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石原さとみの正体が明らかに! 『Heaven?』岸部一徳とのユーモラスなかけ合いを楽しむ

リアルサウンド

19/7/31(水) 12:00

 第2話でシェフの小澤(段田安則)の性格に触れ、先週の第3話はシェフドランの伊賀(福士蒼汰)の両親が登場してかき回すことによって、彼の人間性に迫っていったTBS系列火曜ドラマ『Heaven?~ご苦楽レストラン~』。30日に放送された第4話では、ついに謎多きオーナーで主人公格の黒須仮名子(石原さとみ)の過去が明らかになると同時に、ソムリエの山縣(岸部一徳)の秘密も明らかにされた。もっとも、それぞれ別のエピソードで深く描きこんでもいい題材を、何故あえて同じ回に収めたのかはちょっぴり気になるところだ。

参考:ほか場面写真多数

 「ロワン・ディシー」にある日、借金取りのような二人組がやってきて何やら仮名子に詰め寄るのを見た伊賀たちは、これまで謎に包まれていた仮名子の素性について気になり始める。そしてオーナー室にこもり、「自分の責任は自分で背負わないと」という言葉とともに意味深なメモ書きや、首吊り自殺を図ろうとしたりするなど不審な行動を繰り返す仮名子に、これまでとはまったく違う形で振り回されていくことに。そんな折、夜通し仮名子の様子を見守っていた伊賀は、帰宅途中で偶然にも山縣とはち合わせ、彼が様々な資格試験を受けていることを知るのだ。

 結論から言ってしまえば、仮名子の正体は3年前に新人賞を受賞して注目を集めた、一発屋のミステリー作家(自分では“ミステリーの女王”と大げさに語っているが)・仮名須黒子だったというわけだ。店に訪れた借金取りはただ強面なだけの出版社の編集マンで、また前回のエピソードで傘を取り違え“山田B”と呼ばれていた映画監督の男は、仮名子の処女作の映画化を手がけた監督という、物語的な繋がりもきちんと織り交ぜていく。不審な行動の数々も、新作のアイデアを見つけるためであったり、気分転換であったりと、いたってシンプルなところでまとめられていく。

 一方の山縣は、何かを学んで知識を得ることが生きがいとなっていることが明かされた。神童と呼ばれた子供時代から現役で東大に合格して、その後大手銀行に就職。それでも資格試験に明け暮れ、その結果として上司に嫌われて出世街道から外された過去がトラウマになっていたことから、ロワン・ディシーの仲間たちに資格試験のことを言えないでいたというわけだ。仮名子が書いた謎のメモ書きによって、店が経営難に陥って誰かのクビが切られるのではと全員が騒ぎ立てた時に「店がなくなったら困る」と声を荒げた理由が、ソムリエの資格を取るには3年間の実務経験が必要だったからというあたり、この山縣というキャラクターのコメディリリーフとしての描き方に関しては実に丁寧に思える。

 深く掘り下げようと思えば、いくらでも深く掘り下げることができる2人の過去。それをひとつに回にまとめあげたのは(原作でこの一連がどう描かれていたのか、記憶が曖昧なところなのでドラマ単体での見立てに留めておくが)、まず第一にこのドラマの持ちうるテンポ感と雰囲気を維持することに重きを置いたからであろう。そして、前回のエピソードで登場した伊賀の母・勝代(財前直見)を仮名子と重ね合わせたのと正反対のアプローチとして、山縣と仮名子の対比を生むことが狙いとしてあったのではないだろうか。

 現に、山縣の過去はあくまでも山縣の頭の中の回想シーンだけに留めておき、必要以上に語られることがない。その反面、仮名子の過去に関してはそれを裏付ける回想シーンを描くことをせずに、誇張された仮名子の言葉でのみ語られる。そうすることで、山縣はミステリアスな存在のまま、仮名子はどこか胡散臭い部分が残った存在のままで保たれ、視聴者目線では2人の過去の秘密が明らかになりながらも、登場人物の目線では物語がさほど進展していないというギャップが生まれるわけだ。そんな中で繰り広げられた、終盤に2人がコロコロと言い分を変えていく言い合いのシーンはなかなかの見ものであった。  (文=久保田和馬)

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