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稲葉友の「話はかわるけど」

犬×さきばしる×考え過ぎ【前編】

毎週連載

第126回

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子供の頃は、ペットの豆しばのサクラちゃんが妹分だった稲葉さん。今でも犬は大好きですが、飼う決心はつかないそう。愛犬家ゆえに考え過ぎる心理を、自身で紐解きます。

ここしばらく思いを馳せている問題がある。無理に結論には至ろうとせず、ひたすらに思いを馳せている。何かといえば犬を飼いたいということだ。犬と暮らしたい、犬可愛い。しかし犬を飼うとは…と、堂々巡りを続けている。

昔、実家で豆柴を飼っていた。僕が9歳から19歳くらい10年共に過ごした。名前はさくらで、性別はメス。名前は当時の朝ドラの主人公から取ったものだ。ひたすらに可愛かった思い出がある。自分は末っ子で家族の中では常に1番下だったところに妹が出来たような喜びもあった。散歩やご飯をあげる役割はあったにせよ、当時は子どもなので無責任にただ可愛がっていた。さくらが亡くなってからおよそ10年が経とうとしている今、改めて犬と暮らすということについて考えているのだ。

僕の周りには犬や猫と暮らしている人が多い。遊びに行った先に犬がいたり、逆に遊びに招いたときに犬も連れて来たり。人の家の犬と遊ぶ機会が増えてくるに連れ、同世代が自主的にペットを飼う年齢になってきたことを実感する。かつての僕のような無責任な愛でなく、責任が伴う愛を持って。

20代も後半になると周りがいろんな意味で安定してくる。生活の余裕というか人生の余裕が多少はあって、ペットを迎える準備が出来ているみたい。触れ合って犬の可愛さを再認識するたびに愛おしさを感じる。

飼えばいいじゃないという話なんだけど、僕は良くも悪くも考え過ぎてしまう。さくらとお別れしたという経験もしているので、そのことを思い返すとなかなか踏み出せないというのもある。犬を迎えることで家族になり、命を預かるという重い責任を背負う覚悟があるのだろうかと自問自答が続く。そんな中でもいてくれたらどんなに楽しいかという想像も膨らむ。

「犬ともし暮らしたら」「犬の幸せとは」なんてことを、考えることが多くなってきた。例えば実際に犬と暮らしている人と会うと「自分だったら……」と想像しするし、周りに「犬のペット業界にはこういう現実があるんですよ」と発信している人がいたりするので、当然そういう情報を目にすると、考えることもある。里親募集サイトも見ることも増えて、仔犬だけでなく成犬でも様々な事情で里親を必要としている現実に胸が痛くなったりもする。

犬と暮らすということの入り口が、実はたくさんあるということに驚いたりもした。さくらは父親の繋がりで、田舎の家で仔犬がたくさん生まれたところから引き取りますという流れで一緒に暮らし始めた犬だった。だからペットショップから犬を買ってくるという感覚を知らなかったし、保護犬を引き取るという発想も持っていなかった。犬との出会い方は様々な形があることを改めて認識している。

家で過ごす時間が増えると同時にペットと暮らす人が増え始めたらしい。この状況が明けたときにちゃんと面倒見られるのか!?という声をあげている人もいる。そんな意見を見かけてもまた自問自答をしてしまう。

僕は結局、何も進んでいないのに一人で先回りし過ぎてしまう考え過ぎてしまう性格なのだ。問題点ばかりが目についてしまいなかなか踏み出せないのが現状だ。

この犬種にはこんな特徴があって、成犬のサイズはこのくらいになってとか、とにかく情報は漁っている。よくよく考えてから動くべきことだけど、突発的な衝動や勢いがないと出来ないこともある。一歩目二歩目を踏み出してからの方がわかることは多い。それはわかっていても、想像ばかりが先走る。分からない中で覚悟をしなければいけないのだけど、石橋を叩いて眺めているような感じだ。

テレビを観ていても動物の事を取り上げているものが多い。少し前に、動物番組で嵐の相葉さんが“感情のない犬”に出会った回を見た時は衝撃を受けた。その犬は7,8年劣悪な環境で生きてきて、その後手放されたところを保護されたらしい。

何気なく見ていた番組に、辛い気持ちになりつつも目が離せなくなった。相葉さんがその子の毛をトリミングしてお手入れして、シャンプーとかしている中で、少しずつ人に慣れて様子が見て取れて、気付けば応援しまくり。最終的には後日、素敵な家族に巡り会えたと。この話は、単純に僕が相葉さんを大好きになったという話でもある。犬にとって過酷な状況はそこかしこにあり、それは本当に辛いことなんだけど、いい人との出会いを見るのはなんだか心が震える。

こういう感情が大きく揺れ動いてしまうのは共に暮らしたことがある犬という種族だからこそなのだと思う。そんなこんなでまだ自問自答は続いているので、次回もまだ、犬の話は続く。

次回の更新は6月9日(水)です。お楽しみに!

プロフィール

稲葉友(いなばゆう)

1993年1月12日生まれ、神奈川県出身。
2010年、ドラマ『クローン ベイビー』(TBS)で俳優デビュー後、ドラマ、映画、舞台と幅広く活動。
主な出演作に、ドラマ『仮面ライダードライブ』(‘14~’15 EX)、『MARS~ただ、君を愛してる~』(’16 NTV)、『ひぐらしのなく頃に』(’16 BSスカパー!)、『レンタル救世主』(’16 NTV)、『将棋めし』(’17 CX)、映画『ワンダフルワールドエンド』(’15)、『HiGH&LOW』シリーズ、『N.Y.マックスマン』(’18)、『私の人生なのに』(’18)、舞台『すべての四月のために』(’17)、映画『春待つ僕ら』(’19)『この道』(’19)など。
J-WAVE『ALL GOOD FRIDAY』(毎週金曜11:30~16:00生放送)ではレギュラーパーソナリティ―を務める。

撮影/鬼澤礼門、取材/藤坂美樹、構成/中尾巴、ヘアメイク/速水昭仁、スタイリング/添田和宏、衣装協力/ベスト¥5,940/キャスパージョン(シアン PR TEL:03-6662-5525)
タイダイカットソー¥9,130/キャンバー(グッドディール ウェブハウス TEL:03-6419-7955)
パンツ¥26,400/クロ(クロ ギンザ TEL:03-6274-6257)
シューズ¥23,100/スペース クラフト(ヘムト PR TEL:03-6721-0882)
ブレスレット各¥9,900/ライオンハート(ライオンハート TEL:03-6384-1873)
その他スタイリスト私物

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