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駒形友梨が明かす、歌声のルーツ 「“核”はやっぱりキャラソンやアニソン」

リアルサウンド

18/12/5(水) 12:00

 駒形友梨が、12月5日に1st Mini Album『〔CORE〕』をリリースした。同作には、駒形自身が作詞を務めた「時の葉」など、彼女の歌声が中心(=CORE)となる7曲を収録。

 リアルサウンドでは、今年6月にシングル『トマレのススメ』で、<ロッカンミュージック>よりソロデビューを果たした駒形友梨にインタビュー。歌のルーツをはじめ、影響を受けたアーティストやコンテンツとソロの違い、『〔CORE〕』でサウンドプロデュースを務めた高橋諒とボーカルディレクションを担当した結城アイラとの制作秘話、今後のアーティスト活動においての目標などについてじっくりと語ってもらった。(編集部)

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■「初めて1曲通して歌ったのは、岡本真夜さんの「TOMORROW」」
ーー駒形さんのことは、『アイドルマスター ミリオンライブ!』の「カワラナイモノ」「vivid color」を聴いてソロデビューを楽しみにしていたので、『トマレのススメ』でデビューしたときは「いよいよ出てくるか」と純粋に嬉しくなりました。

駒形友梨(以下、駒形):ありがとうございます。満を持して出てきました(笑)。

ーーそもそも、この歌唱力がどのようにして生まれたのかという背景から聞いていきたいのですが、駒形さんの歌のルーツはどういうところにあるのでしょうか。

駒形:小さい時から両親とおばあちゃんと一緒に住んでいたんですが、おばあちゃんから演歌を習ったり、定期的に開催されるコンサートに参加してみたり、両親もよくカラオケに行ったりと、歌うことが当たり前の環境だったんです。生きていく中で歌う行為が自然だったというか。初めて1曲通して歌ったポップスは、岡本真夜さんの「TOMORROW」でした。その頃からアニメもよく見るようになって、アニソンを自分で真似っこして覚えていたんですが、アニメ『シャーマンキング』で林原めぐみさんを知ってからは、ずっと林原さんにハマっていって。アルバムを遡って買ってもらって、カラオケでもよく歌っていましたし、中学生に上がってからは坂本真綾さんにハマって、真綾さん漬けの青春時代を送ったり。あとは……中学生のころにカラオケ好きな友達とRYTHEMをよく歌っていました。

ーー林原めぐみさんや坂本真綾さんのエッセンスは、アルバムを聴いていてもなんとなく感じるところでもありましたが、演歌というのはびっくりですね。

駒形:キャラクターソングを歌い始める前は、カラオケでも大人っぽいバラードばかり歌っていたり、趣味でバンドをやっていたときにボーカロイドの楽曲をコピーしたりしていたこともあります。

ーーちなみにどんな曲なんですか?

駒形:MEIKOの「ピアノ×フォルテ×スキャンダル」とか。歌に厳しい友達と一緒にバンドをやっていたので、「全然違うよ」なんて怒られたりしながら(笑)。キーが高い「メルト」(supercell feat.初音ミク)も頑張って歌っていました。そう考えると、高校生時代も歌漬けの毎日で、すごく大事な時間でしたね。

ーー演歌からアニソン・声優ソング、ポップスからボカロまで幅広く歌いこなしてきたことが、常人離れした歌唱力の原点だったんですね。今回は高橋諒さんがサウンドプロデュースを務めていますが、どんなやり取りをして作り上げていったのでしょう?

駒形:私と高橋さんが直接やり取りするのではなく、まずはプロデューサーと私で全体のイメージと収録するそれぞれの曲のイメージをすり合わせていくことから始まりました。そうして出来上がった、いわば設計図を高橋さんにお渡しして。高橋さんとはプロデューサーを介してやり取りさせていただきました。最初は1曲目から3曲目までが決まって、他の候補曲のデモを一気にいただいて、私とプロデューサーでいいと思ったものをそれぞれ決めていったんです。「時の葉」に関しては以前から「暗くて地味な曲が歌いたい」と話していて、この曲がすごく好みで選ばせていただいたら、「歌詞も書いてみれば?」と言ってもらって、作詞をすることになったんです。もともとはもっと素朴でシンプルなバラードが良いなと思ってたんですけど、高橋さんの書いてくださった曲があまりにも良すぎて、「この曲を歌いたいです!」とお願いしました。

ーー今回リリースするミニアルバム『〔CORE〕』は、これまで歌ってきたキャラソンやデビュー曲「トマレのススメ」とも違うアプローチのように感じました。玄人向けでもありつつ、ポップにも聴こえるし、なにより駒形さんの歌が魅力的に聴こえる作品です。この作品のコンセプトはどのように生まれましたか?

