、さらに頑張ろうと思えたことかな。僕、『テニミュ』をやっていた頃からずっと早く次のことやりたいって言ってたんですよ。
そうやって動いていたら、『テニミュ』が終わったすぐあとに『おとうさんといっしょ』(NHK BSプレミアム)のお仕事が決まって。5年やって卒業が決まった直後に、今度は『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』のオーディションに合格できた。そう思うと、怒濤だったなと思います。
─── その中で元木さん自身が大きく変わったのは、どのタイミングですか?
やっぱり『ルパパト』をやった1年間は大きかったです。『おとうさんといっしょ』をやっていた5年間って、ある意味ずっと同じことをやり続けるんです。隔週で収録があって、毎週ロケがあって、夏と冬には毎年コンサートがある。それを5年間続けたのは、自分にとってとてつもなく貴重な時間なんですけど、元木聖也の活動としては大きく動いていない5年間でもあって。わりと停滞していた時期でもあった。
それが戦隊が決まったことで、また大きく変動したというか。周りからの反響も変わりましたし、自分でアクロバット教室をやらせてもらったり、映像のお芝居をやらせてもらったり。今までとはまた違うことをできるようになりました。
─── 『ルパパト』ではいろんなアクロバットを披露していましたよね。あれはもともとそういう役だったのか、元木さんだから追加されたのか、どちらだったんでしょう?
それは僕だからですね。もともとアクロバットをやるキャラクターではなかったので。
─── そういう意味では、今までやってきた経験がちゃんとお仕事に活かされているわけですね。
そうですね。パルクールを始めたのは高1の頃で、友達から教えてもらったのがきっかけだったんですけど。そのときはまだこの仕事に本腰を入れようという覚悟は決まっていなかったので、俳優業に活かそうとか、そういう気持ちは一切なく、ただ楽しいからやっていただけで。それがいつの間にかつながったという意味では、不思議ですよね、すごく。
─── 『ルパパト』撮影時の想い出をぜひ聞かせてください。
それこそアクロバットで言うと楽しかったのが、パルクールを使って逃げるシーンがあったんですけど、あれは僕がずっと「パルクールをやりたい」って話していて、それで実現したシーンなんです。
─── そうだったんですね。
だから撮影中はすごく楽しかったです。自分の目のところにGoProをつけて、それで撮影したり。ロケハンもついていきましたし。
─── 普通、俳優さんがロケハンに行くことはないですよね。
確かに今までそんなことをした人はいなかったそうです。でもやるからにはちゃんとやりたいなっていうのがあって。やっぱり僕が直接確認しないと、その場所で何ができるかわからないから。アクション監督と監督と助監督と一緒に現地に行って、その場でいろいろ相談しながら動きを決めました。
─── じゃあ、ご自身としてもすごく納得のいくシーンになったのでは。
そうですね。あそこでしかやっていないような技とか、結構レベルの高い技も盛り込んでいるので、すごく納得のいくシーンになりました。
─── 『ルパパト』のお仕事をすべて終えたときは、やはり寂しかったですか?
寂しくはなかったかな。それよりもしっかりやり切ったっていう気持ちの方が大きかったし。それに、共演者のみんなともまた違う現場で絶対会おうって話をしていたので。そういう意味でも寂しさはなかったです。
─── あの6人とはやはり特別な絆を感じますか?
感じますね。あれだけ長い時間一緒にいたわけですから、お互いに他の仕事では出会えないような存在になれた感覚はあります。
─── そして、8月2日から舞台『THE BANK ROBBERY!〜ダイヤモンド強奪大作戦〜』が開幕します。このお話をもらったときの気持ちを教えてください。
素直にやりたいって思いました。理由は3つあって、ひとつはロンドンでやっている舞台に興味があったから。ふたつ目は、素敵なキャストが揃っていて、面白そうだなと思ったから。そして、3つ目は演出が小林顕作さんだったから。昔からずっと一緒に舞台をやろうという話をしていて、やっと今回ご一緒することができました。
─── この作品の面白さはどんなところでしょうか?
コメディと言っても、いろんなジャンルのコメディがあると思いますが、この作品はコメディの真ん中を行くお話。英語ならではの言葉遊びが多いんですけど、それを今回日本語に置き換えてくれるのが、顕作さん。
顕作さんは、最近で言うと舞台「パタリロ!」とか面白い舞台をいっぱい演出していて。みなさんもよく知っている(『みいつけた!』の)オフロスキーの声も顕作さん。面白いことを考える天才だと思ってるので、その人が演出をする舞台は絶対に面白いと思います。
─── 元木さんの演じるミッチ・ラスチッティは脱獄犯の役だとか。台本を読んでみて新鮮に感じたり面白いと思ったところはありますか?
