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映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』で初共演。岡田准一と平手友梨奈は“師匠と弟子”で“友達”

ぴあ

『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』

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年齢差は21歳。ふたりの関係は「師匠と弟子」であると同時に「友達」だという。2019年に公開された映画『ザ・ファブル』のシリーズ第二弾となる『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』で初共演を果たした岡田准一と平手友梨奈。岡田が前作に続いて、激しく華麗なアクション、どこか感覚が世間とズレた殺し屋という役柄で味のある演技を見せる一方、平手は物語のカギを握る、足と心に傷を負った少女という難役に果敢に挑み、存在感を放っている。新型コロナウイルスの感染拡大による撮影中断をはさみつつ完成、そして公開にこぎつけた本作について、ふたりに話を聞いた。

――岡田さんが演じる佐藤アキラ(※ファブルの偽名)は一流の殺し屋である一方で、どこか抜けていて、これまでに岡田さんが演じてきた役柄とはややタイプが異なるように思います。アキラを演じる面白さをどんなところに感じていますか?

岡田:コメディという部分に関して、若い頃はよく演じていましたけど、最近は重い役柄を演じさせていただくることが多くて…。でも、自分のパブリックイメージにおけるその“重さ”が、アキラを演じる上ではコメディとのズレという意味でちょうどいいんだと思います。

ただ、アキラはちょっと浮世離れしていて、掛け合いで楽しくできるわけではなく、話を振られているのに聞いてなくて「おいっ!」と突っ込まれる側なので、正直なところ楽しく演じられる役というわけではないんです(苦笑)。

――あくまでもアキラ自身は真面目に生きていて…。

岡田:そうなんです。その真面目にやっているのがズレていて(見ている側は)面白いという役なので、掛け合いには乗れないんです。

ただ、面白さという意味では、オクトパス(※アキラが勤めるデザイン会社で、佐藤二朗、山本美月が同僚役を演じる)でのコメディ部分もあれば、平手さん、堤(真一)さんを相手にした真面目なドラマシーンもあるし、激しいアクションのシーンもあって、言ってみれば3つの現場を行き来しているような感じで演じることができるんです。撮影現場としては違う作品に入っているのかというくらい、テンションが違って、そういう意味で面白いですね。

――平手さんが演じたヒナコは、つらい過去であったり、様々なことを抱えつつも口数は少なく、役として難しかったかと思います。特にヒナコの内面に関してどのように捉え、表現されたんでしょうか?

平手:自分の中でもまだわかっていないというか「(演じたシーンで)ヒナコってどんな感情だったんだろう?」という感じで、いまだに掴み切れてないんですよね。もしかしたら、映画を見てくださる方も(映画で答えが提示されるのではなく、想像に委ねられて)同じように「ヒナコってどういう感情だったの?」という感想を持つかもしれないです。

――クライマックスでは、そんなヒナコが感情をあらわにするシーンもありました。あのシーンはどんなことを考えて臨まれたんでしょう?

平手:何だろう…? 現場のみなさんが作ってくださった雰囲気もありましたし、私は相手がほぼ堤さんだったので、堤さんのお芝居を見ながら、いろんな周囲の方たちのお力を借りてできたんじゃないかと思っています。

――劇中のアキラとヒナコは、互いの存在を気にかけつつ、アキラはヒナコをこっそり見守ったり、微妙な“距離”を保っていますが、現場でのおふたりの関係性、距離感は?

岡田:一応、僕、“師匠 兼 ともだち”なんで(笑)。

平手:“弟子 兼 ともだち”です(笑)。

岡田: 20歳離れてますけど友達です(笑)。彼女は難しいシーンも多かったし、(アキラとヒナコが)会うところは、僕は嫌われているという設定もあって、距離感があるし、最後の森のシーンも雨で大変でした。コロナ禍の影響で撮影自体が途中で延期になって、気持ちをつなげるのも大変だったでしょうし、(平手は)堤さんと同じシーンが多かったから、堤さんのことを憎めなくて困ってたり(笑)。ひとつひとつ、気持ちを紡ぎながら芝居をしていくだろうから…。

僕としては、彼女のこれまでの歩みも含めて共感できる部分がたくさんあるし、そういう意味で、すごく気になる存在でもありましたし、頑張ってほしいなと思う存在なので師匠になりました(笑)。(平手に)仲良くやってたよね…?

平手:あんまり真剣な話をしたというより、たわいもない話をしてた記憶がありますね。

岡田:お芝居についてはあまり話してないですね。

――映画冒頭のヒナコが車の中にいる状態でのカーアクションが凄まじいですね。

岡田:現場で(平手が)見ててくれましたね。上着を持ってきてくれる係をやってくれたよね? (待ち時間が長くて)ひま過ぎて(笑)。

平手:暑かったので、カットがかかったら扇子であおぐ係をさせてもらいました(笑)。

岡田:弟子なんでね(笑)。

――今回、敵役となる宇津帆を堤真一さんが演じていますが、あんなに悪そうな役を演じている堤さんを見る機会はなかなかないですね。

岡田:堤さんはとてもお世話になっている俳優さんで、(『フライ,ダディ,フライ』、『SP』シリーズ、『海賊とよばれた男』など)僕にとって大事な作品に出てくださっている俳優さんです。そんなに現場でお話を沢山するような関係性ではないんですけど、画で映った時の相性がすごく良い方だと勝手ながら感じていて。そんな俳優さんがいてくださるのは、僕にとってはすごく宝なので、今後も大事な役柄、大事なシーンでお会いするのかなと思っている方ですね。

そういう人と平手さんがずっと一緒にお芝居をされていたというのは、彼女にとってすごい財産になると思います。楽しそうというか、うらやましいなと思って見ていました。できれば若い頃の堤さんに会ってほしかったですね。怖いというか…いまのような優しい雰囲気ではなかったよ(笑)。

平手:えーっ(笑)!?

――平手さんは2018年の『響-HIBIKI-』以降、着実に様々な役柄にチャレンジされていますね。

平手:この現場に限らずですが、毎回、新しい現場を経験させていただくたびに学ぶこと、知らない間に吸収させてもらっていることも多いです。

――今回の現場で特に思い出深かったこと、印象に残っていることは?

平手:コロナで中断する前の話なんですけど、スタッフさんたちがみんな、ドクロのマークの入った革ジャンを着ていたり、坊主頭だったり、いかつい男性のスタッフさんが多くて、ちょっと怖くて…(笑)。この現場で私は打ち解けられるのか…? という不安しかなかったです。最終的にはすごく良くしていただいて、いい現場だったんですけど。(岡田に)怖くなかったですか?

岡田:前作から知ってる人たちだからね。

――それは『ザ・ファブル』という作品に合わせて、みなさんそういうスタイルに…?

岡田:いやいや、それは江口(カン/監督)さんの好みですね。カメラマンさんも、江口さんがいつも一緒に仕事をしてる方なんですけど、そのチームはいつもみんな軍服を着てたりするんですよ、サバゲーにハマってて(笑)。(平手に)映画業界のスタッフの中でも個性的な人たちだから、映画の世界がみんなそういうふうってわけじゃないよ(笑)。江口監督も見た目は怖いですけど、とても優しい方ですよ。

『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』
公開中
(C) 2021「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」製作委員会

取材・文・写真:黒豆直樹

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