駒形:『トマレのススメ』が好評だったことを受けて、プロデューサーが考えてくださったんです。「駒形さんにはこういう曲が合うと思うんですが、どうでしょう?」という提案をイベントの合間や隙間の時間にたくさんいただいて。かなり多くの楽曲を聴いて、私もそれに対してリアクションしたり、逆に「私はこういう曲も好きなんですけど、どう思いますか?」とお互いに好きな音楽を聴かせ合ったり、そういったイメージを共有していく期間を経て、今回のコンセプトが決まっていったんです。

ーーどういう曲が挙がってきたのか気になります。

駒形:ボカロ系もあれば、洋楽もあったりと、かなり幅広かったです。あと、私って「自分が歌えるかどうか」という基準で曲を聴くことが多いので、女性ボーカリストの楽曲ばかりなんです。今回のやりとりのなかで「男性の声だけど、一旦それは取っ払って、自分が歌う想像で聴いてみてください」と男性ボーカルの曲を聴かせていただいたときに、そういう考え方もあるのかと頭がクリアになりました。

ーーアルバムのコンセプトを決める期間でありながら、駒形さんのリスナーとしての幅が広がる時期でもあったと。

駒形:そうなんですよ。プロデューサーからも「私が歌うとどんなジャンルの曲でも、最終的にポップスになる」とよく言われていて。それが『〔CORE〕』というタイトルにも繋がってくるんだと思います。

■「カラオケで歌うように細かいテクニックをガンガン使った」
ーーアルバムタイトルの『〔CORE〕』は「核」という意味ですが、駒形さんにとっての歌声の“核”って何だと思いますか?

駒形:そうですね……私は歌のお仕事を始める前まで、“歌が上手い”ってことは「音程が取れて、高い声が出る」ことだと思っていたんです。でも、とある歌のオーディションで「歌は上手なんだけど“駒形さんが歌う良さ”が出てない。コーラスとしてはいいけどリードで歌うにはまだ弱い」って言われて。「どうしたらいいんだろう、歌詞の表現って何だろう」と大きく挫折した期間もあって、「カワラナイモノ」や「君想いBirthday」を録った時もまだ手探り状態だったんです。それをディレクターさんにも見透かされて「今のは歌じゃない」って言われたり。でも、自分の中でなんとなく正解が見えてきて、その思いをもって歌ってみたら「こんな素敵な歌を歌える方だったんですね。こんな歌を聴いちゃったら、俺ももっと仕事頑張れます」と褒めていただけて、「これでいいんだ」と大きな自信になりました。そういう出来事もあるので、歌声の核になっているのはやっぱりキャラソンやアニソンなんだと思います。

ーー良い話ですね。アルバム全体としては、ウェットな作品に仕上がりました。序盤の「starting in the haze」と「メイズ」は、デビュー曲「トマレのススメ」を手がけた矢野達也さんによる楽曲です。静かな雰囲気やウィスパーボイスを使うパートからゆっくり立ち上がっていって、サビではファルセットを使う「starting in the haze」からアルバムが始まるのが、すごく良かったです。

駒形:順番としては「メイズ」のデモが先で、「クロックワイズ」のレコーディング時に「starting in the haze」のデモが上がってきて、すごく良い曲だったので驚いた記憶があります。楽曲としては作品全体のプロローグ的な位置付けで、「この作品はどんな感じになるんだろう?」と期待して聴いている人を一気にこの作品の世界観に引き込むような感じですね。

ーーまさにまんまと引き込まれました。

駒形:あはは、嬉しい。作戦通りです。

ーー「メイズ」は3声の英詞コーラスが印象的なピアノロックです。

駒形:この曲はまさにそのコーラス部分で、結構時間がかかったんです(笑)。上下もあるうえに、1番と2番でラインが違ったり、あとウーアーコーラスも三声だったりで……ハモのラインは当日確認だったこともあって、パニックになってしまいました。

ーーそれは中々に難易度が高いですね……。

駒形:元々ハモりには苦手意識があったんですけど、「メイズ」を乗り越えたあとはすごく楽になりました。この曲が歌えたからこそ、他の楽曲を歌うことができたんだと思います。

