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ジャニーズの異端児 屋良朝幸、孤独を乗り越え励んだダンスの追求 連続ドキュメンタリー第2・3回を見て

リアルサウンド

19/11/28(木) 7:00

「ジャニーズなめられちゃいけないなって思うんですよ」

 本番を前に食事を摂るも、ハードな動きからは想像がつかないほど少食だったが、彼の鋭い目力は戦いを前にした武士のようだった。

 連続ドキュメンタリー『RIDE ON TIME』(フジテレビ系)11月8日放送回より密着しているのはジャニーズ屈指のダンサー・屋良朝幸。密着を重ねていくうちに、一人のダンサーとして、ダンスで道を切り拓く屋良の姿を目にすることができた。

(関連:山下智久、Kis-My-Ft2 横尾渉、屋良朝幸…プラスαの才能を持つ、芸達者なジャニーズメンバー

■ジャニーズの異端児、屋良朝幸

 屋良がリスペクトする、ダンサー・演出家の植木豪。二人は十年来の付き合いになるという。植木がプロデュースするBREAK FREEは、2018年世界最大の演劇祭『エディンバラ・フェスティバル・フリンジ』でTHE ASIAN ARTS AWARD「BEST PERFORMANCE賞」を受賞した実力派のダンサー集団だ。メンバーの一人が屋良について、「ここまで全力で動いているジャニーズの方は初めて見ました」と語った。

 屋良が総合プロデュースを担当する『THE YOUNG LOVE DISCOTHEQUE 2019』にBREAK FREEの出演が決定。彼らとの共演にあたって、植木から振り付けを教えてもらっていた。それはアイドルがステージでみせるダンスとはまた違ったジャンルで、難易度も高い。ビートボックスにあわせて、手や腕を巧み動かし、そこに上半身の動きをのせる。時折パントマイムのような動きを組み合わせた複雑な振り付けだ。苦闘する屋良。彼の挑戦は続いた。

■辞めたい……進路に迷った過去「俺は15回~20回くらいありました」

 レッスンを終えた屋良は、パフォーマーたちのハイレベルな集団に羨望の眼差しを向け、「マニアックなので後輩にここに来い、とは全く思わないですけど。むしろ来たら大変だから止めろって言うけど。それでちょっと孤独になる部分がありますからね。でも、そこを歩き出してしまったから、引き返せないんで」と、終始穏やかなトーンで語っていた。

 屋良はジャニーズJr.時代からダンスに魅了され、ダンスを主軸に活動、現在に至る。ジャニーズ界でいえば異端児とも呼べるだろう。屋良に限ったことではないが、ジャニーズJr.には人生を考えるタイミングがあるということは、歴代のアイドルたちから語られてきた。

 屋良も同様、二十歳の頃に進路について考えたという。「俺は15回~20回くらいありましたけど。単純に辞めたい! って、意味ないよねって」。ダンスに魅了された屋良は、アーティストとしてパフォーマンスをしたいと願うも、先輩からは「そういうことはデビューしてからやれよ」と言われたこともあったという。

 「そりゃできるものならしたいけど……できない人間はどうするんですか……だったら自分でやってくしかないじゃないですか」。ここで食らいつくほどでなければ生きていけない世界なのだろう。

 「こんなヤツがジャニーズなんだ、っていう見方をされたい」。屋良の思いがディスコティックの舞台へと繋がった。

■孤独の先に見えたものーーTravis Japanとのダンスステージ

 前述で屋良は「孤独」だと語っていたが、3回目の放送ではダンスを武器とするジャニーズJr.のユニット、Travis Japanを指導する姿があった。屋良が孤独を感じながら、情熱を注いで切り拓いてきたダンスの道に続く後輩がいた。

 Travis Japan初主演舞台『虎者ーNINJAPANー』では、屋良が振付を手掛けた。

 メンバーの吉澤閑也は「屋良くん見てると落ち込みますよね」、松倉海斗も「屋良くんいつも難しいジャンルやるんで」と、目標とする先輩の一人のようだ。一方、屋良は「俺と一緒で満足することないヤツらなんですよ」にこやかに語った。

 レッスンの総評として屋良はやさしい口調ならがもしっかりと課題を挙げていた。「すごい全体が平べったい。いま個々がすごいがんばっちゃってる。もっとチームで、コミュニケーションとるとかさ、宮近と松倉の2人が踊る瞬間の何かとかさ、そういうのが全く見えなくて……」、「すげぇがんばってる、めっちゃ踊ってるすごい、で終わっちゃうんだよ。そこからどういうふうに自分の表現を広げていくのかっていうのをやらないと。たぶんみんな一緒。もう一歩、追求してみない?」。セリフがないダンスステージならではの課題だろう。宮近海斗はアドバイスを受けて言葉を詰まらせ「正直、悔しいです」と、涙を浮かべた。世界進出を目指すTravis Japan。正解が一つではない中で、彼らの奮闘は続く。

 前出の植木が手掛けた作品『BREAK FREE』の公式HPには、植木の思いの一つ「ダンサーが主役になれる舞台を作りたい」という思いが込められているとあるが、これは屋良にも通ずるものがあるのではないか。音楽や言語の違い、言語の有・無を問わず、パフォーマンスで心を揺さぶる。屋良を筆頭にダンスの追求は、世界進出に欠かせない武器となるだろう。(柚月裕実)

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