詐欺師がいたり、スリがいたり、出てくる人は全員悪い人なんですけど、その中でも極悪人なのが僕の演じるミッチで。こういう悪い人という役柄は、みなさんもあまり馴染みがないと思うので、楽しんでいただけるんじゃないかなと。
あとは、極悪人ではあるけれど、この作品はコメディなので、そんな極悪人が振り回される面白さというか、キャラクターの振り幅も見どころのひとつ。掛け合いならではのテンポも面白いし、そこは舞台ならではの空気感だと思うので、ぜひ楽しみにしていてほしいです。
─── イントロダクションには「何が本当で、何が嘘なのか、ハラハラドキドキのサスペンスコメディ!」とありますね。元木さんは嘘をつくのは得意ですか?
どうなんだろう。バレると思いますね。そもそも嘘をつくことがあんまりないんですよ。何か悪いことが起きたら、言い訳せず、正直に話します。で、どうしたらいいでしょうって聞いて問題解決しようというタイプですね。
─── じゃあ逆に騙されてビックリした経験は?
面白かったのが、高2の誕生日。いつも通り学校に行って、放課後にみんなでワイワイしていたら、ある男友達が僕を体育館裏に呼び出したんですよ。で、「急に珍しいじゃん。どうしたの?」って聞いたら、「俺、聖也のことが好きなんだ」って告白されて。
─── えー!
「よかったら俺と付き合ってくれないか」って言われて。「マジか……!」と思いつつ一応真剣に考えて、「ごめん、俺、女の子が好きなんだ」ってお断りをしたんです。そしたら、その子も「そっか。わかった」と。で、「あともうひとつ言いたいことがあるんだけど」って切り出してきて、どうしたんだろうと思ったら「誕生日おめでとう!」っていきなり周りからバッとみんなが出てきたんです。
─── サプライズだったんですね。
そう(笑)。「隠しカメラで今までの全部撮ってたよ」って言われて。あとで、DVDに焼いて、プレゼントとしてもらいました(笑)。
─── あはは。見たんですか、そのDVD。
見ました。我ながらめっちゃ困った顔をしていました(笑)。思い切り騙されましたけど、めちゃくちゃうれしかったし、いい想い出ですね。
─── あとはあらすじに「恋の三角関係」とも書いていますね。これは原嘉孝さん演じるサム・モナハン、桜井玲香さん演じるカプリス・フリーボーイズ、そして元木さん演じるミッチの三角関係という意味でしょうか?
はい。ただいわゆる三角関係ではなくて、カプリスが結婚詐欺師で、僕らが彼女に振り回されるっていう感じなんです。
─── なるほど。そういう振り回す女の子は好きですか? それとも避難したい?
避難したいです(笑)。もっとたくさんやりたいことがあるので、そこに使うエネルギーはないですね(笑)。
─── じゃあ、これからやりたいことを聞かせてください。
まず俳優としては、アクション映画に出たいですね。『ルパパト』でチャレンジはできたんですけど、ちょっとしか入れられなかったので。日本でもこれだけアクションができるんだと驚いてもらえるような作品をつくってみたいし関わってみたいです。
あとは、『ルパパト』が終わってからアクロバット教室をやってるんですけど、これをもっと毎月定期的にやりたいです。
─── すごいですよね、アクロバット教室って。それこそまさに元木さんにしかできないことだと思います。
確かに、同じようなことをやっている人はあまりいないかもしれないですね。お子さん連れのお父さんお母さんが来てくださるんですけど、毎月1回、このアクロバット教室という楽しみがあるから頑張れるとか、すごく力になっているという声を直接いただいたことがあって。そういうのを聞くと、もっとたくさんの人に僕のアクロバット教室を息抜きにしてもらいたいなと思うし、そういう場を提供できるように、これからもずっと続けていきたいです。
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撮影/高橋那月、取材・文/横川良明、企画・構成/藤坂美樹、ヘアメイク/藤尾明日香、スタイリング/添田和宏、衣装協力/パンツ¥16,000 ティグル ブロカンテ(ティグル ブロカンテ TEL:092-761-7666)
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