ーー3曲目の「クロックワイズ」は、前作のカップリング曲「Lonely Blueが終わる頃には」を手がけた原知也さんによる楽曲です。

駒形:レコーディングの時も歌っていて楽しくなるくらい良い曲ですし、デモを聴いた瞬間に無条件で好きだと思いました。ちょうどこのレコーディングの前くらいに『THEカラオケ☆バトル』(テレビ東京系)の練習をしていて、それを経てレコーディングに行ったら、ボーカルディレクション担当の結城アイラさんに「音程がめっちゃ正確になってるね」と褒めていただいて。番組での点数は全然伸びなかったんですけど、レコーディングにその成果が活きていて嬉しかったです。

ーー歌に関しては、すごく伸び伸びとしていますよね。楽曲もフルートの音色も効果的に鳴っていますし、ゆったりとスウィングするこの曲がリードトラックというのもすごいですね。

駒形:デモを聴いているときに、プロデューサーから「これ、多分リード曲になる気がする」と言われて、私も「そうかもしれない」と思っていたら、見事リード曲になりました。フルートに関しては、プロデューサーが「フルートを入れた曲を作りたい」とおっしゃっていて、まさにそれが具現化されている曲だと思います。

ーー「メイズ」も力強くてリードっぽいですけど、楽曲としての強度は「クロックワイズ」が一番高いように感じます。続く「It’s HEAVEN」は高橋諒さんのうねるベースが特徴的な楽曲です。

駒形:こういう曲は初めて歌ったので、私の中では新たな挑戦でした。歌詞に関しても、言葉の意味をどう伝えていくかを考えていましたが、この曲は言葉で遊ぶような感じで。言葉の意味というよりはノリを重視した歌い方を意識しました。今までの歌い方だとちょっと子供っぽくなってしまうと思って、カラオケで歌うときのように細かいテクニックをガンガン使いました。

ーー新たな挑戦だとは思えないくらい完成度の高い歌だったので、てっきりこの手の歌い方は元々できるのかと思っていました。

駒形:自分ではこういうオシャレな感じはあまり得意じゃないと思っていたんですけど、ボーカルディレクションをしていただいた結城アイラさんからも「いいね、そういう歌い方もできるんだね」と言っていただけて、今もこうして褒めてもらえるのは、本当に嬉しいです。

ーー今作はこの曲のように、グルーヴが前に出てきている曲もいくつかありますが、歌ってる側としては楽しかったですか?

駒形:すごく楽しかったです。英語詞を歌うのも初めてだったので、〈PM from からAM〉の瞬間を発音良く歌うのが気持ち良くて。自分名義の曲だからこそできる挑戦だなと思いました。

ーー5曲目の「時の葉」は、自身で作詞も手がけたバラードです。初めて作詞をするって一生に一度しかないことですし、どうやって歌詞が出来上がっていったのか気になります。

駒形:歌詞を書く前から、何となくこういうことが書きたいという輪郭のようなものがあったんですよ。なので、その言葉を詩のように打ち込んでいって、大事なところをピックアップして曲に嵌めていきました。そのやり方で数パターン作ったんですけど、「なんか違う」と思ってボツにしまくって……。自暴自棄になった時期もありましたが、“ボツになった案で、1番自分の言いたいこと同士を繋げていく”と綺麗にまとまって、ワンコーラス分作り上げました。人に良い悪いと言ってもらう前が、一番不安なんですけど、プロデューサーに「いいと思います。この方向で書いてください」と言っていただけたので、安心して2番は1日で書くことができました。やっぱり「0から1を生み出すのが難しいな」と改めて思いましたし、人が言う「産みの苦しみ」をようやく理解できた気がしましたね。

ーーそれは貴重な経験ですね。駒形さんが「これでいいや」と妥協せず、ずっと悩んでいたからこそ完成したわけですし、物を生み出す才能があるのでは、と思いました。

駒形:そうなんですかね……? 私としては、仮歌詞が素晴らしかったので、責任を持ってちゃんとしたものを書かなければというプレッシャーの方が大きかったです。

ーー歌詞は駒形さんの話していた「地味で暗い」を表現したものだとは思うんですが、全体としては“後ろ向きだけど前向き”なものに仕上がっています。駒形さん自身もそういうタイプなんですか?

駒形:結構神経質で、ネガティブな部分はあると思います。心配性というか。でも、その不安を乗り越えて自分の欲しいものを掴んできたからこそ、前向きになれているところもあると思います。

■「曲を作る段階からどんどん関わっていきたい」
ーー余談なんですが、物を捨てられないタイプだったりしますか?

駒形:え、なんでわかるんですか!?

