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海外映画取材といえばこの人! 渡辺麻紀が見た聞いた! ハリウッド アノ人のホントの顔

ジェームズ・キャメロン

連載

第1回

『アリータ:バトル・エンジェル』

─── 連載の第1弾は、それにふさわしい“ハリウッドのキング”のひとりジェームズ・キャメロン。ちょうど彼が製作&共同脚本を担当した『アリータ:バトルエンジェル』が公開されたところですね。まずはこの作品から教えてください。

これはキャメロンが長年抱えてきたペットプロジェクトで、『タイタニック』の後、数年した辺りから浮上してきました。だから、完成までには20年近くを要したことになる。当初は「これだけは自分で監督する」と言い続けていましたが、結局はロバート・ロドリゲスに監督の座を譲ってしまった。ロドリゲスは「自分を殺し、ジム(・キャメロン)のように作った」と言っていたものの、出来上がったのは紛れもなくロドリゲステイスト。キャメロンも「これはロドリゲスの映画」と言ってました。つまり、とてもお金のかかったB級アクション(笑)。

─── キャメロンが撮っていたら、どうなっていたと思います?

彼は「私が撮れば、もっとエッジィでダークなものになっていただろう」と言っていたけど、そうは思わない。B級臭さはなくなって、もっとポピュラーな、大作っぽいアクションになってたんじゃないかと思います。キャメロンの映画作りはとてもお金がかかるので、ストーリーは大衆ウケするようシンプルに徹しているのが『タイタニック』以降の傾向ですからね。

『アリータ:バトル・エンジェル』

─── 確かに『タイタニック』のドラマ部分は“ロミオとジュリエット”みたいな感じでしたね。

『タイタニック』でキャメロンが本当にやりたかったのは、そのタイタニック号の再現なんです。だから、壁紙から絨毯、家具や食器類に至るまでホンモノと寸分違わぬものを作っている。壁紙などは当時の会社がまだ残っていて、そこに頼んだと言ってました。笑ったのは食器。撮影がかなり進んだ時点で、タイタニック号で使われていた食器にはロゴというかマークが入っていたことが分かり、その食器を新たに作って撮り直している。それだけで100万ドル以上かかったらしいです。

─── それ基本ですよね。最初にチェックしなかったんですかね?

私もそう思いました(笑)。タイタニック関連の映画では『SOSタイタニック』という面白いイギリス映画があって、キャメロン版にも似たエピソードがたくさん出てくるんです。そのことをキャメロンに尋ねたら「『SOS…』はウォルター・ロードというタイタニックに関しての第一人者が書いた『タイタニック号の最期』というノンフィクションを基にしている。徹底的にリサーチした上で作った私の作品と似ているのは当然なんだ。実は、ロードはまだ生きていて、映画を観てもらったんだが“よく出来ました”と花丸をもらったんだよ!」と、満面笑みで語っていました。

さらに「タイタニックおたくのことを”“リベットカウンター”と呼ぶんだけど、彼らも絶賛してくれたんだ」って。”“リベットカウンター”というのは、タイタニック号のリベットの数がホンモノと同じか数える人のことだそうです。こういう話をしているときのキャメロンは本当にうれしそうで、ストーリーはどうでもいいって感じでしたよ。

『タイタニック』撮影中のジェームズ・キャメロンとレオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット

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