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麒麟・川島明の“タグ大喜利”から伝わる、芸人同士の関係性 バイきんぐ小峠の反応は?

リアルサウンド

20/6/3(水) 12:00

 黄色い表紙に、芸人の顔写真が並んでいる。ブラックマヨネーズ小杉の写真の下には「#インドネシアのたばこを吸う赤ちゃん」、南海キャンディーズしずちゃんの写真の下には「#あなたもボールペン字講座始めませんかのチラシ」と書かれており、なるほどそういうことか、と理解する。

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 お笑いコンビ・麒麟の川島明がInstagramでコツコツと書き溜めてきたタグ大喜利が『#麒麟川島のタグ大喜利』として一冊の本になった。芸人の顔写真の下にセンスあるタグがずらりと並ぶ様は圧巻。ページをめくるごとに笑ってしまうタグの魅力にどんどん取り込まれていく。

 今回掲載されている写真は全て川島自身が撮影したもの。親しい仲間に撮られた写真はどれもふっと気が抜けていて、メディアで見る表情とは違った芸人の姿がそこにある。本書はInstagramで川島が投稿していたタグに書き下ろしを加えており、既存のインスタファンも新たに楽しめる内容になっている。

 人によってはこのテーマで全部いけるな、と川島が思ったものは縛りが存在しているものもある。ハライチ澤部の写真の下に並ぶタグはこうだ。

〈#このあとどうするが自然に言えない童貞〉
〈#ギザ10を瓶に貯めてる童貞〉
〈#グラビアアイドルの事をクン付けで呼ぶ童貞〉

 この縛りで全ていける、と判断された澤部の下には様々なシチュエーションの童貞が並ぶ。ここまで「童貞」をゴリ押しされると本当にそう見えてくるから笑ってしまう。結婚して子どももいるのに。そして、散々童貞をいじり倒した後にこう締めくくる。

〈#どんな企画も成立させる名キャッチャー〉

 タグ大喜利の一番最後の行は、川島からその芸人への愛のメッセージとなっている。タグを読んだ本人からのコメントも掲載。お互いに尊敬しあってるからこそ生まれる、関係の温かさが伝わってくる。

 タグ大喜利をずっと読んでいくと、合間に「しばしご歓談」というコーナーが現れる。タグ大喜利を始めることになった経緯、タグ大喜利を続けていこうと決心するきっかけになったとある先輩芸人の言葉、タグ大喜利を作っていた際に起きたハプニングなど、この本ができあがるまでの紆余曲折が短いエッセイで綴られている。特に印象深いのは和牛のふたりとバイきんぐ小峠の話だ。

 漫才の出番が終わって和牛に写真をお願いしようとすると、ふたりはすぐにネタ合わせを始める。

〈今出番を終えたこの感覚のままネタ合わせをして、修正しようとするストイックすぎるスタイル。写真をお願いするためにネタ合わせが終わるのをもじもじしながら待っていたあの時の僕はただのファンでした。仔牛(※筆者注)でした。〉

 お笑いに対して真面目な後輩を邪魔するわけにいかず、もじもじしている川島を想像するとなんだか微笑ましい。

 一方、バイきんぐ小峠は写真を撮らせてほしいとお願いすると「なんだよ、何に使うんだよ」と警戒心マックスで疑ってきた。

〈「インスタです、あとsmartって雑誌にも載ります」と説明しても「俺のどこがsmartなんだよ。なぁ!本当のこと教えろよ!」と信じてくれない始末。あまりにもドッキリにかけられすぎてもう人間不信になっている亀仙人。「もういいから、いいから、とりあえず写真撮らせてください」と半ば強引にシャッターをおしました。そんな不信感を抱いたがために絶妙な表情を提供してしまうのも小峠さんの素晴らしいところです。〉

 小峠の絶妙な表情とそれにぴったりなタグはぜひとも本文で確認してほしい。「俺のどこがsmartなんだよ」という最高のツッコミフレーズがスッと出てくるあたり、さすがだなあと思ってしまう。小峠のツッコミ能力の高さを窺い知ることができるエピソードだ。

 大喜利のお題となった59人の豪華芸人のほか、有名な絵画や彫刻品で大喜利をするコーナーや、カバー下にも大喜利が隠れている。ステイホーム中で気分が重くなりがちな日常の清涼剤になってくれる一冊だ。

※注:和牛のふたりはラジオでリスナーのことを「仔牛ちゃん」と呼んでいる。
(文=ふじこ)

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