ーー歌詞を見て、そう思ったんです。

駒形:めちゃくちゃ当たってます。家はすごく物が多くて、捨てられないタイプの人間なんです。それが歌詞に出てるってことですよね……。

ーー今後も作詞に挑戦するとしたら、もっと駒形さんのそういう素の一面も出てきそうで楽しみですね。歌についても聞きたいんですが、コーラスの重ね方やボーカルの処理も良くて、「メイズ」で鍛え上げたものがまさに発揮されている印象です。

駒形:この曲のレコーディングの頃には3声と聞いても驚かなくなってました(笑)。

ーー(笑)。6曲目の「ソノヒ」は歌謡曲テイストですが、駒形さん自身にその引き出しはありましたか?

駒形:こういう曲には結構惹かれる傾向がありますね。親やおばあちゃんが歌っていたり、自分でもカラオケでよく歌ったりしています。今回のアルバムって“ちょっとした懐かしさ”というテーマもあるんです。この曲はそれをストレートに感じていただけるんじゃないかなと。全体としては「このメロディ聴き慣れたな」と思ったら次の展開があったり、サビの中でも音の上下があったり、歌っていて楽しい曲でもあります。

ーーそういう新しいアプローチもあるので、押し付けがましい懐かしさではないところも良いですね。

駒形:歌詞も希望に満ち溢れている、というものではなくて、辛い中でも一筋の光を信じて前に進んでいくというものになっていて、それはいろんなことを経験してきた人じゃないと歌えないことだと思いましたし、だからこそ今の私が歌うべきだなと覚悟を決めました。

ーー結城アイラさんはすべての楽曲でボーカルディレクションを務めていますが、印象に残ったアドバイスは?

駒形:「クロックワイズ」のラストサビで〈あなたが可哀想で〉と歌う部分があるんですけど、1番と2番は同じ歌い方で、ラストサビも同じように歌っていたんですが、アイラさんから「ここは他の人との差をつけたいので、アーティストっぽく歌ってみよう」とアドバイスをいただいて。これまでは仮歌さんの歌を覚えて歌ってきたので、自分で新しい歌い方を出していくという挑戦ができたのは大きかったです。アイラさん自身もシンガーなので、同じ目線に立ってアドバイスをいただけたのもわかりやすかったです。

ーー本当に万能な方ですね、作詞も歌もボーカルディレクションもできるという。

駒形:それでいて綺麗ですからね。完璧です。

ーー最後は「Talk 2 Night」ですが、発売の時期も考えられてか、クリスマスっぽいアレンジですよね。

駒形:そうなんです。坂井竜二さんに作詞していただいたんですが、「クリスマス」という言葉を書かないクリスマスソングというテーマでお願いしました。ここまでの楽曲はアーティスティックなイメージで作ってきたんですが、この曲は多くの人にとって聴きやすいものにしたかったんです。キャラソンとしてこういう曲を歌ってきた経験はかなりあるので、すごく歌いやすかったですね。ミニアルバムとしても、ウェットな曲が多いけど、最後は明るい気持ちで終わりたいなと。

ーー声優としての活動と、その延長線上にあるキャラクターソングがあった上で、そことは切り離した状態の“アーティスト・駒形友梨”というものが今年生まれたわけですし、今回の作品でも初めての挑戦も多かったようですが、自身としては未知の領域に進んでいることへの怖さはないですか?

駒形:ずっと「歌も歌える声優さんになる」って決めてこのお仕事を始めたこともあり、未知というよりは「これがやりたかったんだ!」と思って突き進んでいます。ただ、こんなに早くミニアルバムをリリースさせていただいたり、ソロライブをやらせていただける機会をいただけたりするとは思っていなかったので、嬉しい驚きはあります。

ーーでは、この後のアーティスト活動において、自分が目標としているものは?

駒形:ソロライブが決まったので、しばらくはそこに向けて進んでいきたいです。私自身もCDをたくさん聴くんですが、ライブに一回行くのとCDを10回聴くことで受け取る刺激は全然違いますから、お越しいただく方にも同じ経験をしていただきたいです。作詞も今回挑戦して、好評なようなので、もっと挑戦していきたいですし、曲を作る段階からどんどん関わっていきたいですね。

ーーコンテンツの中でステージに立つライブとソロライブは、心持ちも全然違うものですか?

駒形:そうですね。コンテンツのライブは私だけを観にきたわけじゃない方も多いですし、私はあくまでキャラクターのお手伝いをしているだけなので。ただ、私名義のライブは私の歌を聴きに来てくださってる方たちを前にするわけなので、その方たちをいかに楽しく最後までおもてなしできるかという気持ちで臨みます。

(取材・文=中村拓海)

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