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綾野剛と沢尻エリカの息のあった演技が見どころに? 平成最後の年に蘇った『ハゲタカ』

リアルサウンド

18/7/20(金) 10:00

 「平成の日本に現れたダークヒーロー」。そんなキャッチコピーになんとも納得がいった。7月19日よりスタートした木曜ドラマ『ハゲタカ』(テレビ朝日系)は、累計240万部を誇る、真山仁の小説『ハゲタカ』(2004年刊行)を映像化した作品。2007年に大森南朋を主演に全6回放送されたNHKのドラマ版から、11年後の今年。満を持して、綾野剛を主演に平成最後の年に『ハゲタカ』が蘇る。

 外資系投資ファンド『ホライズンジャパン・パートナーズ』代表取締役・鷲津政彦(綾野剛)は、企業買収や債権処理で数々の実績を上げ、周囲の人々から“ゴールデンイーグル”、“ハゲタカ”と呼ばれ、忌み嫌われていた。金融機関などが保有する不良債権や不動産を、第三者にまとめ売りをする「バルクセール」を、飯島(小林薫)、芝野(渡部篤郎)率いる三葉銀行はホライズンジャパンに持ちかける。しかし、それは多額の負債総額が積まれた料亭や債権回収の見込みゼロのジム、反社会的勢力による物件など、いわゆる企業の評価損を抱えた有価証券を一時的に第三者に転売する“飛ばし”を大量に含めた不良債権処理だった。鷲津たちは、自分たちの足で一つひとつの企業を調べ尽くし、多くのものに“1円”の評価を下す。畳み掛けるようにスピーディーかつ、確実に、相手に欺いていくホライズンジャパン、鷲津はまさに、ダークヒーローそのものである。

 鷲津を演じる綾野はこれまで、映画『新宿スワン』シリーズで金髪の白鳥龍彦を、『闇金ウシジマくん』シリーズでは戌亥を、映画『ヘルタースケルター』では奥村伸一と、様々な強面キャラを演じてきた。その中でも、本作の鷲津は、常に眉間にシワを寄せた威圧的な態度の持ち主。それは、三葉銀行相手の取引時はもちろん、鬼怒川の老舗料亭『金色庵』の社長・金田(六角精児)にも向けられる。三葉銀行のバルクセールにより、債権がホライズンジャパンに譲渡された金色庵は、持ちかけられた救済取引にも応じることができず、金田は「ハゲタカなんて呼ばれて恥ずかしくないのか!」と怒号を飛ばす。それに対して、鷲津はドスの利いた声で「我々をハゲタカと呼ぶなら自分が食い荒らされる腐った肉だってことを自覚しろ」と凄みを見せる。「日本をここまで腐らせたのは、あんたのような無能な経営者だ!」。一切手は出さずに、眼力のみで相手を圧倒するオーラは、これまでの俳優経験から滲み出るものである。

 金田と鷲津の仲裁に入るのが、老舗ホテル『日光みやびホテル』のオーナー・松平貴子(沢尻エリカ)。鷲津と松平は、第1話のラストで再会を果たす。松平が今月亡くなったという祖母の写真を見せると、鷲津の表情は緩む。その哀しみはどこか、綾野がドラマ『コウノドリ』シリーズ(TBS系)で演じた鴻鳥サクラや、『フランケンシュタインの恋』(日本テレビ系)での深志研を彷彿とさせる。多くの日本人が忘れてしまった確かな覚悟を、松平の中に見出した鷲津。この2人は、これから物語の中で交錯していくこととなるが、綾野と沢尻としては『ヘルタースケルター』、『新宿スワン』に続き、3度目の共演ということからも、息のあった演技も見どころの一つとなりそうだ。(文=渡辺彰浩)

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