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『これは経費で落ちません!』森若さんの“らしさ”が詰まった最終回に 早くも続編を望む声も

リアルサウンド

19/9/28(土) 6:10

 多部未華子が主演を務めるオフィスドラマ『これは経費で落ちません!』(NHK総合/毎週金曜22時)。青木祐子氏の同名小説シリーズが原作で、領収書や請求書を通じて見えてくる思わぬ人間模様がコミカルに描かれている。

 最終話の10話は「どうしますか、森若さんの巻」。大波乱だった前回の放送、あれだけ様々な人間の不穏な動きが一気に露呈し、最終話1話のみで無事収束させられるのか少々不安視していた視聴者も少なくなかったのではないだろうか。ただ蓋を開けてみたらそんな心配は一切無用。見事なクライマックスを迎え、この作品“らしさ”に着地した。

 前話で、円城専務(橋本淳)によるスリム化計画によってアウトソーシングされることが明らかになった経理部。また秘書の有本マリナ(ベッキー)が副業で働くクラブでは、部長たちが円城専務に反旗を翻すかのように、密かに大手のライバル会社・サンライフコスメとの買収交渉を進めていた。

 経理部長の新発田(吹越満)に「天天コーポレーションで何が起こっているんですか?」と真っ向から迫る森若さん(多部未華子)を含めた経理部3人女子。売上低迷を受けて、円城専務が勝機を見出そうとしているのがDNA化粧品の開発だ。ただし、この社運をかけた一大プロジェクトには莫大な開発費が必要であり、そのためスリム化計画を急速に推し進めざるを得ないのだった。

 そんな中「社員を大切に」という先代までの方針を守るべく部長陣たちは、スリム化計画によってではなく売上好調の競合会社に買収してもらうことで潤沢な開発費を得ようと動いていたのだと言う。

 前回、公表前の売上データが森若さんのパスワードによってアクセスされ持ち出されていた事件が起きた。その犯人が明らかになり、さらに裏で糸を引いていたのが秘書の有本であることがわかる。

 また過去の出張履歴から、有本がサンライフコスメの執行役員・土井と元々接点があり、サンライフコスメで重役ポジションに就任させてもらうことと引き換えに、機密情報を横流しにしていたことも発覚。

 ただ山崎(桐山蓮)のファインプレーによって土井の本音、有本を利用するだけしようという魂胆が暴かれる。そこで黙っていないのがプライドの高い有本。彼女の仕返しによって土井の企業買収の真の目的が「化粧品開発の技術だけ盗んで、天天コーポレーションのことは切り捨てる」ことであるのが白日に晒され、企業買収話は白紙に。なんだかんだあったものの無事一件落着となる。

 円城専務に急速なスリム化計画を思いとどまらせたのは他でもない森若さんであり、彼女の経理部としての丁寧で正確な仕事ぶりだった。

 例年開催されている天天祭りの売上予測を、事実ベースに算出。過去放送回にも登場した人気ノベルティバックの継続販売による売上増や、仙台工場のアイ(森田望智)によるオーガニック石鹸のヒットなどにより昨年対比大幅アップの売上数字の見込みが立ったのだ。

 円城専務から「私の改革は間違っていたと思うか?」と問われた森若さん。真っ直ぐに専務を見据えて淡々と語る「それは経理部の私が判断することではありません。ただ私はどこであろうと自分の仕事をします、きちんとイーブンに」という言葉はクライマックスにふさわしかった。

 最後に気になるのが山田太陽(重岡大毅)からプロポーズを受けた森若さんの返事。当初は香港企業への出向話を受けて駐在先についてきてほしいと願う太陽だったが、専務の問いかけに対する回答から森若さんの仕事への取り組み方を改めて目の当たりにし考え改める。

「香港に付いてこないで欲しい。待っていて欲しい」

 太陽の香港への出発日に、請求書の裏面で交わされた2人だけのやり取り。元々彼らを結びつけたきっかけでもある請求書の裏面が、今度は2人の絆をより強固なものにし、それぞれの新たなスタートの背中を押しているのも、何とも2人らしく、この全10話での2人のストーリがギュッと詰まったエンディングでお見事だったと言えるだろう。早くも続編放送を願う視聴者からの声が続々と寄せられているようだ。またどこかで森若さんに会える日を心待ちにしていたい。(楳田 佳香)

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