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2020年上半期で躍進した新鋭バンドは? ハンブレッダーズ、Omoinotakeらシーンに活気与えた豊潤な音楽

リアルサウンド

20/6/29(月) 16:00

 2020年も半分が終わろうとしている。今年はコロナの影響により、様々な形でイレギュラーが続くわけだが、それでもたくさんのバンドやアーティストが意欲的な作品をリリースしてきた。そこで本稿では、筆者が上半期に大きく躍進したように感じるバンドをいくつか紹介していきたい。

参考:ハンブレッダーズ、マカロニえんぴつ……若者に支持されるバンドたちの“青春”の描き方

■ハンブレッダーズ

 <トイズファクトリー>から満を持してのメジャーデビューとなったハンブレッダーズ。そのタイミングでリリースされたアルバム『ユースレスマシン』は、インディーズ時代に培った彼らの魅力がたっぷりと詰まっている。マイノリティーに光を当てるような眼差しと、ストレートでシンプルなエイトビートなギターロックが彼らの持ち味だと思うが、そういう彼らだからこそのロックが『ユースレスマシン』には詰まっていた。極めつけは、コロナ渦中に発表された「ライブハウスで会おうぜ」。現在進行系で、ライブハウスで切磋琢磨してきているバンドであり、常にマイノリティ側の視点で歌ってきたバンドだからこその突き刺す一曲。きっとこの歌が紡ぐメッセージに痺れたバンド好きも多かったように思うのだ。

■Omoinotake

 上半期は立て続けに新作をリリースしたOmoinotake。2月19日にミニアルバム『モラトリアム』をリリースし、4月からは3カ月連続リリースとして「欠伸」と「One Day」も発表している。しかも、どの曲も色が違うのだ。「One Day」はキーボードの音色が印象的なカラフルでダンサンブルなナンバーである。「モラトリアム」もキーボードの音色がベースにあるが、それ以上にハイトーンで透き通ったボーカルが印象的なドラマチックなバラードに仕上がっている。この引き出しの多さがOmoinotakeの魅力のひとつ。島根出身のキーボードバンドということで、Official髭男dismと比較されることも多いが、打ち出した音楽性はOfficial髭男dismとはまた異なることを明確に示したこの上半期。おそらく彼らの音楽の虜になったリスナーも多いように思う。

■ドラマストア

 『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』や『MONSTER baSH』などの大型フェスの出演が決定しており、おそらくすべてが順当に開催されていたら、よりたくさんのロックファンに注目されていたように思うドラマストア。メロディ重視のキャッチーな楽曲が、老若男女問わず幅広い世代に刺さっている印象を受ける。トリッキーであることが重視されがちな若手バンドシーンにおいて、メロディそのものを重点的に勝負するその潔さがぐっとくるし、「ラブソングはいらない」をはじめ、洗練されたメロディラインが聴き手を魅了する。

■SHE’S

 おそらく、この上半期でもっとも認知度を拡大したバンドのひとつがSHE’Sだと思う。「Letter」は「あつまれ どうぶつの森 × Nintendo Switch Lite」2020春CM内で使用されたこともあり、たくさんの人の耳に留まった。優しくも芯の強さがある楽曲に胸をうたれたリスナーが多かったように思う。さらに「Higher」は春の選抜高等学校野球大会の「第92回センバツ MBS公式テーマソング」にも決まっていた。結果的に中止になってしまったけれども、彼らの音楽が自分の生活の中に入ってきているリスナーが増えていることは間違いない。他にもタイアップに対して「これぞ」と言えるような求心力の高い楽曲をリリースできているところが彼らの強さ。下半期もその一挙手一投足から目が離せられないバンドである。

■マカロニえんぴつ

 単純に『hope』が名盤だったマカロニえんぴつ。彼らの場合、音楽の刺さり方がリスナーによって違うところが大きな特徴である。例えば、どこか懐かしさを感じるサウンドにぐっとくるリスナーもいれば、柔らかい乙女心を撃ち抜くような赤裸々なポエトリーに共感するリスナーもいる。キャッチーかと思えば、クセの強い楽曲も多いし、簡単に「こういうバンド」と語らせてくれない奥深さがあるのだ。その奥深さの一端に触れて、彼らの音楽にハマったリスナーがたくさんいたように思う。「レモンパイ」や「ブルーベリー・ナイツ」など彼らの代表曲が詰まった『hope』はそういう入り口としてもぴったりのアルバムだった。この先、よりアグレッシブなチャレンジを行い、より間口の広い音楽を提示していくことになるだろう。つまりは、この先も彼らの躍進がとどまることはない。そのように感じるのである。

 ライブができない中でも存在感を明確に示したバンドも多い。明るい話題が少なかった2020年上半期だが、音楽作品は豊作だったように思う。ここで紹介したバンドはきっと下半期も存在感を示すだろうし、これからもその動きに注目していきたい。(ロッキン・ライフの中の人)

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